急性・慢性副鼻腔炎の治療に抗生物質は必須なのか?

患者さんと話していると、過去の経験からか、【副鼻腔炎には必ず抗生物質を使う】と思われていることがありますが、必ずしもそうではありません。

副鼻腔炎にもいくつか種類がありますが、大きく分けて急性副鼻腔炎か慢性副鼻腔炎の2種類があります。

 

急性副鼻腔炎では、症状に応じてアモキシシリンなどの抗生物質を使うことがあります。
慢性副鼻腔炎の場合、マクロライド系抗菌薬を炎症を抑える目的で長期間使うこともあります。

どちらにせよ、必ず抗生物質が必要と言うわけではありません。

国内外の一部診療ガイドラインの内容を見てみます。

急性副鼻腔炎に抗生物質は必須なのか?

急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)を参考にしています。

軽症の場合は、抗生物質を使わずに経過をみることが推奨されています。
初期はウイルス感染が原因になることが多いので、耐性菌を増やさないためにも抗生物質は不要とされています。

 

症状の悪化があれば、抗生物質を使用することになります。

抗生物質を使用する場合、第一選択としてアモキシシリン(サワシリン・ワイドシリン)が選択され、効果がない/期待できない場合はセフェム系が選択されます。
日本では適応がありませんが、海外ではクラバモックスも使われているようです。

 

また、ニューキノロン系の抗生物質(クラビット・オゼックスなど)が使われることもあります。
成人に対しては、アモキシシリンやセフェム系が無効の場合や重症例に使われることがあるようです。
子どもに対しては、頻用による耐性菌の増加を防ぐためにも推奨はされていませんが、使わざるを得ない場合もあると聞きます。

子どもにはワイドシリンなどが使われることが多い印象です。

 

抗生物質の試用期間は、種類によっても異なりますが、日本で7~14日(欧米では10~14日)続けます。

欧米では急性副鼻腔炎にステロイドの点鼻薬を使うこともあるようですが、日本においては適応がないためあまり使われることはなさそうです。

慢性副鼻腔炎に抗生物質は必須なのか?

マクロライド系抗生物質は、抗炎症作用や気道上皮に対する作用などを期待して、慢性副鼻腔炎に少量長期投与されることがあります。

イギリスの副鼻腔炎のガイドライン(BSACI guidelines for the management of rhinosinusitis and nasal polyposis.)においても、慢性副鼻腔炎に対してマクロライド系抗生物質の約12週間投与が推奨されています。

 

クラリスロマイシンは苦味が強いので、子どもが飲み続けるのが少し大変かもしれませんが、飲んだり飲まなかったりすることは、耐性菌の増加につながる可能性も否定できません。

飲みにくいようなら、しっかりと苦味対策をするようにしましょう。
苦味対策としては>>>苦い薬の飲ませ方を薬剤師が教えます。
飲み物との相性は>>>薬と飲み物などの相性一覧表と、味や飲みあわせなどの注意事項【苦味の強さも比較しています】

などを参考にしてください。

 

ちなみに、イギリスの副鼻腔炎のガイドラインにはマクロライド系抗生物質以外にも、以下の内容がgradeAとして推奨されています。

  • 点鼻ステロイドの使用
  • 追加治療としての生理食塩水による鼻洗浄
  • アレルギー患者への経口ヒスタミン薬の追加

点鼻ステロイドは、フルチカゾン、モメタゾン、ブテソニド(日本未発売)は子どもの長期的な成長に対する研究でも安全性が高いデータがあるとされています。
こちらも適応がないので、あまり使われることがないと思います。

慢性副鼻腔炎にはマクロライド系抗生物質が使われることが多いですが、絶対に必要というわけではありません。

副鼻腔炎の治療には、必ず抗生物質を使うのか?

結論としては、【抗生物質を使うこともあるし使わないこともある】という曖昧なものです。

当たり前な結論ではありますが、必ず抗生物質を使うというわけではないということは知っていただきたいと思います。

抗生物質を飲んでも早く治らないのであれば、むしろ無いほうが良いですよね。
薬がないと不安になることもあるかもしれませんが、それだけ症状が軽いと考えていただければと思います。

 

また、副鼻腔炎の治療においては、適切な鼻処置も大切とされています。
耳鼻科への受診が理想的ですが、家庭で鼻水の吸引を行う場合は、電動鼻水吸引器の使用を検討しても良いかもしれません。
>>>電動鼻水吸引器の比較とおすすめ【医療費控除にもなります】

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