デプロメール・ルボックスは併用薬・飲食物に注意【小児への使用もあり】

デプロメール・ルボックスは併用薬・飲食物に注意【小児への使用もあり】

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)はうつや社会不安障害などの治療薬として、世界的にも広く使用されている薬です。

その中でも、子どもに適応があるのは、フルボキサミンマレイン酸塩(先発品名:デプロメール、ルボックス)に限られます。

 

しかし、この薬は他の薬や食品との相互作用が起こりやすいため、色々と注意が必要です。

なお、2020年4月時点で小児への適応が通っているのは、先発品のデプロメールおよびルボックスのみです。

名前の由来

デプロメール:うつ病(Depression)に愛のメール
ルボックス:本剤の一般名である Fluvoxamine の下線部 luvox をとって命名した
しか
デプロメールの名前の由来が気になって仕方ないですが、本題に入ります。

デプロメール・ルボックスの基本と注意点【8歳から使用可能】

デプロメール・ルボックスは海外では1983年、日本では1999年から承認されているSSRIです。

日本で「8歳以上への強迫性障害」の適応が追加になったのは2017年からと、かなり時間が経ってからです。

なお、アメリカやオーストラリアなどでも、添付文書上は8歳から使用できます。

その他にも三環系抗うつ薬が適応外で子どもに使われることもありますが、抗コリン作用などの副作用が問題になりやすい印象があります。

 

成人の「うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害」には、1日50mgから始めて、1日150mgを1日2回に分けて服用を基本とします。

8歳以上の小児の強迫性障害には、1日1回25mg就寝前から始めて、1週間以上の間隔を空けながら1日50mgを1日2回朝・就寝前に服用します。
※11歳以下の女性は、男性及び12歳以上の女性と比較して血中濃度が上がりやすいことが知られています。

 

デプロメール・ルボックスにはともに25mg、50mg、75mgの錠剤がありますので、子どもでも1回1錠で服用することが可能です。

フルボキサミンマレイン酸塩は苦味が強く、口にすると舌がしびれるなどの刺激があるため、錠剤を粉砕したり割ったりせず飲めることが重要です。

そのため、粉薬やシロップは製剤化されていません。

 

食事により吸収の影響は認められていないので、食前・食後は基本的に気にしなくても問題ないでしょう。

併用禁忌・併用注意の薬や成分

食前・食後は気にしなくても良さそうですが、併用薬や併用飲食物には注意しなければいけません。

フルボキサミンマレイン酸塩は、薬物代謝酵素を広く阻害することが知られており、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4を阻害し、特に CYP1A2、CYP2C19の阻害作用が強いと言われています。

他の薬に影響を与えることが多い薬の代表例の一つと言えます。

 

併用禁忌薬は以下の通り。

  • MAO阻害剤:セロトニン症候群などの報告(中止後2週間以内も禁忌)
  • ピモジド:ピモジドの血中濃度上昇による心血管系の副作用のおそれ
  • チザニジン塩酸塩:チザニジンの血中濃度上昇により著しい血圧低下のおそれ
  • ラメルテオン:ラルメテオンの血中濃度が顕著に上昇するおそれ

適応外ですが、ラルメテオン(ロゼレム)は発達障害に関連する睡眠障害の治療として子どもにも使用されることがあります。

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また、現在は記載がありませんが、今後発売予定のメラトベル顆粒も併用禁忌となる可能性が高いです。
※服用間隔を数時間空けてもメラトベルの血中濃度が10倍以上に上昇する可能性が報告されています。

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併用注意薬はとても多いので、子どもにも使われそうなものだけを一部抜粋しています。

  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品:作用増強
  • 抗てんかん薬(フェニトイン・カルバマゼピンなど):抗てんかん薬の血中濃度上昇
  • テオフィリン:テオフィリンの血中濃度上昇
  • アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤:上部消化管出血のリスク上昇

また、併用注意には記載がありませんが、カフェインの代謝も阻害して、血中濃度を上昇させることも知られています。

カフェインを多飲・常飲している方は注意しておいたほうが良いでしょう。

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注意事項・副作用(眠気・吐き気)

フルボキサミンマレイン酸塩を使い始めるにあたり、以下にあてはまる患者さんには注意が必要とされています。

  • てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
  • 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
  • 躁うつ病患者
  • 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者
  • 衝動性が高い併存障害を有する患者
  • 心疾患のある患者
  • 出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者
  • 緑内障又は眼内圧亢進のある患者

 

特に小児の強迫性障害に使用する場合には、保護者(またはその代理)に、自殺念慮や自殺企図のリスクについて十分に説明することが求められます。

また、それらが心配になった場合であっても、自己判断で急に薬を中止・減量すると頭痛、嘔気、めまい、不安感、不眠、集中力低下等が見られることがあるので、まずは医師に相談することが重要です。

 

デプロメール・ルボックスを使用する場合は、副作用についても注意が必要です。

5%以上と報告されている副作用としては、眠気、嘔気・悪心、口渇、便秘があります。

食欲の低下や体重の減少についても気にしておきましょう。

なお、臨床試験における吐き気や嘔吐などの副作用は、継続して服用することで徐々に減っています。

 

また、滅多に起こりませんが、重大な副作用として痙攣・せん妄・錯乱・幻覚・妄想・意識障害・ショック・アナフィラキシー・セロトニン症候群・白血球減少・血小板減少・肝機能障害・黄疸・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が報告されています。

向精神薬との併用による悪性症候群にも注意が必要です。

 

過量投与による特徴的な症状として、吐き気や下痢などの胃腸症状、そして眠気やめまい、などの報告があります。

デプロメール・ルボックスの要点まとめ

子どもにも使用されることのあるデプロメール・ルボックスは、ここまでで紹介してきたように、適切な用法・用量だとしても以下の点に注意が必要です。

  • 8歳以上使用可(ただし11歳以下の女性は注意)
  • 割ったりすると苦味・刺激感があるので、そのまま飲み込む
  • 併用に注意が必要な薬や飲食物も多い
  • 副作用や注意事項も少ないとは言えない

 

全ての医薬品に何かしらの注意事項はありますが、デプロメール・ルボックスは「併用薬・併用飲食物」などに与える影響が大きいという点では、特に注意が必要な医薬品です。

過去の病歴や嗜好品、併用薬などの病院でも伝え忘れることがある事が、大きな問題になることもありえます。

問診などを手間に感じることもあるとは思いますが、適切に記載していただければと思います。