【薬局薬剤師向け】ADHD適正流通管理システムにおける登録・調剤手順

ビバンせカプセルの発売に先駆け、2019年12月からADHD適正流通管理システムの運用が始まりました。

経過措置期間は存在しているものの、旧システムである「コンサータ流通管理システム」よりも、色々と厳格化されています。

自分で調べるついでに、薬局薬剤師向けに簡易的にまとめてみましたので、よろしければご利用下さい。

 

※追記

私は申請して一週間強で調剤責任者として登録されました。

なお、2020年の1月前半の時点では、まだあまり医師の登録は進んでいないようです。

絶対数の違いもあると思いますが、特に地方では医師の登録は多くありません。

ADHD適正流通管理システムに該当するかどうかの判断【前提】

新しい流通管理は、2019年12月から始まっています。

大きく変わるのは以下の3点です。

  1. 事前患者登録が必要になる
  2. 処方・調剤には患者カードが必要になる
  3. 処方・調剤時にシステム上で登録・確認作業が必要になる

 

処方する医師や、調剤する薬剤師も新しいシステムへの登録が必要となります。

しかし、旧システムからの引き継ぎなどもあり、いくつかの項目に経過措置期間が設定されています。

 

旧システムに登録済みの医師・薬剤師は、2020年6月末まで以前のようにコンサータを処方・調剤することが出来ます。

ただし、2019年11月30日以前にコンサータ服用歴がある方に対してコンサータが処方・調剤される場合に限ります。

 

速やかに患者カードが必要になるのは、「2019年12月以降に、新規でコンサータ・ビバンセを処方される方」です。

2019年11月30日以前にコンサータ服用歴がある方の場合、2020年中に医師は今まで通り、患者登録されなくても薬をもらうことが出来ます。

薬局薬剤師にとって、新システム再登録のハードルは高くないです。

システムの登録と更新について

調剤責任者の基準を端的にまとめると、3種のE-learningを受けた後にそれぞれのテストで合格し同意書類を提出した、過去にこのシステムで登録取り消し歴の無い薬剤師です。

 

テストは任意のタイミングで始めれるので、E-learningを業務の合間に少しづつ進めることも出来ます。

(それでいいかどうかは疑問ですが、)テストは受け直すことも出来るようです。

その後申請書類をダウンロードし、必要事項を記入の上アップロードすると、期間をおいて仮登録されます。

 

なお、最長5年毎に更新が必要です。

調剤責任者が変更した場合には、新しい調剤責任者が新規登録する必要があるのでご注意下さい。

コンサータ錠・ビバンせカプセルの調剤手順

調剤するときは毎回、確認事項6点の確認と、調剤内容の登録が必要です。

※元の記載から少し省略しています。

  1. 処方箋が真正である
  2. 未調剤の処方箋である
  3. 処方箋・患者カード・身分証明書を持参している
  4. 処方医師・医療機関が登録システムに登録されている
  5. 患者カードIDより得られた登録システム上の患者情報と、身分証明書の患者情報に矛盾がない
  6. 患者カードIDより得られた登録システム上の患者情報から、重複投薬や不適切使用の可能性がない

①、②は常に当然チェックするべきことですね。

 

③の身分証明書については、薬局においては健康保険証のみで良しとされます。

ただし、20歳未満の患者さんは本人の健康保険証だけでは不十分と書かれています。

その場合、代諾者(保護者やその代わりの人など)の身分証明書の確認も必要になります。

子どもだけで薬を取りに来るケースではお渡し出来ないことも起こりえますね。

 

④については、旧システムでも同様の注意点なので基本的には大丈夫だと思います。

しかし、旧システムに登録していた医師の中にも、新システムで登録しない医師がいるかもしれない点には注意しておきましょう。

 

⑤、⑥はADHD適正流通管理システムに都度ログインの上、確認が必要です。

重複投与及び、不適切使用に関してはどこまで厳密にすれば良いのかははっきりとした答えが無さそうです。

ADHDの特性上、数日分は余裕があったほうが良いとは考えていますし、残薬無しでないと調剤ができないというのは現実的ではありません。

明確なラインは出てこないと思いますが、明らかに問題がある場合は止める必要があるでしょう。

もちろん、ほとんどの場合は医師が処方箋を発行しないと思いますが。

 

