ビバンセカプセルの特徴と、他のAD/HD治療薬との簡易比較

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療薬として発売予定の【ビバンセカプセル】について調べてみました。

既存のAD/HD治療薬との比較もしています。

ビバンセカプセルについて【大人不可、海外旅行へ持参は可能に】

ビバンセカプセルの基本情報【6~17歳〇、大人は×】

ビバンセカプセル20mg、30mg(有効成分:リスデキサンフェタミン)は、AD/HDの治療薬として2019年12月に発売されました。

基本的に、6歳から17歳の患者さんを対象として使用されます。

ただし、17歳以前から使用している場合に限り、18歳以上も使える可能性はあります。

 

日本では初めての有効成分ですが、海外では以前から使用されており、アメリカにおいては「VYVANSE」の商品名で発売されています。

2017年の売上は世界で21億ドルだそうです。

 

リスデキサンフェタミンは代謝されることで、デキストロアンフェタミンに変化します。

海外では摂食障害の薬としても使用されています。

日本においては、AD/HDに使える中枢神経刺激薬として、コンサータに続いて2つ目の薬です。

ビバンセカプセルは覚せい剤原料【海外旅行は4月から可能に】

ビバンセカプセルは覚せい剤原料に指定されています。

処方・調剤はADHD適正流通管理システムに登録された医師・薬剤師しか出来ません。

使用患者さんのデータはそのシステムに登録する必要があります。

不正使用対策として、ある程度厳しめの管理は仕方ないと考えていますし、医療者側も順守を怠るべきではありません。

 

ビバンセカプセルは覚せい剤原料なので、海外旅行に持っていくことは出来ません。

2020年4月に、最寄りの厚生局の許可をもらえれば、海外に持ち出すことが可能になりました。

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無包装状態では吸湿性があるので分包しないこと、となっています。

一包化は出来ないと考えておきましょう。

ビバンセカプセルについての知識(AD/HD治療薬としてのリスデキサミンフェタミン及びアンフェタミンに関するメタ分析)

リスデキサンフェタミンについての知識がなかったので、3つほどメタ分析を選んで読んでみました。

気になったところだけ抜粋しているので、詳しくは原文を確認ください。

リスデキサンフェタミンは、他のAD/HDに使用される薬と比較して、睡眠障害(39%)、食欲不振(65%)、易刺激性(60%)などを引き起こす可能性がより高かった。
参考:Efficacy and safety of drugs for attention deficit hyperactivity disorder in children and adolescents: a network meta-analysis.
臨床医による評価ではリスデキサンフェタミンも含めてプラセボより優れていたが、教師の評価ではプラセボと差がなかった。
AD/HDの短期治療の第一選択薬として、小児および青年のメチルフェニデート、および成人のアンフェタミンを支持する。
参考:Comparative efficacy and tolerability of medications for attention-deficit hyperactivity disorder in children, adolescents, and adults: a systematic review and network meta-analysis.

 

今のところ、私の中では、【リスデキサンフェタミンは効果が優れているが、副作用が起きやすいかも知れない】という印象を持っています。

ビバンセカプセルを含めた、AD/HD治療薬の簡易比較(依存性・副作用・注意事項など)

AD/HD治療薬は4剤目になるので、簡易に比較してみました。

各治療薬に対して私が持っている印象も加えています。

中枢神経刺激薬は不眠傾向、非中枢神経刺激薬は傾眠傾向があります。

中枢神経刺激薬(ビバンセ・コンサータ)

ビバンセカプセル(有効成分:リスデキサンフェタミン)

依存性あり

主に脳内のドパミンとノルアドレナリンの遊離促進・再取り込み阻害することで作用する。

効果は優れているが、副作用が出やすいかもしれない。

コンサータ(有効成分:メチルフェニデート)

依存性あり

主に脳内のドパミンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで作用する。

不眠の副作用への対応のため、基本的に午前中に服用する。

食欲減退の副作用で、処方変更になる例が多い印象があります。

ビバンセカプセル同様に、ADHD適正流通管理システムへの登録が必要です。

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非中枢神経刺激薬(ストラテラ・インチュニブ)

ストラテラ(有効成分:アトモキセチン)

依存性なし

主に脳内のノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで作用する。

眼球刺激性があるので、カプセルを空けないように注意。液剤も同様。

効果が出るのに一ヶ月程度かかる。

 

唯一、液剤があるので、錠剤やカプセルが飲みにくい人にも選択しやすい。

CYP2D6にて代謝されるので併用薬に注意が必要。

副作用の訴えは少ないが、効果不十分で処方変更になる例が多い印象です。

2018年12月にはジェネリックも発売されています。

>>アトモキセチンカプセル・錠・内用液の比較【ストラテラのジェネリック/子どもにも使いやすいのは?】

インチュニブ(有効成分:グアンファシン)

依存性なし

主に脳内のアドレナリンα2A受容体を刺激し、交感神経を抑制することで作用する。

日本では2017年5月から使用が可能になった。

小児のAD/HDにのみ適応がある。

 

用量変更時などは、血圧や脈拍などの検査が必要。

CYP3A4、CYP3A5で代謝されるので、相互作用に気をつけるべきもの(薬や飲食物)が多数存在する。

血圧低下の副作用で治療中止になる例が多い印象です。

添付文書によると、傾眠の副作用は57.5%となっていますが、印象としてはもっと少ないです

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なお、現在日本において多く使われるADHD治療薬は、「コンサータ」と「ストラテラ」です。

ゼブラフィッシュ(精神疾患の研究で活用されることのある魚です)を用いた実験では、それぞれの脳での働きや行動への影響が異なるとの報告されています。

例えばゼブラフィッシュにおいては、コンサータは不安様行動を高め、ストラテラは不安様行動を軽減する結果となっています。

これがそのままヒトに対しても当てはまるかどうかは不明です。

 

しかし、現状の両剤の使い分けよりも、さらに一歩踏み込んだ使い分けが今後出来る可能性があります。

また、安易に「コンサータが処方できないからストラテラ」という選択も好ましくないかもしれません。
※コンサータを処方するには厳しい制限があり、一部の医師しか処方ができません。

 

AD/HDは診断が非常に難しい病気です。

適切な診断を受けるために、専門医への受診をおすすめします。

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