ホスリボンの味と飲ませ方、吸湿性と再分包の安定性について【低リン血症治療薬】

ホスリボンの味と飲ませ方、吸湿性と再分包の安定性について【低リン血症治療薬】

ホスリボン配合顆粒は低リン血症の方のリンの補充を目的として使用する薬です。

頻度は高くありませんが、こどもにも使うことのある薬ですので紹介します。

ホスリボン及び低リン血症について

【はじめに】低リン血症について

ホスリボン配合顆粒はリンの補充目的で使用されます。
低リン血症についてとは、その名の通り血中のリン濃度が下がっている状態ですが、主に以下の2つの原因が考えられます。

  1. 腎臓からリンが出やすくなっている
  2. 消化管からリンが吸収されにくくなっている

 

低リン血症が続くことで、骨の生まれ変わりなどに影響が出てきて、骨折・痛み・低身長の原因になることが考えられ、くる病や骨軟化症に繋がります。

早産によって、リンやカルシウムが十分に母体からもらえなかった場合に見られる未熟児くる病や、原発性低リン血症性くる病(家族性低リン血症性くる病)などに使われるのを見たことがありますが、その他にも、腫瘍性骨軟化症、ファンコニ症候群などでも使用されているようです。

 

低リン血症の治療には、リン製剤と活性型ビタミンD製剤が併用されることが多いですが、ホスリボンの発売以前は低リン血症を適応とする飲み薬がありませんでした。
そのため、腸管洗浄剤のビジクリア配合錠などが代用されており、ホスリボン添付文書の注意事項などにも影響を与えています。

ホスリボン配合顆粒の用法・用量【複数回に分けて内服】

用法・用量
通常、リンとして1日あたり20~40mg/kgを目安とし、数回に分割して経口投与する。以後は患者の状態に応じて適宜増減するが、上限はリンとして1日あたり3,000mgとする。
引用:ホスリボン配合顆粒添付文書

「用法・用量に関する明確な基準はない」との記載もあるので、目安と考えれば良さそうです。

 

最初に用法・用量を見た時に、数回って何回なの?という疑問を感じましたが、出来るだけ多くの回数に分けて飲んだほうが良さそうです。

血清リン濃度は投与1~2時間を経過した後、急激に低下することを踏まえると本剤の場合は頻回分割投与の方が理論的に望ましいこと、安全性の観点からは胃腸障害の低減が期待されること、実際に服薬可能な回数の上限は患者の状況により異なることから、数回に分割して経口投与するように設定した。
引用:ホスリボン配合顆粒インタビューフォーム

 

複数回に分けたほうが良い理由は上記の引用の通りですが、流石に2時間毎に飲むのは難しいです。
私の周りでは、1日2~6回ぐらいが多いです。

ホスリボン配合顆粒の副作用や注意点

ホスリボンは承認時のデータが、原発性低リン血症性くる病患者を対象とした16例しかないので、情報は多くないです。

・骨X線検査のくる病所見では「改善」が6例、「不変」が10例認められ、「悪化」は認められなかった。なお、全例が治験開始前からくる病に対する治療(活性型ビタミンD製剤:16/16例、経口リン酸製剤:15/16例)を受けていた。

・ホスリボン®配合顆粒投与による血清リン濃度の上昇作用が確認された。(服用後1~2時間における血清リン濃度相対値の平均:128.5~144.3%)

・2例(12.5%)に副作用が認められ、その内訳は腹痛1例 (6.3%)2件、下痢1例(6.3%)1件、及びアレルギー性皮膚炎が1例(6.3%)1件であった。(承認時)
引用:ホスリボン配合顆粒添付文書

また、添付文書には3歳未満への使用経験がないので、慎重に投与することとされていますが、3歳未満への使用例は増えていると思いますので、データの集積が待たれます。

ホスリボンの味と飲ませ方

少量の水分では上手く溶かせずに固まってしまうので、水分に溶かして飲ませたい場合は、多めの水分で溶かすようにしましょう。

 

味の印象としては少ししょっぱいです。

余った廃棄分しか味見したことがないので、飲み物との相性は調べれていません。
日に何度も飲ませる可能性のある薬なので、飲みにくい場合に限り、ジュースなどに溶かすことを検討しても良いでしょう。

 

ミネラルが多いものは、多少なり吸収に影響を与える可能性があります。
特にアルミニウム含有製剤は併用注意となっていますので、ご注意ください。

ホスリボンの吸湿性と再分包時の安定性について

こちらの内容は、主に調剤に関する情報です。

ホスリボンの添付文書には「アルミ包装開封後は、防湿に留意する[本剤は吸湿性があるため]」と記載があります

吸湿性があるので、ホスリボンを再分包する場合は湿気対策をしましょう。

しかも、小児に使う場合、用量を調節するためにホスリボンを再分包することは珍しくありません。
むしろ分包品で渡せることのほうが少ない印象すらあります。

 

うろ覚えで申し訳ないですが、以前にMRさんに確認したところ、通常の環境では湿気に気をつけていれば3ヶ月程度は安定しているとの回答がありました。

当薬局においては、ホスリボンの再分包品を、乾燥剤入りのチャック袋に入れてお渡ししていますが、30日は問題なさそうです。

それ以上の日数は試したことがありません。
詳しいデータについては、メーカーへの確認をお願いします。

 

再分包後に余ったホスリボンを簡易的に(開封済みの分包品をセロテープで止める)保管していたら、空気中の水分を吸収して少し固まっていました。

開封済みのホスリボンを保管する場合も、しっかりと注意しておきましょう。