子ども用市販薬の注意点と症状別の選択肢など【2歳未満は受診が原則】

子ども用市販薬の注意点と症状別の選択肢など【2歳未満は受診が原則】

子どもの急な体調不良時に「市販の薬で対応出来ないか?」と考えたことはありませんか?

 

子どもが体調不良になることは日常茶飯事です。

「これぐらいなら受診しなくても良いと思うけど、少し症状は楽にしてあげたい」というケースもたしかにあります。

新型コロナウイルス流行以降は受診控えが起きていることを考えると、市販薬で対応されているケースも増えていることが想像されます。

 

しかし、2歳未満の子どもは医師の診察が優先され、市販の薬を使用することは推奨されていないことは知っておきましょう。

自分で症状を伝えられなかったり、急変も少なくないため、特に注意が必要です。

 

もちろん、市販薬を使っていけないとは思いませんし、私も自分の子どもに使用したこともあります。

しかし、日本で発売されている子ども用の総合風邪薬・咳止め・鼻水の薬などは、一般的に小児科で使用されている薬とは大きく異なります。

「昭和のころの治療薬かな?」とすら感じますし、子どもには推奨出来ないと個人的に感じている成分すらあります。

 

個別の症状によって適切な薬も変わるので「この成分は良くない」と言い切るのも難しいですが、「なんとなく」で選択することは注意したほうが良いでしょう。

リスクも含めて自己判断で使うので「市販薬」であり、個人的には「適切に選んで欲しい」と考えます。

 

前提として、咳・鼻水・下痢などは、身体からウイルスや細菌などを排出するための身体の正常な反応だという面があります。

症状によっては薬を使ったほうが良いかもしれませんが、少なくとも必須ではありません。

子ども用の市販薬について考えます。

子ども用の市販薬の問題点【前提】

子ども用の市販薬は成分が1種類しか含まれないものは少なく、複数種類の成分が配合されているものがほとんどです。

市販薬は重篤な副作用が出にくいような配合量にされていることもありますが、「不要な成分を飲んでいる」可能性が高くなります。

1つの薬で色々な症状を抑えれるというメリットがある一方で、1つの薬で様々な副作用が出ることも懸念されます。

 

小児科に受診した時に、風邪の診断に対して5種類以上の薬を出されることはあまりないと思います。

その点からも、なんとなく市販薬は配合成分が多いことが理解出来るのではないでしょうか。

 

「症状に応じて、リスクとベネフィットのバランスを考えた上で、最小限の薬を使用することが理想的」であることは誰もが納得出来ることだと思います。

たくさんの成分が配合されている小児用の市販薬には、言い方は悪いですが「数撃ちゃ当たる」的な印象も受けます。

 

医療や薬の知識がない人が最小限の薬を適切に選んで買うのが困難なことも事実なので、成分が複数になるのは仕方がない面もあると思います。

しかし、ドラッグストアにも薬剤師や登録販売者がいますので、しっかり相談した上で使用することが重要です。

 

市販薬服用前に添付文書をよく読んで、理解してから使うことも重要です。

子どもに使う場合は、保護者の方が確実に目を通してから使うようにしてください。

市販薬はリスクを軽減するため、同成分の医療用製剤よりも厳しく記載されています。

一方で、医師から処方される医療用医薬品は、「あなた個人」に処方されている薬なので、事前に色々聞き取りをした上での処方です。
「あなた」が使うための注意はされていますが、「あなたの家族」が使うことは一切想定されていません。
市販薬は「注意事項に当てはまらない人なら使える薬」で、医療用医薬品は「あなたが注意事項に当てはまらない(もしくは問題ない程度である)ことを医師・薬剤師が確認しているので、あなたが使える薬」なのです。
絶対に自己判断で自分以外には使用しないように。

 

見逃しがちなケースとして、「喘息の人は使わないように」とされている貼り薬などもあります。

「風邪薬だから」、「貼り薬だから」といって、誰にでも使えるわけではないことは頭の片隅に入れておきましょう。

 