なお、上記の6つの項目のうち、確認できなかった内容次第で、対応方法も決められています。

①、②が確認できなかった場合:有印私文書偽造罪に該当する可能性があるため、処方箋を回収し都道府県に報告する

③が確認できなかった場合:処方箋は本人に返却し、有効期限内に「処方箋・処方カード・身分証明書」を持参するように指示する。

④が確認できなかった場合:処方箋は回収し、処方箋発行医療機関及び登録システム事務局に報告する

⑤、⑥が確認できなかった場合:処方箋は回収し、処方箋発行医療機関に疑義照会を行い確認を行う。さらに登録システム事務局に報告する

 

これらが確認できた場合、調剤内容をシステム上に登録し、調剤→服薬指導という流れになります。

具体例は控えますが、調剤の登録を速やかに行うことは色々な点から不正防止につながります。

調剤における例外規定

先程紹介した6項目の内、「処方内容が未登録である処方箋を応需した場合」のみ例外規定が定められています。

 

その場合、以下の5つを全て満たせば調剤が可能です

  1. 処方箋発行医師が登録医師であること
  2. 当該患者が登録患者であること
  3. 当該患者で2回目以降のコンサータ又はビバンせの処方であり、前回の処方内容登録が完了していること
  4. 処方箋発行医師に疑義照会を行い、処方内容に疑義がないことを確認すること
  5. 登録システム上で上①~③を確認し、④を実施した旨を報告すること

 

処方箋発行医師に処方内容の確認をした上で、システムに疑義照会したことを登録する必要があります。

登録医の先生方には、ご自身、薬剤師、該当患者さんの3者のためにも速やかな処方登録にご協力をお願いいたします。

システム上で気になること【初回限定用紙|患者カードの紛失】

初回処方時限定ID番号記載用紙の存在

「初回処方までに患者カードの到着が間に合わない場合のみ、登録システムから初回処方時限定ID番号記載用紙を医療機関で印刷して用いることも可」とE-learningに記載がありました。

その用紙を印刷出来ている時点でシステムに登録が終わっていますので、薬局側の対応としては”初回限定”で患者カード代わりとして使用すれば良いようです。

この内容について調剤の項目に記載が無いのは、不親切に感じました。

 

なお、患者カードの到着には「3週間を想定している」と事務局のフリーダイヤルでは説明されています。

患者カードが発行されてから処方してもらえると安心して調剤が出来ますが、処方しようと思ってから3週間は長い期間にも感じます。

患者カード紛失時の対応

患者カードを紛失した場合、医療機関にてその旨を伝えて再度発行してもらう必要があります。

患者カードが届くまで時間がかかることは間違いないでしょうし、「受診しようと思ったらカードが無かった」場合、原則としてしばらく処方出来なくなります。

 

なお、再度発行する場合には、紛失した患者カードのIDの番号が必要とのことです。

本人や家族にもメモを残してもらうことに加え、病院や薬局でもIDは残しておきたいところですね。

 

ADHDの患者さんにカードを紛失しないようにしてもらうという制度設計に対してわずかに疑問を感じてはいますが、適正管理のため気をつけていただくしかないのかもしれません。

コンサータ・ビバンセの流通管理を守ることは患者さんを守ること

コンサータの管理には以前から色々とルールがありましたが、この改定で以前よりも厳格になりました。

 

システムの変更はビバンせカプセルの発売の兼ね合いもあると思いますが、「不適切使用」を減らすことが前提であることには間違いないでしょう。

ビバンセはもちろん、コンサータについても依存リスクなども考えておく必要があります。

 

日本でも「処方されていない人がコンサータを服用した」と思しきケースをネット上で見かけることがあります。

万が一、医療側が流通管理を杜撰にした結果として問題が起きることがあれば、ルールが更に厳格化されることは間違いありません。

 

このシステムにおける薬局での確認事項は、医師の作業量に比べるとかなり少ないです。

治療で必要とする患者さんに今後も届けれるように、我々も適切な流通を守っていきましょう。