「軽い気持ちで水いぼの相談に行ったら、あまり説明ないままピンセットでつまんで取られてびっくりした。」と患者さんから相談されてこともあります。
水いぼってよく聞くけど、いったいどんなものなのか良くわからない方は是非読んでいってください。
- 水いぼとはなにか?
- 治療しないといけないのか?
- どんな治療法があるのか?
- ヨクイニンはどれぐらいで効果が出るのか
以上のことを理解してもらえると思います。
水いぼってなに? 水いぼを広げないための注意点
水いぼの病名は「伝染性軟属腫」です。
原因は弱いウイルスです。
水いぼ自体は痒みもないですが、水いぼの周囲に痒みが出ることはあります。
見た目は気になりますが、必ずしも治療をしないといけないわけではありませんし、半年~2年ぐらいで自然に治癒すると言われます。
小学校入学前~低学年ぐらいの子どもに多いと言われます。
水いぼの中にはそのウイルスが含まれており、そのウイルスが他の人に接触するとうつります。
自宅のお風呂でもタオルを共用しないようにはしておいたほうが良いかも知れません。
洗濯ものは別々に洗わなくても大丈夫です。
体や手足に出来ることが多いですが、全身出来る可能性があります。
保育園などでの集団生活では子ども同士で触れ合う機会も長いので、どうしてもうつりやすいでしょう。
水いぼがあったらプールに入ってはいけない?
患者さんから「水いぼがあるので子どものプールはやめたほうが良いですか?」と聞かれることがあります。
日本皮膚科学会は以下のような見解を出しています。
伝染性軟属腫(みずいぼ)
プールの水ではうつりませんので,プールに入っても構いません.ただし,タオル,浮輪,ビート板などを介してうつることがありますから,これらを共用することはできるだけ避けて下さい.プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう.伝染性軟属腫ウイルスは皮膚と皮膚の直接の接触,またはタオル,浮輪,ビート板などを介して感染することが知られている.しかし,通常のプールでの活動で皮膚が直接病変部に接触することにより感染がおこる可能性は低いと考えられている.また,プールの水を介して感染することを示唆する報告はなく,海外のガイドラインでも,プールに入ることを禁じる必要はないとされている.ただし,タオルなどの体に触れるものを他の児童と共用しないように指導することは重要と考えられる.手や器物を介して感染するので,水泳後の手洗い,シャワー浴は感染を低下させる可能性がある.なお,この意見はエキスパートオピニオンであり,実際に感染の拡大を防ぐ有効な方法として検証されたものは無い.
参考:日本皮膚科学会:皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解に関する解説
プールに入ることまでは禁止しなくても良いという見解です。
現実としては、個々の幼稚園や保育園などによってルールがあるようですので、それぞれ確認してください。
子ども同士がまったく触れ合わずにプールの時間が終えれるとは思えないので、厳格に感染対策をするのであれば「プール禁止」も理解できます。
個人的にはあまり気にせず、プールに入れば良いのにと思ってしまいますけどね。
水いぼの治療【ヨクイニンは効果が出るまで12週?】
水いぼの治療法をいくつかご紹介します。
約30%が18か月で改善せず、
約13%が24か月で改善しなかったとされています。
参考:Time to resolution and effect on quality of life of molluscum contagiosum in children in the UK: a prospective community cohort study.
