こどもにも使われる漢方薬について説明します。
漢方薬は病気でなく、人を診て処方されるのが基本とされるので、特定の病気=特定の漢方とはならないことも多いです。
今回はわかりやすくするために、「特定の漢方がどんな症状に使われるのか」というまとめ方をしています。
子どもに使われる漢方薬(一部抜粋)
補中益気湯:虚弱体質の改善など
気を補う補気剤の一つで、こどもから大人までよく使用される漢方薬です。
虚弱体質の改善や、貧血改善目的などで使用されることがあります。
アレルギーを軽くするために使われることもあります。
抑肝散:精神安定など
神経過敏で興奮のあるお子さんを落ち着かせる目的で使用されたりします。
昔の漢方の本には、母親とこども二人とも飲むように。と書かれていたようです。
育児が大変だと保護者もイライラしがちなのでそのように書かれているようですが、母親と書かれているところに時代を感じます。
現代では父親も一緒に飲んでも良いかもしれませんね。
そもそもは、こどもの夜泣きなどに使われる漢方だったようですが、高齢者の不眠などにも使われています。
十全大補湯
補気剤の四君子湯と補血剤の四物湯を中心とした漢方です。
お子さんの繰り返す中耳炎や肛門周囲膿瘍(肛門の周囲に膿が溜まる)などに使われることがあります。
小建中湯:胃腸が弱い、便秘など
風邪を引きやすく、長引きやすい虚弱体質のお子さんや、胃腸の弱いお子さんの治療に使うことがあります。
食が細く低体重を改善する目的で使われる例も経験したことがあります。
また、便秘の改善に使うこともあります。
漢方薬の中では、比較的甘めで飲みやすい味だと感じます。
五苓散
五苓散は漢方で言う水毒(体内の水分のかたより)を改善するための漢方です。
下痢などの時に使うことが多いです。
細菌性の下痢などの場合は、下痢止めを使用しないほうが良いことが多いので、五苓散は使う機会もありそうです。
嘔吐がひどいときなどは、注腸(溶かしておしりから入れる)や坐薬にして使われることもあります。
二日酔いに効果があるとも聞きます。
麻黄湯
麻黄湯はインフルエンザに使うことも多い漢方ですが、それ以外の時にも使うことがあります。
熱と寒気があるような時に使うことが多いです。
葛根湯
麻黄湯に似た組み合わせの漢方で、かぜの初期や肩こりなどで使われたりします。
大人の方でも使われたことがある方は多いと思います。
風邪のひきはじめ=葛根湯ぐらいの印象がありますが、体力がない人には向いていないとされます。
誰にでも向いている漢方だとは思っていません。
私も風邪のひきはじめかなと思う時に使うことがあり、家に常備しています。
ヨクイニン
ヨクイニンは水いぼの治療などでよく使われます。
即効性はありませんが、比較的飲みやすいので続けるのはそこまで苦ではないと思います。
子どもの漢方の目安量は?【7歳半で大人の半分程度】
調べると色々と出てくるので明確な基準と言えるものはなさそうです。
そもそも漢方を専門とする先生方は、生薬ごとに量の調節をされるので、それも当然と言えるのかもしれません。
参考までに、私の周りでは、体重換算だと漢方エキスを1日量で0.2g/kg前後で処方されることが多いです。
年齢で考える場合、Von Harnack表などがわかりやすいように思います。
成人量を1とした時の目安の量になります。
未熟児 | 1/10 |
---|---|
新生児 | 1/8 |
6ヶ月 | 1/5 |
1歳 | 1/4 |
3歳 | 1/3 |
7歳半 | 1/2 |
12歳 | 2/3 |
子どもの漢方の飲み方
どの漢方にも共通して飲みやすい方法があるわけではありません。
あえて挙げるのであれば、ヨーグルト、牛乳、ココア、チョコアイス、はちみつなどが相性が良い漢方が多いです。
ヨーグルトやチョコアイスに混ぜる場合は漢方の粉のまま混ぜたほうが飲みやすいですが、牛乳・ココア・はちみつに混ぜる場合は、出来るだけ少量のお湯に溶かしてから混ぜたほうが飲みやすいです。
はちみつは1歳未満には使えないのでご注意ください。
個人的には1歳になったら即OKとは考えていません。
「にがいのにがいのとんでいけ」という服薬補助商品も割と万能に使えます。
「大人でも飲みにくい漢方薬をこどもに飲ませるのは大変だ」と身構えてしまうこともあるかもしれませんが、工夫次第では長期間続けれている子も多いです。
上手に飲めるように色々試してみましょう。