母乳育児はビタミンD不足による「くる病」に注意【子ども用サプリもあります】

母乳育児はメリットも多いですが、一部の栄養素が不足しやすい点には注意が必要です。

母乳育児の子どもに不足しがちな栄養素の一つとして、「ビタミンD」があります。

 

最近は共働き世帯が多いため、完全母乳育児の割合は少ない印象もあり、あまり患者さんとビタミンDについて話をする機会は多くありません。

子どもの栄養相談をする機会にはビタミンDについてお話をすることがあるので、その内容についてまとめます。

 

まずはじめに、誤解しないでいただきたいこととして、ビタミンDが不足しがちになるからと言って、母乳育児を否定しているわけではありません。

母乳育児ならではのメリットもたくさんありますし、我が家の子ども達も離乳食が始まるまではほぼ母乳だけでした。

「母乳育児を選択した場合に、ビタミンDが不足しないように」注意喚起をすることを目的としています。

ビタミンD欠乏性くる病が増加【日光浴は大切ですが、過度にならないように】

ビタミンD不足による問題として、「ビタミンD欠乏性くる病」の発症原因になることが挙げられます。

 

ビタミンD欠乏性くる病は、近年報告数が増加しています。

くる病は、ビタミンDの欠乏やその他の代謝異常などにより骨の石灰化障害につながる病気で、O脚やX脚などの骨変形や成長障害の原因となり得ます。

 

くる病はビタミンDを補充するだけで予防できる可能性がある病気なので、知っておいていただきたい知識の一つです。

なお、ビタミンDは日光に当たることでも生成されますが、過剰に日光に当たることは皮膚がんのリスクを上げるなどのデメリットにも注意が必要です。

 

子ども、特に赤ちゃんは、大人と比べると皮膚が薄いため紫外線による影響も大きく、過度な日光浴はおすすめできません。

「日光浴は15分程度で良い」と書かれている事が多いですが、15分とはあくまで目安あり、住んでいる地域や時期などによっても左右されます。

環境省の資料には以下のように記載されています。

「何分ぐらい日光浴すれば足りるの?」というのは、皆さんが良くされる質問ですが、地域(住所)や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキンタイプ)など多くの要因で左右されるため、一律に「○○分」と表現することはできません。「○○分」はあくまでも目安で、地域や季節、時刻などで判断することが必要です。これらを踏まえた上で、400単位(10μg)のビタミンDを産生するのに必要な時間を計算してみると、標準的な日本人(スキンタイプⅢ)が、皮膚の25%(概ね、両腕と顔に相当)を日焼け止めをせずに露出して、東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間。同様に1月1日の昼ごろに12%(顔と手程度に相当)を露出して外出すると約50分などと計算されます。
引用:環境省 紫外線環境保健マニュアル2015

過剰な日光浴もおすすめしませんが、過剰に日光を避けるのもおすすめ出来ません。

「赤ちゃんの日光浴ちょうどよい時間」を示すことは出来ませんが、適度な日光浴は大切です。

ビタミンDが不足しないために【母乳育児は特に注意】

母乳育児の場合、ビタミンDは不足しやすいです。

※なお、母乳ではビタミンKも不足しやすく、ケイツーシロップが使われています。

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以下の報告は、日本の健康な4歳未満の子ども290人の血清25-ヒドロキシビタミンD(25OH-D)を調査した結果です。
Current Vitamin D Status in Healthy Japanese Infants and Young Children.

この報告では、母乳育児をした乳児の75%以上、食物が摂取された乳児および幼児の14.6%以上がビタミンD欠乏または不十分な状態にあると定義されています。

※ビタミンDが不足しているという報告であり、、ビタミンD不足=くる病ではありません。

 

粉ミルクには母乳の数倍のビタミンDが含まれているため、粉ミルクをメインにしている場合はビタミンDの欠乏は起こりにくいとされます。

では、どれぐらいのビタミンDを摂れば良いのでしょうか。

国際的コンセンサス勧告によると、くる病と骨軟化症の予防のためのビタミンD補給として、出産から12ヶ月齢までのすべての乳児に400IU /日(10μg)のビタミンD摂取が推奨されています。

しかし、離乳食が始まる前の母乳栄養の子がビタミンDを10μg/日摂ることは難しいでしょう。

 

対策として、以下の2点を提案しています。

  • 母親のビタミンD摂取量を増やす
  • 子どもにビタミンDサプリをあげる

順に説明します。

母親のビタミンD摂取量を増やす

そもそも成人女性のビタミンD摂取量自体が十分とは言えません。

ビタミンDは、鮭やマグロなどの魚、牛レバー、卵、きのこ類などに含まれていますが、ビタミンDを含む食品自体が少ないので、食事の偏りがあると不足することもあります。

海外ではビタミンDが不足しないように、牛乳にビタミンDを添加している国もあります。

 

そして、母親が少し多くビタミンDを摂取したぐらいで、母乳中のビタミンDが十分量になるとも言えません。

以下の報告によると、母乳育児をしている母親が1日6400IU(160μg)のビタミンDサプリメントを飲むことで、子どもに1日400IU(10μg)のサプリメントを飲ませるのと同程度、赤ちゃんの血液中のビタミンDが上昇するようです。
Maternal Versus Infant Vitamin D Supplementation During Lactation: A Randomized Controlled Trial.

厚生労働省の資料によると、成人のビタミンDを摂取量の上限は100μgとなっているので、160μg摂取すると過剰になる点には注意が必要です。

ビタミンDは脂溶性ビタミンなので過剰摂取による過剰症にも注意は必要ですが、通常の食事のみで過剰になることはまずないと考えます。

また、ビタミンDのサプリメントを併用していたとしても、適切な量を守っている以上、過剰になることは考えにくいです。

子どもにとって十分な量かつ、母親にとって過剰にならないための適切な量ははっきりしませんが、母親が積極的にビタミンDを摂取することで、母乳中のビタミンDを増やすことは出来そうです。

 

とはいえ、母親が食事だけから100μg近くのビタミンD摂取するのはとても大変なので、サプリメントの使用が現実的だと感じます。

日本のサプリはビタミンDの量が25μg/日程度のものが多いです。

 

ちなみに大塚製薬のビタミンDサプリの場合、1日1粒が目安で、1000IU(25μg)のビタミンDが含まれています。
※これを何粒も飲むことを推奨してるわけではありません。

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続いて、子ども用のビタミンDサプリも紹介します。

子ども用ビタミンDサプリもあります

母乳育児のビタミンDの補給として、子ども用のビタミンDサプリメントも検討しても良いでしょう。

こちらのほうがシンプルな選択肢と言えます。

頻度は高くないですが、実際に患者さんにもおすすめすることがあります。

 

BabyDは1日1~2滴使用します。2滴で4μgのビタミンDを摂取できます。
通販などでも買うことができます。

私が患者さんにすすめるのはこちらです。

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BabyD200という製品もあり、こちらは1日1滴で5μgのビタミンDをを摂取できます。

Amazonなどでは購入できず、医療機関や、森下仁丹のオンラインショップ(医療関係者からの紹介必要)で購入出来ます。

 

BabyDとBabyD200のどちらも、母乳育児のお子さん向けを対象としています。

200は使われている方を知らないのではっきりとしたことは言えませんが、BabyDは味もなく飲みやすいので、続けることが困難という話は聞きません。

 

 

母乳育児はメリットもとても多いですが、母乳が完全栄養というわけでもありません。

ビタミンDについて不安があれば、一度かかりつけの小児科や薬局で相談してみることをおすすめします。
多いとは言えませんが、ビタミンD製剤(アルファロール)を処方されているケースもあります。