実際に「使ってはいけないと書かれている市販薬を使ってしまった」という相談を受けることは時々あります。

OTCを買うときにもお薬手帳を持っていって相談すれば、安全な選択の手助けになるのではないかと思います。

市販薬販売時の最重要項目は「受診勧奨すべきかどうかの判断」だと考えています(もちろん大変難しいですが)。

咳・鼻水・鼻詰まりの薬は注意

咳:薬以外の選択肢も検討

市販の子ども用咳止め薬は、咳止め効果があるという根拠が弱い成分がほとんどです。

そのため、個人的には子どもに咳を止めるための市販薬の使用はおすすめしにくいです。

また、せき、総合風邪薬、トローチ剤などの一部に含まれる「リゾチーム塩酸塩」は鶏卵によりアレルギーを起こしたことがある方は使用出来ない点にも注意が必要です。

 

病院に行くほどではない咳であれば、はちみつやヴィックスヴェポラップなどを使用してみても良いかもしれません(※どちらも薬ではありません)。

はちみつ

はちみつは1歳未満は避けなければなりませんが、一般的な咳止めよりも副作用は少なく、かつ効果的という報告もあります。
参考:Honey for acute cough in children

こちらのコクランレビューによると、咳の症状緩和としては「治療なし」や「ジフェンヒドラミン」よりも優れており、「デキストロメトルファン」よりは多少効果が劣る可能性があります。

 

「ならばデキストロメトルファンを使用すれば良い」という考えもありますが、個人的にはデキストロメトルファンは子どもには使いにくいと考えています。
※現実としては使われることもありますし、しっかりとルールの範囲で使用すればまず問題はありません。

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ご存知の通り、はちみつは採れた場所やどんな花の蜜を使われているのかなどで味や風味なども異なります。

摂取量についても研究ごとにばらばらですので、スプーンひとすくい程度を「試してみる」ぐらいの感覚で使ってみたほうが良いと思います。

繰り返しますが、はちみつは1歳未満には絶対に使わないように!!

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ヴイックスヴェポラッブ

また、ヴイックスヴェポラッブについては、咳止めなどとの比較ではありませんが、夜間の咳に効果的との報告があります。
参考:Vapor rub, petrolatum, and no treatment for children with nocturnal cough and cold symptoms

 

「ワセリンを塗る」及び「治療なし」と比較して、風邪に伴ういくつかの症状(夜間の咳、鼻詰まり、睡眠困難な症状の緩和)が緩和され、落ち着いて寝れることに寄与します。

ただし、独特の刺激感があるので、嫌がるようなら避けたほうが良いかもしれません。

ヴイックスヴェポラッブも医薬品ではありませんが、蜂蜜同様に「試してみる」のは良いのではないかと考えています。

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鼻水・鼻詰まり:鼻水吸引や鼻うがい

子どもの鼻水を抑える市販薬は第1世代抗ヒスタミン薬ばかりです。

第1世代抗ヒスタミン薬はけいれん既往歴があるお子さんへの使用は控えたいですし、脳内移行性が高いものが多い点にも注意が必要です。

一方、アレルギーなどで子どもに処方される抗ヒスタミン薬は副作用の懸念が少ない第2世代がほとんどです。

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鼻詰まりの薬はカルボシステインアンブロキソールなどが処方されますが、子ども用の市販薬にはありません。

 

病院に行くほどではないが鼻水が気になるという場合は、鼻水吸引が安全かつシンプルな対策です。

自分で出来る年齢であれば、鼻うがいも選択肢に上がります(鼻うがいは心理的ハードルが高いようで、おすすめしてもだいたい微妙な顔をされます)。

下痢・便秘【症状に応じた対応】

下痢:整腸剤を検討、下痢止めは注意

下痢が毎日頻回に出ていたり血が混じる場合などを除いて、「症状:下痢のみ」ならあえて受診する必要性は低く、薬を使う必要性も低いでしょう。

病院へ行くほどではないので市販薬を使いたい場合は整腸剤は検討しても良いでしょう。

新ビオフェルミン細粒なら3か月から使用可能です。

 

