モンテルカストの副作用に関するアメリカFDAの警告について【不安でもまずは冷静に】

モンテルカストの副作用に関するアメリカFDAの警告について【代替薬は?】

FDAから発表されたモンテルカストに関する警告について考えています。

モンテルカスト服用中の人がどこかでこの情報を聞き、不安になって検索した時にここにたどり着いてもらえたら、落ち着いて読んでもらえたらと思います。

 

時に週刊誌などで「飲んではいけない薬」などのセンセーショナルな見出しで紹介されることもあります。

いずれモンテルカストもそのような紹介をされることがあるかもしれません。

代替薬が選択できる場合に、あえてモンテルカストを選ぶ根拠は以前よりも少なくなっているのは間違いないかもしれません。

 

しかし、モンテルカストによる副作用は頻度が高いものとも言えませんし、適切に注意していれば問題なく使えます。

実際に問題なく使えている方がほとんどです。

まずは焦らず、自己判断で中止するリスクも考え、冷静に相談してもらえたらと思います。

FDAでモンテルカストの警告【精神面の副作用への注意】

今回発表されたブラックボックス警告は、FDA(アメリカ食品医薬品局)による最も重たい警告とされます。

これは、モンテルカストによる精神面での副作用報告に起因します。

以下の行動や気分に関連した変化を経験した場合、医療専門家に相談するように推奨されてます。(クリックで開きます)
  • 攻撃的な行動や敵意を含む動揺
  • 注意不足
  • 悪い夢・はっきりとした夢
  • うつ病
  • 見当識障害または混乱
  • 不安を感じる
  • 幻覚(実際に存在しないものを見たり聞いたりする)
  • 過敏性
  • 記憶の問題
  • 強迫性症状
  • 落ち着きがない
  • 夢遊病
  • どもる
  • 自殺念慮と行動
  • 振戦・震え
  • 寝られない
  • 不随意な筋肉の動き

※直訳しており、ニュアンスが異なっている可能性があります。

これらの症状が見られたとして、明確にモンテルカストの影響だと言い切るのも困難です。

なかなか眠れない日があったり、悪い夢を見ることは日常的に起こりうることだということは、多くの人が経験的に知っているはずです。

 

1回の不眠で過度な心配をする必要はないと考えますが、明らかにいつもと違う様子が続くようであれば相談してみたほうが良いかもしれません。

 

また、自殺への影響も示唆されていますが、FDAの報告によると、自殺例の多くは薬物の使用・自傷行為などの自殺の原因となりうる他の因子があったとしています。

衝撃的に感じる報告ではありますが、表面的な内容だけで判断をされないようにお願いします。

精神面での副作用疑いが出た場合も、多くの場合モンテルカストを中止することで解消しています。

 

FDAの警告は、モンテルカストを即座に中止することを推奨しているわけではありません。

精神面での副作用について、今まで以上に注意していくことが大切です。

新規処方の場合に事前に精神疾患の有無を確認することや、飲み始めてからの体調変化を確認していくことなどは、今まで以上に求められてくることでしょう。

モンテルカストの代替薬は?

現状問題なくモンテルカストを使えている人が、速やかに代替薬に変える必要があるのかについては疑問があります。

重大な副作用があるとはいえ、頻度が高いわけでもありません。

市販薬でも致死的な副作用も報告がありますし、怖がり過ぎてパニックになるのも問題です。

 

精神的な副作用が強く出た場合はもちろんのこと、どうしても不安なのであれば、医師と相談して代替薬へ変更になることもあると思います。

 

アレルギー性鼻炎の治療にモンテルカストを使用しているのであれば、抗ヒスタミンの内服薬や点眼薬、点鼻ステロイドなどの使用などいくつもの選択肢があります。

まずはそれらを選択する流れがより加速するのではないかと考えます。

 

一方、ぜんそく治療の場合、代替薬の選択肢が多くはありません。

モンテルカストなどのロイコトリエン受容体拮抗薬は、基本治療の治療ステップ2や追加治療のステップ1にも記載があるほど使用頻度が高いです。

ロイコトリエン治療薬全体を選択肢から除外してしまうと、ぜんそく治療の選択肢がかなり限られてしまいます。

 

その場合、初期から吸入ステロイド使用のケースが増えそうですが、「吸入薬」をいきなり処方されると戸惑う患者さんも少なくありません。

モンテルカスト類似薬のプランルカストが選択されることが増える可能性もありますが、プランルカストはモンテルカストよりも海外では使用されていません。

そのため、データが十分でないのでわかっていないだけで、プランルカストでも同様の問題が起こる可能性もあります。

 

また、プランルカストに変更すると、用法が増える(1日1回→2回)こと、粉薬は苦味が目立つことなどから、服薬遵守(コンプライアンス)の低下の懸念もあります。

服薬出来ない結果、ぜんそくコントロール不良になるのもまた問題です。

モンテルカストを自己判断で中止するのはリスク

「特に気になる症状が出ているわけではないけど不安だから」という気持ちで、自己判断でモンテルカストを中止しないでください。

必要だから処方されているわけであり、自己判断での中止にはぜんそく悪化のリスクもあります。

大切なことは、心配であれば自己判断せず、信頼できる専門家に相談することです。

 

このようなケースでは、まずはじめに相談すべきは「かかりつけ医」です。

薬を変更できるのかどうか、治療を続けたほうが良いのか、それらは病態によります。

病態はひとりひとり異なるので、診断に関わっていない薬剤師が安易に判断できることではないからです。

 

もし、そのハードルが高ければ、まずは薬剤師に相談してみてください。

薬局で薬の種類を変更することは出来ませんが、不安があることを医師に伝えるお手伝いはできます。

 

現時点での情報では、モンテルカスト服用によるメンタル面の副作用を極端に怖がる必要はないと個人的には捉えています。

だからといって、無視して良いわけでもありません。

適切な注意喚起を行っていくことが大切だと考えます。

関連記事

モンテルカストは1歳以上のお子さんから、高齢の方まで使う可能性のある薬です。小児ぜんそくのお子さんに使われることも少なくありません。 モンテルカストを使用中の保護者の方から聞かれる質問や、薬剤師として伝えた[…]

モンテルカストは効果が出るまでどのくらい?眠気などの副作用や味について【シングレア・キプレス】