リスパダール(リスペリドン)の味や飲み方・副作用【内用液は混ぜてはいけない飲み物もあり】

リスパダールの味や飲み方・副作用【内用液は混ぜてはいけない飲み物もあり】

こどもの「自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」に使われることのあるリスパダールについての内容です。

リスパダールは他の病気の治療にも使われますが、当記事では子どもに使うことを前提として書いています。

リスパダールの種類

リスパダールにはいくつもの剤形があります。

  • リスパダール錠1mg,2mg,3mg
  • リスパダールOD錠0.5mg,1mg,2mg
  • リスパダール細粒1%
  • リスパダール内用液1mg/mL

ジェネリックも発売されていますが、特許の関係で「自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の適応が通っているのは先発品のリスパダールのみです。

※ジェネリックは効果がないと言うわけではなく、特許の問題ということでご認識ください。

また、リスパダール錠の3mgも適応がありません。

 

リスパダールを小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に本剤を使用する場合は、 原則として5歳以上18歳未満の患者さんに使うこととされています。

量は以下を参考にしてください。

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
体重15kg以上20kg未満の患者:通常、リスペリドンとして1日1回0.25mgより開始し、4日目より1日0.5mgを1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mgずつ増量する。但し、1日量は1mgを超えないこと。

体重20kg以上の患者:通常、リスペリドンとして1日1回0.5mgより開始し、4日目より1日1mgを1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mgずつ増量する。但し、1日量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg、45kg以上の場合は3mgを超えないこと。
引用:リスパダールインタビューフォーム

リスパダールの味と飲み方【内用液は混ぜてはいけない飲み物も】

リスパダールの原薬は苦味があるので、粉薬も内用液も苦みがあります。

苦味を強く感じる薬ですので、何かに混ぜたりして飲むことも多くなると思います。

 

そこで注意していただきたいのが、リスパダール内用液です。

リスパダール内用液は一部の飲み物との相性が悪く、薬の成分量を低下させることがあります。

注意すべきは以下の飲み物です。

  • 茶葉抽出飲料(紅茶、烏龍茶、日本茶等)
  • コーラ

原液のまま飲めるのであればそれが理想的ですが、それが難しい場合は、果汁100%のジュースに混ぜるのであれば問題になることはまずないと思います。

 

また、一部の液状の薬(シロップ)と混ぜることでも、成分量が減ることがあります。

あまり混ぜることは少ない薬かもしれませんが、念の為以下のシロップとは混ぜないようにご注意ください。

リスパダールの副作用や注意すべきこと、過量投与

リスパダールの副作用

小児期の自閉性障害に伴う易刺激性を有する患者を対象とした国内臨床試験において、副作用(臨床検査値異常を含む)は38例中32例(84.2%)に認められた。その主なものは傾眠24例(63.2%)、体重増加13例(34.2%)、食欲亢進10例(26.3%)、高プロラクチン血症4例(10.5%)、不安3例(7.9%)、よだれ3例(7.9%)、浮動性めまい2例(5.3%)、便秘2例(5.3%)、倦怠感2例(5.3%)であった。(承認時)
引用:リスパダール添付文書

眠気や食欲の増加などの気になる副作用も少なくありません。

初めての服用の際にお薬の説明を受けていて、不安を感じられるのも当然かと思います。

 

私が知っている範囲に限れば、軽度と言える程度の副作用が起こることは珍しくありません。

それでも、困るほど目立った副作用が出ることは少ないです。

処方された場合、まずは試してもらいたいと思います。

リスパダール服用にあたって注意すべきこと

リスパダールを飲むにあたって注意すべきこととしては、血糖値の上下です。

高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)のどちらも起こりうるとされます。

そのような変化がないかを、飲み始めや増量時などを中心に、しっかり注意していただきたいと思います。

 

血糖値の上下が原因で、服用を続けれないことは少ないですが、注意をしていただきたい内容でもあります。

リスパダールの過量投与

過量投与
徴候、症状:
一般に報告されている徴候、症状は、本剤の作用が過剰に発現したものであり、傾眠、鎮静、頻脈、低血圧、QT延長、錐体外路症状等である。
処置:
特別な解毒剤はないので、症状に対して一般的な対症療法を行うこと。必要に応じて、気道を確保し、酸素の供給及び換気を十分に行うこと。胃洗浄、活性炭及び緩下剤の投与等の実施を検討し、不整脈検出のための継続的な心・血管系のモニタリングを速やかに開始すること。
引用:リスパダールインタビューフォーム

 

以下は過量投与に関しての報告の一例です。

フィラデルフィア地区で実施された13ヵ月にわたるプロスペクティブな調査において、31例(成人29例、小児2例)の過量投与症例が報告された。本剤単独投与例15例(服用量は1~180mg)、他は他剤併用例(本剤服用量2~180mg)であった。発現した症状は頻脈、嗜眠、ジストニア、低血圧、徐脈、昏睡、痙攣等であった。胃洗浄及び通常の支持療法のみを受けた例がほとんどであったが、抗痙攣剤(フェニトイン)、抗不整脈用剤(アデノシン、ジルチアゼム)の投与を受けた症例もあった73)。
引用:リスパダールインタビューフォーム

 

おそらく成人例だと思いますが、180mg服用例もあるようです。

過量投与につながらないように、薬の管理はしっかりとお願いします。

大人の薬をこどもが誤飲する例もありますので、小さいお子さんがいる家庭は特に注意しましょう。

リスパダールに影響を強く与える併用薬について

リスパダールは主として肝代謝酵素CYP2D6で代謝され、一部CYP3A4の関与も示唆されているため、併用するのに注意すべき薬はいくつかあります。

 

併用禁忌扱いとなっているのは、アドレナリン(ボスミン)のみで、アドレナリンの作用を逆転させて血圧を下げたりする可能性があるので注意が必要です。※アナフィラキシーに使用する場合は除きます。

アドレナリンの使用はかなり限られると思いますが、使用する可能性も0ではありません。

お薬手帳を持ち歩くことで回避できる可能性は高そうです。

 

併用禁忌よりは重要度は下がりますが、併用注意とされている薬は以下の通りです。

中枢抑制剤
バルビツール酸誘導体等
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ドパミン作動薬相互に作用を減弱することがある。
降圧薬降圧作用が増強することがある。
アルコール相互に作用を増強することがある。
CYP2D6を阻害する薬剤
パロキセチン等
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。
CYP3A4を誘導する薬剤
カルバマゼピン
フェニトイン
リファンピシン
フェノバルビタール
本剤及び活性代謝物の血中濃度が低下することがある。
CYP3A4を阻害する薬剤
イトラコナゾール等
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。

リスパダールインタビューフォームを参考に作成
※表に記載があっても絶対に使えないというわけではありません。

 

 

リスパダールは副作用の心配もありますし、患者さんにお渡しする薬情(薬の説明書きの紙)を読んで少し心配になられる方もおられます。

注意すべき点はありますが、自己判断での中止がないようにお願いします。

心配があれば病院や薬局に相談するようにしてください。