ファロムドライシロップの味と飲み方、副作用など【3歳未満の下痢に注意】

ファロムドライシロップの味と飲み方、副作用など【3歳未満の下痢に注意】

ファロムドライシロップ小児用10%は「小児用」という名称の通り、子どもにも使用される抗生物質です。

使用頻度が高い薬ではありませんが、とびひなどの皮膚感染症や、中耳炎などの耳鼻科関連の感染症で処方されているのを見かけることがあります。

 

患者さんから飲めなくて困っていると相談されたことがなく、比較的飲みやすいとされる薬ですが、とても飲みにくい製品にあたったことがあります。

問題なく飲めていてはいても「下痢が続く」と相談されるケースもあります。

ファロムが原因で起こる下痢には起こりやすい年齢も報告されています。

ファロムドライシロップの味や飲み方、注意点などについてまとめます。

ファロムドライシロップの味や飲み方【においが気になることも】

ファロムには以下の種類があり、2020年7月時点では日本ではジェネリックは発売されていません。

  • ファロム錠150mg
  • ファロム錠200mg
  • ファロムドライシロップ小児用10%

子どもには成分のファロペネムナトリウム水和物として、通常1回5mg/kg(※上限は10mg/kg)を1日3回服用します。

 

飲み忘れの対策として「毎食後」に用法が設定されることが多いですが、食事による影響は大きくありません。

とはいえ、適切な効果を発揮するためには定期的な時間間隔を空けることも重要なため、その間隔については処方医や薬剤師に相談してください。

 

ファロム錠の使用目安は体重30kg程度からなので、ある程度の年齢になるまではドライシロップしか選択肢がありません。

ファロムドライシロップはオレンジ味のドライシロップで、水に溶かすと透明になります。

苦味のある成分ですが、ドライシロップは比較的味が誤魔化せているので飲めない子が多いわけではありません。

 

水に溶かして飲めない場合の参考として、指導せんでは以下のものに混ぜることが推奨されています。

  • 牛乳
  • スポーツドリンク
  • バニラアイスクリーム
  • オレンジジュース

基本的にはここまで知っておけば飲めることが多いと思います。

 

しかし、かなりのレアケースだとは思いますが、私はとても飲みにくい味のファロムドライシロップを味見したことがあります。

それは他店舗で不動品となって受け取り依頼をされた期限間近の製品でした。

その製品は当店で保管された製品と比較すると「とてもにおいが悪かった(有り体に言うと臭かった)」のです。

 

ここからは想像でしかありません。

ファロムドライシロップのインタビューフォームには、吸湿して香料の減少や主成分の分解による特異臭が発生することがある、熱による苛酷試験で特異臭が認められている、ことが確認できました。

つまり、薬局において適切に管理が出来ていない場合に、「とても飲みにくい味のファロムドライシロップ」にあたる可能性があるのかもしれません。

 

医薬品の管理においては温度・湿度・光の管理が欠かせません。

これらは簡単に管理できますが、一方で少しの不注意で適切でない環境にもなりやすい項目です。

改めて医薬品管理の環境の重要性を実感することが出来ました。

 

「臭いファロムドライシロップ」は調剤できるものではないと判断し、廃棄しました。

以降、定期的に薬の味やにおい、見た目などを確認することも重要なことだと考えています。

基本的にはファロムの処方日数はせいぜい数日なので、自宅での保管については通常の注意点と同様で良いと考えます。

 

なお、ファロムの錠剤はフィルムコーティング錠なので、味を感じず飲み込めます。

ドライシロップが飲めない場合、錠剤が飲めて体重が30kg以上であれば錠剤を選択することも出来ますので、相談してみてもいいかもしれません。

副作用と併用注意薬【3歳未満の下痢に注意】

ファロムドライシロップの市販後調査における副作用は、367例/3613例(10.2%)あり、主な副作用として下痢・軟便が9.7%、発疹が0.3%、蕁麻疹0.1%などが報告されています。

 

重大な副作用としては以下の報告がありますが、全て頻度不明か0.1%未満であり、私個人としては遭遇したことは一度もありません。

ショック、急性腎不全、偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎、 中毒性表皮壊死融解症(TEN) 、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 、間質性肺炎、肝機能障害、黄疸、無顆粒球症、横紋筋融解症

 

最も副作用報告の多い「下痢・軟便」については以下の傾向があると報告されています。

  • 3歳以上(4%)に比べ、3歳未満(13.5%)が高い
  • 投与開始から3日目までの見られることが多い
  • 1回投与量が高くなるにつれ発現頻度が高くなる

 

ペニシリン系、セフェム系又はカルバペネム系抗生物質でアレルギー歴、アレルギー症状を起こしやすい家族がいる、高度腎障害、高齢者、経口摂取不良や全身状態が悪い、下痢症状がある場合などは慎重投与とされています。

 

また、併用注意薬としては以下の3薬品が挙げられています。

他に病気がない子どもに使用するケースはほとんどないと考えます。

ファロムが問題なく飲める場合でも、下痢や食事の状況については少し気にしておくようにお願いします。

 

その他の薬の、味や飲み物との相性をまとめています。

参考にしてください。

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