セントジョーンズワートが医薬品に与える影響について【定期薬ある方は要相談】

セントジョーンズワートが医薬品に与える影響について【定期薬ある方は要相談】

セントジョーンズワート(和名:セイヨウオヨギリソウ)はサプリメントやハーブティーなどが市販されており、ドラッグストアなどで販売されています。

しかし、色々な薬の効果に影響を与えることはあまり知られていません。

カモミールをメインとしたブレンドティーに含まれるケースもあるため、知らない間に今飲んでいる薬に影響を与えてしまう可能性があることに注意が必要です。

 

見逃されたり軽視されがちな理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)の名前に馴染みがないこと
  • (日本においては)医薬品ではないため軽視されやすいこと
  • アルコールや喫煙より使用者の絶対数が圧倒的に少ないこと
  • 実際にどれぐらい影響があるのか未知の部分があること
  • 漢方やハーブなどの植物由来の成分は、相互作用や副作用がない、もしくは軽いと誤解されていること

 

しかし、セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)は数多くの医薬品の併用注意薬として記載されており、中には効果に大きく影響が出そうな薬もあるため、あまり軽視するわけにもいきません。

セントジョーンズワートについて紹介します。

セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)について

セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)は、ドイツなどではうつ状態の改善目的の「医薬品」として扱われています。

一方、日本やアメリカなどではサプリメントやハーブティーとしての使用されています。

 

なお、医薬品として使われる場合は300mgを1日3回服用されるケースが多いようですが、日本のサプリメントでは1日600mg前後の量が多い印象です(記載の上限量を超えての服用は絶対にいけません)。

医薬品扱いかどうかは量だけの問題ではなく、単に「医薬品として認可されているかどうか」の違いという印象です。

 

うつ病に対しての効果については色々な報告があり、あまり一貫していないような印象があります。

コクランレビューでは、プラセボよりは優れ、多くの抗うつ薬よりも副作用は少なそうだと報告されています。
参考:St John’s Wort for Major Depression

 

気分を上げるために使われることなどがあるため、「ハッピーハーブ」とも呼ばれています。

脱法ハーブのような名称に感じてしまいますがそういった類のものではありませんし、少なくとも日本においては誰が飲んでもルール違反にはなりません。

 

ルール違反ではありませんが、万人が注意無く摂取して良いものとも言えません。

セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)は、医薬品の効果に大きく影響を与えるケースがあるからです。

セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)が影響を与える医薬品

セントジョーンズワートが医薬品の効果に影響を与える機序は複数個あることが知られています。

例えば、P-gp誘導、CYP3A誘導、CYP2C9誘導、PXR(プレグナンX受容体)活性化作用、MAO-B阻害作用などが報告されています。

P-gpとCYP3Aの2種類だけでも、関わってくる医薬品の数は100を超えます。

軽度の影響を含めれば、様々な医薬品に関連する成分です。

 

セントジョーンズワートが影響を与える医薬品として、カフェインテオフィリン、ワルファリン、フェニトイン、バルビツール酸系、プロパフェノン、カルバマゼピン、アミオダロン、タクロリムス、シクロスポリン、トルバプタン、抗HCV薬、抗HIV薬、エプレレノン、リバーロキサバン、アピキサバンなどがあります。

これ以外にもまだまだあります。

 

中でも、ジゴキシン、アミオダロン、シクロスポロン、タクロリムス、テオフィリンなどはTDMの対象になる薬(厳密に薬の濃度を計算する薬)です。

そして、セントジョーンズワートを続けることでジゴキシンのAUCを25%低下させたという報告があります。

参考:Pharmacokinetic Interaction of Digoxin With an Herbal Extract From St John’s Wort (Hypericum Perforatum)

 

つまり、セントジョーンズワートは緻密に計算して安全かつ効果的な濃度を設定する薬に大きな影響を与えることもあるということです。

 

どの組み合わせなら、どの程度なら併用して良いのかは、その都度考える必要があります。

少なくとも私がセントジョーンズワートを摂取しているのであれば、受診先の医師・薬剤師には必ず伝え、お薬手帳の表紙にペンで書くぐらいには慎重な対応をするでしょう。

余談ですが、急な病気や事故などで救急搬送された場合、併用薬だけでなくサプリメントや嗜好品の記載がある適切に管理された紙のお薬手帳が役に立ちます。
最近は電子お薬手帳が人気ですし私も使っていますが、いざという時にはスマホ自体にロックが掛かっているので誰にも開けません。
万が一のケースまで考慮すれば、「紙のお薬手帳を常時持ち歩く」のが一番安全だと言えます。
私を含め、定期的に使う薬が全くないのであれば、電子お薬手帳でも困ることは少ないと考えています。

セントジョーンズワート(セイヨウオヨギリソウ)摂取は慎重に検討

覚えていただきたいのは、「セントジョーンズワートは様々な医薬品の効果に影響を与える可能性がある」ということです。

薬の種類によっては、ほとんど効かなくなる可能性すらあります。

 

定期的に服用している薬がある人がセントジョーンズワートの服用を検討している場合、セントジョーンズワートを服用しているかたが何かしらの医薬品(短期間・市販薬含む)を服用する場合などでも必ず医師・薬剤師などに相談してください。

市販の風邪薬や胃腸薬は問題なく併用出来ても、セントジョーンズワートはダメというケースも多々あるでしょう。

すでに抗うつ薬を飲んでる人がサポート感覚でにセントジョーンズワートを摂取すると、薬の種類によっては逆効果にすらなりえます。
※血圧や血糖値の薬を飲んでいる人がサポート感覚で健康食品を摂取しているのは良く見かけるので、十分ありえることかと。

 

最大の問題点は、そんなに薬に影響があるサプリメントがあるという事実を学ぶ機会が無いことです。

知らないことには注意しようがありません。

サプリメントやハーブなどでも薬に影響を与えるものがあることは知っておきましょう。

 

他に薬を使用していない方がセントジョーンズワートを自己判断で試してみることは問題ありませんが、サプリメントの口コミを見る限りでは人によっては体調変化が出やすいかもしれません。