便秘に使われるセンノシドは成人~高齢者で使用されることが多いですが、年長児に使用されることもあります。
しかし、センノシドを含む便秘薬はいくつかあるため、少々わかりにくくなっています。
※実際に使用するに当たっては、そこまで気にせずに使えると思います。
センノシドを含む医薬品について紹介します。
センノシドを含む医薬品の違いと共通点
センノシドを含む医薬品には以下のような種類があります。
- プルゼニド錠
- センノサイド顆粒
- ヨーデルS
- アローゼン顆粒
- ダイオウ末
まず大事な点として、「センノシド」は成分名であるということです。
そのセンノシドを多く含む植物として「センナ」や「ダイオウ」が知られています。
プルゼニド錠やセンノサイド顆粒は成分としてのセンノシド、アローゼン顆粒は植物としてのセンナを使用しています。
使用時にその違いが問題になることはまずありません。
βカロテンと人参の関係のようなもので、βカロテンのサプリと人参をイメージするとわかりやすいかもしれません。
これらの薬の違いですが、どれも「センノシド」が含まれていることに変わりはありません。
そのため、禁忌・副作用・注意点も基本的には共通といえます。
センノシドは胃や腸では吸収されずに、大腸で腸内細菌によって活性化し、大腸を刺激することで排便を促します。
基本的に便秘薬として使われますが、単純な便秘ではない病気(急性腹症など)が原因の場合は、禁忌に該当することもあります。
また、下痢は電解質(主にカリウム)の低下につながるため、十分に食事が取れないなどの状態での使用にも注意が必要です。
大腸以外にも子宮の収縮にもつながることがあるので、妊娠中(可能性も含む)は原則禁忌扱いです。
妊婦さんに使用されるケースも無いわけではありませんが、可能であれば他の便秘薬を選択したほうが好ましいと考えます。
副作用としては腹痛が起こりやすく、下痢や吐き気なども起こりえます。
薬の成分と尿のアルカリが反応して、尿の色が濃い黄色~赤っぽい色に変わることもあります。
また、長期・大量に連用することで耐性が出来ることが知られています。
耐性が出来ると薬なしでは排便が困難になる可能性もあるため、基本は他の薬を使用するなど必要時だけの使用が好ましいです。
センノシドを含む医薬品を個別に紹介
続いて、センノシドを含む薬の特徴を見ていきます。
センノシドの含有量はそれぞれ異なりますが、通常量の範囲であれば効果に差は感じないのではないかと思います。
プルゼニド錠・センノサイド顆粒
この2種類は成分としてのセンノシドA・Bを含有した製剤で、使い方も同じです。
プルゼニド錠は1錠あたりセンノシドA・Bとして12mgを含有した糖衣錠です。
味や匂いを気にせず飲めるメリットがありますが、錠剤なので細かい量の調節は難しいです。
成人量は1回1~2錠を1日1回就寝前に服用(高度の便秘への最大量は4錠)します。
服用後8~10時間で大腸の蠕動運動を亢進して便通をもたらすため、寝る前に飲んで翌朝の排便効果が期待されます。
センノサイド顆粒8%「EMEC」は1g中センノシドA・Bとして80mgを含有した顆粒です。
白糖などが添加物に入っており、類似薬のアローゼン顆粒などよりかは飲みやすいと言えるでしょう。
成人量は1回0.15~0.3gを1日1回就寝前に服用(高度の便秘への最大量は0.6g)します。
ヨーデルS糖衣錠80
ヨーデルSは1錠中にセンノシドAとして16mg(センナエキスとして80mg)を含む黄緑色の糖衣錠です。
成人量は1回1錠を寝る前に、高度の便秘の場合は2~4錠を頓用として服用します。
連用する場合と小児(6~12歳)量が記載されているのが特徴的です。
連用する場合は1回0.5~1錠を毎食後に、小児には1回0.5錠を就寝前服用とされています。
小児量が明確なのは良いですが、半量の小児用製剤がありません。
薬局で半錠にしてお渡しすることが多いため、保管には少々気を使ったほうが良いでしょう。
アローゼン顆粒【センナ製剤】
センナはヨーロッパで1000年以上前には便秘薬として使われており、アローゼン顆粒にはセンナ(葉)とセンナジツ(実)が1.5:1で配合されています。
また、ヨーロッパで民間薬として使われているいくつかの植物エキスも配合されています。
植物としての量で配合されているため、センノシドとしての成分量は多少ばらつく可能性があります。
IFでは、1gあたりのセンノシドAとセンノシドBの合計量は10~20mgとされているので、15mgを基準としていると考えられます。
※センノシドC・Dなども含まれていますが、A・Bよりは少ないとされる。
匂いと苦味のある茶褐色の粉薬で、便秘だけでなく駆虫剤投与後の下痢にも使用されます。
成人への通常量は1回0.5~1.0gを1日1~2回です。
ダイオウ末【大黄製剤】
ダイオウは生薬として古来から使用されているタデ科の植物で、根茎を健胃薬や瀉下薬として使用します。
単独で便秘に使われることは少なく、漢方薬の配合生薬の1つとして使用されることが多いです。
産地の違いによる成分含量の差が大きいとも言われています。
匂い・渋み・苦味などがあり、ストレートに言うと「まずい砂」という印象があります。
唾液も一時的に黄色くなります。
セチロ配合錠
センナ・ダイオウだけでなく、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウム水和物、オウレンなどの複数の便秘に使う成分を配合しています。
総合風邪薬ならぬ総合便秘薬のような印象があります。
私は調剤したことが無い薬ですが、使い所が限られそうな印象があります。
センノシドを含む市販薬【日本は年齢制限厳しい】
センノシドを含む便秘薬はドラッグストアなどでも買うことが出来ますが、使用できる年齢が限られるので子どもには使いにくいでしょう。
例えば、以下のような製品があります。
- コーラックハーブ(15歳から)
- 山本漢方センナ顆粒S(11歳から)
海外では6歳から使える市販のセンノシド製剤「ex-lax® Regular Strengthなど」はありますが、日本では制度上使えないのでご注意下さい。
日本において販薬で対応したいのであればマグネシウム製剤などのほうが良いかもしれません。
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