テグレトール(カルバマゼピン)の特徴など【細粒の味は苦く子どもは飲みにくいかも】

テグレトール(カルバマゼピン)の特徴など【細粒の味は苦く子どもは飲みにくいかも|相互作用への注意が必要】

子どものてんかん治療にも使われることのある、テグレトール(カルバマゼピン)の特徴などをまとめています。

実際に併用不可となる例は少ない印象がありますが、併用に注意すべき薬はとても多い薬なので、適切に使用することが肝要です。

テグレトールの特徴【味は苦く子どもには飲みにくい】

カルバマゼピンは世界的には1963年には抗てんかん薬として使用され始めた薬で、日本でも1966年には承認されて以来40年以上使われています。

てんかん以外にも三叉神経痛や躁状態に使われることもありますが、基本的に「子どものてんかんに使う場合」を想定して書いています。

 

テグレトールには以下の種類がありますが、子どもに使われるのは細粒が多いでしょう。

  • テグレトール錠100mg
  • テグレトール錠200mg
  • テグレトール細粒50%

先発品のテグレトール以外にも、ジェネリックのカルバマゼピン「アメル」、「フジナガ」があります。

 

原薬のカルバマゼピン自体に苦味があるので、細粒は口に入れて少しするとそれなりに苦味を感じます。

グレープフルーツジュースやごく一部の柑橘系ジュースを除けば、飲み物などと混ぜることで効果に影響は出ないと考えられます。

甘い飲み物や服薬補助ゼリーなどと混ぜても問題ないと考えています。

 

子どものてんかんに対しては、年齢や症状次第ですが、通常1日100~600 mgを2回程度に分けて飲みます。

テグレトールの副作用や注意点【眠気・ふらつきなど】

テグレトールの副作用報告は以下の通りです。

副作用調査例数 1,613 例中 614 例(38.1%)に 1,282 件の副作用が認められ、主な症状としては眠気 223 件(13.8%)、めまい 146 件(9.1%)、ふらつき 137 件(8.5%)、けん怠・易疲労感 56 件(3.5%)、運動失調 56 件(3.5%)、脱力感 50 件(3.1%)、発疹 46 件(2.9%)、頭痛・頭重 43 件(2.7%)、立ちくらみ 40 件(2.5%)、口渇34 件(2.1%)等がみられている。(効能追加承認時まで、剤形追加承認時まで及び文献の集計)
また、臨床検査値異常としてγ-GTP 上昇 18.1%(53/293)、AST(GOT)上昇 4.5%(15/335)、ALT(GPT)上昇 7.7%(26/336)、ALP 上昇 5.5%(18/325)、白血球減少 3.7%(12/321)等がみられている。 (効能追加承認時までの集計)
引用:テグレトールインタビューフォーム

 

眠気やめまい、ふらつきなどが出やすいと報告されており、「本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」との記載もあります。

投与開始初期に出やすいので、最初は少ない量から始め、徐々に増量していくこともあります。

副作用が強く出ると感じている場合は、早めに相談するようにしましょう。

 

急に減量や中止すると、てんかん発作につながることもあるので、自己判断での量の調整などはやめましょう。

乳幼児期は血中濃度の日内変動が大きいとの報告もあるので、体調変化を気にしてあげると良いでしょう。

 

カルバマゼピンの使用に当たって、禁忌事項や慎重投与となる事項がいくつかあります。

しかし、私の少ない経験では、今までにテグレトールが処方された子どもに当てはまったことはありません。

他のてんかん薬でも同様に注意されていますが、精神症状に変化が現れたら速やかに医師に相談してください。

 

投与初期に音階が半音下がって聞こえるという副作用が出ることがあるようですが、減量や中止によって改善するようです。

同じ副作用が出る薬として「フラベリック」という咳止めは有名で、音楽関連の仕事をしている人にとっては大問題になりかねません。

子どもの場合は、その判断も難しいかもしれません。

テグレトールの相互作用【注意すべき薬は多い】

カルバマゼピンは相互作用を受けやすく、多剤にも影響を与えやすい薬なので、併用に注意すべき薬がたくさんあります。

併用禁忌として以下の3種類の医薬品があり、これらの薬の血中濃度が低下する可能性がありすが、子どもに使用することは多くないでしょう。

  • ボリコナゾール (ブイフェンド)
  • タダラフィル (アドシルカ)
  • リルピビリン(エジュラント)

 

併用注意とされている薬はとても多いので、独断と偏見で子どもの使用頻度が高そうなものだけ抜粋してみました。

実際にはかなりの種類の薬品が併用注意とされていますが、上で紹介した薬を含め、その全ての薬と併用してはいけないわけではありません。

 

併用の可否については、個人個人でも異なります。

必ずかかりつけの医師・薬剤師に確認をお願いします。

 

てんかん治療の簡易的な説明と、他のてんかん治療薬の説明などを以下の記事でまとめています。

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胃腸炎関連けいれんに単回のカルバマゼピン

カルバマゼピンは、胃腸炎関連けいれんに使用されることがあります。

胃腸炎関連けいれんとは

発熱や脱水の有無に関わらず胃腸炎発症後2日以内にけいれんが起こり、3分以内の意識消失を伴うけいれんを何度か繰り返す。
けいれんが起きてない時は意識がはっきりしており、けいれんが起きてから24時間以内に症状がなくなることが多い。
生後6か月~3歳、その中でも特に1歳~2歳に多い。
再発率も低く予後も良好で、次回の胃腸炎の際に予防で薬を使うことも原則ない。
原因となるウイルスはロタ・ノロが多いが、それ以外でも起こりうる。
血液検査、脳画像検査、けいれんが起きていない時間の脳波にも以上が見られないことが多い。
カルバマゼピンとして、5mg/kgを1日1回、単回もしくは数日間程度だが、多くは単回投与で十分とされる。
その他にフェノバルビタール(ワコビタール坐剤など)を使用することもあります。

こどものけいれんに使われることが多いダイアップは胃腸炎関連けいれんには効きにくいとされています。

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胃腸炎けいれんとの関連は不明ですが、抗ヒスタミン薬の種類によってはけいれんを起こしやすくする可能性があります。

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今後ロタウイルスワクチンの予防接種の変更により、ロタウイルス感染症は減る可能性があります。

結果的に、胃腸炎関連けいれんも減る可能性もあるかもしれません。

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