なお、原因次第では下痢止めを使用しないほうが良いことがあります。

細菌やウイルスの感染による胃腸炎の場合には、下痢によって腸内の細菌・ウイルスを出そうとしています。

そこで下痢止めを使ってしまうと、下痢の原因をずっと体内に残すことになり、症状の持続や悪化の要因にもなりかねません。

受診せずに安易に下痢止めを使うのは控えたほうが良いと考えます。

 

ちなみに、うちの子が1日2回程度の下痢が2日続く程度であれば、受診もせず薬も使いません。

単発の下痢に対して、整腸剤をあえて常備しておく必要性は無いと感じます。

 

また、一部の下痢止めに含まれる「タンニン酸アルブミン」は牛乳アレルギーがある方は使用出来ません。

便秘:慢性の場合は受診を推奨

便秘は下痢のようにシンプルに考えるのが難しいため、市販薬を選択するケースは多くないと思います。

うちの子は慢性便秘と診断されていたので、処方された便秘治療薬を使用していましたし、浣腸を切らした際に市販のものを購入して使うこともありました。

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しかし、便が固く大きくなりすぎている場合などでは浣腸を含めた便秘薬を使わないほうが良いこともあります。

便秘が続いたり、排便を痛がる・嫌がる場合などは受診をおすすめします。

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発熱【長引く場合は必ず受診】

発熱があったとしても、それ以外の症状がなく食事も食べれているような状態なら、受診も服薬もせず様子を見ても良いこともあるでしょう。

短期間であれば市販の解熱剤の使用も問題ないことがほとんどです。

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ただし、5日程度熱が長引く場合には、川崎病などの疾患を除外するためにも受診が重要です。

 

うちの場合は、40度近い熱が出たとしても、他の症状が軽く元気で食事なども問題なければ2~3日は様子を見ることが多いです。

解熱剤を使うかどうかの判断は「辛そう」や「夜寝れない」などで、熱だけで判断することはまずありません。

高熱が5日続くことも少ないので、発熱や咳鼻などを主訴とする受診は平均して年に1回もありません。
もちろん、受診したほうが良いと考える場合は受診させています。

 

とはいえ、誰しも子どもに熱が出たら心配になりますし、軽症であっても「受診してはいけない」なんて事はありません。

心配であれば受診を検討しても良いでしょう。

 

ただし、子どもに処方される解熱剤はほとんどが「アセトアミノフェン」で市販の子ども用坐薬と同成分です。

医療用と市販のものとで使用できる量は異なりますが、解熱効果はせいぜい1~2℃程度で効果も短時間です。

2回分使っても解熱効果が2倍にはなりませんが、副作用頻度は2倍以上になる可能性があります。

病院に受診したとしても、使った瞬間平熱に戻るような夢の薬はありませんし、「点滴してもらったらすぐ治る」なんてこともありません。

 

早めの受診が重要な病気もあるので軽視もいけませんが、無理して受診するよりも家でゆっくり寝ていたほうが良いこともあります。

病院や薬局で他の患者さんから感染するケースもありますし、受診が遅れて重症化するケースも考えられます。

 

その他にも、まれに「酔い止め」の薬を使用することもあるかもしれません。

酔い止めは種類によって成分も様々なので、確実に添付文書を確認してください。

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「受診する/しない」や「薬を使う/使わない」は、正解がないことも多々あり、確実に判別できる方法はないでしょう。

「大丈夫そうなら少し様子を見る」という選択肢も持てるようになると良いのではないかと思います。

「大丈夫ではなさそう」だと思えば、必ず速やかに受診してください。

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