薬での治療のため、授乳を中止するように言われたら

授乳期間中に病気になって、薬を使いたくなった時に皆さんはどうしていますか?

 

基本的には病院に受診される方が多いと思います。
受診した結果、薬を飲んでいる間は授乳を控えてください。と言われたらどうしますか?
「薬を飲むのをやめようか、、」という考えになるかもしれませんよね。

 

本当に授乳を控えた方が良いのか?
それを子育て薬剤師の目線で考えたいと思います。

個別の薬について授乳の可否は一切ありません。ご了承ください。

授乳を中止してでも薬を飲まないといけないのか?

どんな病気かにもよりますが、いわゆる「風邪」や「インフルエンザ」などの短期間の感染症であれば、授乳を中止せずとも使えると言われている薬はいくつもあります。

 

授乳中でも問題なく使えると言われている薬なのに、病院では「授乳を控えてください」と言われている患者さんは少なくないです。
何故そう言われてしまうのでしょうか?

 

おそらくですが、100%安全とは言えないから。もしくはわからないからです。
日本には医療用の薬が1万品目以上あります。
自分の専門外の薬についての理解が十分でない医師がいることは全く不思議ではありません。

 

それどころか、薬の専門家である薬剤師ですら、全品目の薬を調剤した事がある人は一人もいないでしょう。

中にはすべてを網羅している医師もいるのかもしれませんが、少なくとも私はまだあったことはありません。
だからこそ薬剤師にも相談してもらいたいんです。

 

医師から「授乳中に○○の治療をしたいんだけど、どうしたら良い?」と相談されることもあります。
患者さんにも、わからないことは何でも聞いていただきたいです。

 

薬剤師に相談していただければ、たとえ速やかに答えられなくてもきちんと調べて答えます。
医療において0か100かで答えれるような事は多くありません。
こちらの選択がベターだという良い方が多くなるとは思いますので、それはご理解下さい。

授乳を急に中止することの大変さ

授乳をしているお母さんにとって授乳を中止することがどれだけ大変なことか。
それを理解していたら、出来るだけ授乳を中止しなくてもいい薬を選択すると思います。



完母で育てた経験がある方には、急に「授乳をやめて下さい」と言われたら途方に暮れることはわかってもらえると思います。
粉ミルクを全然飲んでくれないかもしれないですからね。

 

授乳してなくても母乳は出ます。
自身で搾乳する必要があります。
授乳を避けている期間に母乳が出にくくなってくるかもしれません。

そうなると、今後の授乳完母で育てている場合は、急に粉ミルクにしろと言われても困りますよね。
全然飲んでくれないかもしれないという不安でいっぱいになると思います。

授乳を中止して薬を飲む場合、それだけのデメリットを受け入れなければいけません。

 

絶対に軽視してはいけないデメリットだと考えます。

授乳を中止してでも薬を飲んだほうが良いこともあります

授乳中に病気を疑うような際には、たとえ薬を飲みたくないと思っていたとしたも受診した方が良いでしょう。

治療を優先すべき様な病気ではないこと確認してもらうためです。
病院に行くのは、薬を処方してもらいにいくのではなく、診断してもらうためです。
そのあたりは混同しないようにしたいですね。

 

風邪などのちゃんと休めばすぐ治るような病気と診断されたなら、「授乳を中止しないといけない薬は飲みたくない」、「薬は最低限にしたい」などの意見をしっかり伝えましょう。
もちろん授乳を続ける事よりもお母さんの治療を優先したほうがいい場合もあります。
その場合は授乳を中止して薬を飲んでください。

授乳していい薬かどうかをどのように判断しているか?

母乳に移行するかどうかは以下のような判断基準の組み合わせで考えます。
難しい単語の説明はあえて省略しています。

母乳に移行しにくい薬の特徴
・脂溶性:低い
・分子量:大きい
・M/P 比:小さい
・血液中のタンパク結合率:高い
・バイオアベイラビリティ:低い
・半減期:短い
・弱酸性
・分布容積:小さい

これらの基準から考えて、母乳に移行するが子どもが摂取する量は通常子どもに投与する薬の量から考えると微々たるものだ、濃縮されて母乳に移行するので授乳を中止しよう、などの判斷をします。
どれか1つではなく総合的な判斷です。

 

過去の使用経験から問題がなかったと言えるものも多いです。
そして、個々の薬の判斷基準は冊子としてまとめられているものもあるので、それが適切な情報源であれば、授乳の可否はすぐに判断できます。
ただし、上記の判断基準の中でもM/P比などは公表されていない薬もあります。

 

国立成育医療研究センターのホームページで授乳中に安全に使用できると考えられる薬の一覧を探すことも可能です。

ただし、自己判断での中止はしないようにお願いします。

お願いしたいこと:自己判断で薬を中止する選択をしないでください

私から授乳中のお母さんやその周りの方々にお願いしたいことは一つです。

自己判断で、最後まで飲むように言われた薬を飲まないという選択をしないで欲しいということです。
授乳の有無に関わらず自己判断での中止はやめてほしいですが、授乳中はどうしても心配が強くなりがちです。

 

「授乳は続けても大丈夫と言われたけど、良くなってきたし、子どもへの影響も気になるので、やめようかな?」
「授乳をしないようになんて言われても、急にやめれるわけないから、もらった薬を飲むのはやめよう」

そう思う気持ちもわかります。

授乳しないようにと言われた場合は、授乳を中止することの大変さも理解して、それでも薬を飲む必要があると判断されているはずです。

 

大切なことは、受診時に「心配がある」という気持ちをしっかり医師と話し合うことです。
その上で、納得できないことがあれば調剤をしてもらった薬局で薬剤師にも聞いてみてください。

私達薬剤師に安心して薬を飲むお手伝いをさせてください。