トリクロリールシロップの特徴・使い方・注意点など【検査時の鎮静・不眠症】

トリクロリールシロップの特徴・使い方・注意点など【検査時の鎮静・不眠症】

トリクロリールシロップは病院での検査時に寝るために、もしくは不眠症にも使われる薬です。

使用したことがある人は多くないかもしれませんが、無くてはならない薬の一つだと考えます。

トリクロリールシロップについて紹介します。

トリクロリールシロップの味と作用発現時間・持続時間

脳波検査時の入眠鎮静剤として、古くから「抱水クロラール」が用いられていました。

しかし、抱水クロラールは味や匂いなどが強く、飲み薬としては少々難があります。

抱水クロラールは坐剤として使われるケースもあります。

抱水クロラール坐剤

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そのため、抱水クロラール同様に体内で「トリクロロエタノール」に代謝され、味や匂いが比較的良いトリクロホスナトリウム製剤の「トリクロリールシロップ」が開発されました。

なお、抱水クロラールとトリクロロエタノールで同等の睡眠導入時間が認められています。

 

トリクロリールシロップは抱水クロラールと比較すると飲みやすいですが、それでも飲みやすい味とまでは言えません。

バニラのような匂いのあるオレンジ色のシロップですが、粘度が高くドロドロ、後味があまり良くない、飲む量も少なくないと三拍子揃っているので、飲むのに苦労するお子さんもおられます。

 

飲む量はシロップとして0.2~0.8mL/kgが標準なので、10kgなら2~8mL程度です。

通常成人量が10~20mLで、子どもでも20mLは超えないようにしなければなりません。

その量を味が誤魔化せる程度まで薄めると結構な量になりそうですので、薄めず飲んでから好きなものでお口直しが現実的だと思います。

 

トリクロリールシロップの作用発現時間はおよそ60分とされています。

投与後30分以内で35.4%、45分以内で76.1%、60分以内で94.0%が入眠したと報告されています。

入眠したい時間の30分以上前には飲んだほうが良さそうです。

 

また、作用持続時間は2~3時間以上睡眠が最も多いとされています。

小児では2~3時間が41.7%、5~6時間が14.2%で、2時間以上が68.8%。

成人では2時間以上が62.9%と報告されています。

 

5~6時間程度で作用持続時間は切れそうですが、排泄速度が遅いため24時間後も38%程度は成分が血液中に残っています。

念のため、目が覚めてからもしばらくの間は眠気などに注意したほうがより安全です。

 

検査に使用する場合は、病院で飲むことになるので問題ありませんが、自宅での不眠に使う場合は保管方法にも注意しましょう。

トリクロリールシロップは温度の影響を受けやすいため、凍結を避けて冷所(1~15℃)で保存して下さい。

注意点【禁忌・副作用・併用注意】

体内でトリクロロエタノールに代謝される成分(抱水クロラールなど)の過敏症、そして「急性間けつ性ポルフィリン症」は禁忌の対象です。

肝臓・腎臓・心臓の疾患、呼吸機能が低下、虚弱者・小児・高齢者が慎重投与の対象です。

また、連用により耐性・依存性などを生じることもあり、急激に量を減らす/中止すると離脱症状のおそれがあります。

 

併用注意としては、中枢神経抑制剤、アルコール、ワルファリン等が報告されています。

 

以前発売されていた錠剤と合わせた全副作用の発現頻度は6.33%で、眠気(1%)、めまい・ふらつき、胃の刺激感、頭痛(各0.5%弱)などが多いと報告されています。

重大な副作用としては、無呼吸、呼吸抑制、ショック、アナフィラキシー、依存性などが記載されています。

一般に子どもは薬物感受性が高く、無呼吸や痙攣の報告もあるため、投与は少量から慎重に行う必要があります。

また、過量投与の場合、呼吸抑制、徐脈、血圧低下などの可能性があります。

 

私の経験上、トリクロリールシロップは病院での検査で使われ、自宅で使用されることはそこまで多くないように感じます。

しかし、子どもでも不眠が問題になることはありますし、不眠の薬で小児量が設定されている成分は多くないため、「子どもの不眠にトリクロリールシロップ」が選択されるケースもあります。

自宅で使用される場合は、適切な使用が求められます

小児の不眠に適応を持つ薬が発売予定です。

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