水いぼは半年~1年ぐらいで自然に治る印象がありましたが、自分が考えていたよりも長引くことも多そうです。
ただし、水いぼは必ずしも急いで治療をする必要はありません。
個人的には、特に理由がなければ自然と治るのを待っても良いと考えています。
とはいえ、前述のようなプールの問題などもあるので、治療するかどうかは個別に考えていくべきだと考えます。
早く治したい場合には以下のような治療方法があります。
【水いぼの治療】ヨクイニン:味は美味しく子どもにも使います
ヨクイニンはハトムギの一部を用いた漢方です。
医療用のヨクイニンと市販のヨクイニンがあり、どちらもそれなりに使われている印象はあります。
また、健康食品や食品、化粧品などにもハトムギが使われていることもあります。
幅広く使われているヨクイニンですが、水いぼ治療にヨクイニンが効果的というエビデンス(根拠)は十分とは言えません。
水いぼに対してヨクイニンエキス散とプラセボ(偽薬)を、体重30kg未満の患児は6g/日、体重30kg以上の患児は12g/日、それぞれ12週間連日経口投与した結果、プラセボより少しは有用という報告はあります。
参考:伝染性軟属腫に対する「ヨクイニンエキス散」の臨床効果-placeboを対照とした多施設二重盲検法による比較試験-
しかし、12週間連日飲むことで得られる結果としては、十分とは言えないように感じてしまいます。
少なくとも、劇的に効果が出るわけでは無いでしょう。
水いぼの治療にヨクイニンを使っても効果が十分とは言えないですが、痛みも傷も感じず、少しでも早く治したいのであれば選択肢に入るでしょう。
小さいお子さんにもヨクイニンでの治療を選択されることがあります。
ヨクイニンの粉末はモサモサしていますが、子どもでも飲みやすいと思います。
医療用のヨクイニンエキス錠「コタロー」は子どもでもバリボリと噛んで美味しく食べれると思います。
大人の場合、1回3~6錠を1日3回飲みます。
なお、ヨクイニンに明確な小児量は設定されていません。
ヨクイニンエキス「コタロー」のインタビューフォームには、「目安としてVon Harnack の小児薬用量換算表に準ずると下記のようになる。」として、以下のように記載があります。
ヨクイニンエキス錠「コタロー」
12 歳 ・・・・・ 成人用量の 2/3 [1日 6 ~ 12 錠]
7.5歳 ・・・・・ 成人用量の 1/2 [1日 4 ~ 9 錠]
ヨクイニンエキス散「コタロー」
12 歳 ・・・・・ 成人用量の 2/3 [1日 2.0~4.0g]
7.5歳 ・・・・・ 成人用量の 1/2 [1日 1.5~3.0g]
3 歳 ・・・・・ 成人用量の 1/3 [1日 1.0~2.0g]
1 歳 ・・・・・ 成人用量の 1/4 [1日 0.8~1.5g]
この量で1日3回に分けて服用することが一つの基準となると思います。
なお、ヨクイニンエキス錠「コタロー」については、「のどにつかえるおそれがあるので、5歳未満の乳幼児には服用させないことが望ましい。」とも記載があります。
市販にも同じ小太郎製薬さんのヨクイニン錠がありますが、添加物が異なっているので、美味しいかどうかや、簡単に噛めるかどうかは不明です。
こちらも5歳未満には使えませんのでご注意ください。
ハトムギ(ハトムギ茶)は食品や健康食品もありますが、ヨクイニンの量としてはわからないものも多く、おすすめしかねます。
それこそ、自然治癒とほとんど変わらない効果しか期待できないと思います。
ハトムギを使ったクリームや化粧水もありますが、水いぼに対しての効果はわかりかねます。
【水いぼの治療】ピンセットでつまんで取る
水いぼを一個ずつピンセットでつまんで取ります。
想像しただけでかなり痛いですが、すみやかに水イボを取り除くことができる治療法です。
ピンセットで取る場合には、ペンレステープで表面麻酔をして痛みなく取るようにすることもあります。
【水いぼの治療】硝酸銀法
水いぼの頂点のみに硝酸銀溶液やペーストを塗ります。
硝酸銀を塗ったところはやけどのようになり、何度か繰り返すことで水いぼが取れるようです。
水いぼの周囲もやけどのようになることがあります。
【水いぼの治療:補足】ヒルドイドなどで乾燥対策をすることもあり
アトピーや乾燥などで肌が荒れていると、肌のバリア機能が低下してしまいます。
結果として、水いぼが広がる原因になりかねませんので、保湿をするようにしましょう。
市販の保湿剤でも十分に代用できると思います。
また、水いぼの跡にヒルドイドやワセリンを塗ることも問題ありません。
ただし、水いぼを潰した直後など、血が滲んでいるような場合はヒルドイドは避けるようにしましょう。
水いぼ治療を急がなければ、ヨクイニンやヒルドイドで様子見?
特別な理由がなけれな、水いぼ治療は急がなくても良いと考えています。
肌が荒れている場合などには、水いぼが広がらないように、ヒルドイドなどで保湿するようにしましょう。
また、劇的な効果は期待出来ませんが、ヨクイニンを飲む選択肢もありだと考えます。
すみやかに水いぼを取りたい場合は、ピンセットで取ってもらいましょう。
皮膚科などで処置してもらえると思います。