風邪に抗ヒスタミン薬を使うべきか?【第一世代と第ニ世代の適応の違いも考える】

鼻水が出るような風邪症状のときに、アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。

「鼻水が出て困る」という患者さんや患児の保護者の方からの訴えに応えるために処方されているのだと思いますが、十分な効果があるんでしょうか?

抗ヒスタミン薬って何? →花粉症などのアレルギーを抑える薬です。

ヒスタミンというのは、体内のアレルギーに関わる物質の一つです。
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの働きを阻害(邪魔)することによって、痒みやアレルギー性鼻炎などのアレルギーの症状を抑えます。

正確には、抗ヒスタミン薬の中にも、アレルギーを抑えるH1ブロッカーと胃薬などとして使われるH2ブロッカーがあります。
「抗ヒスタミン薬」=「H1ブロッカー」として使われることが多いので、今回の記事でもそのように使わせてもらっています。

抗ヒスタミン薬は以下のような市販の薬に入っています。

  • 多くの市販の風邪薬
  • 花粉症などのアレルギー性鼻炎の薬
  • 多くの酔い止め薬
  • 睡眠改善薬(ドリエルなど)
  • 皮膚のかゆみ

医療用の薬はその他にも、ぜんそくや蕁麻疹などで使うことがあります。

では、抗ヒスタミン薬は風邪の時の鼻水などの症状に効果があるのでしょうか?

風邪に抗ヒスタミン薬は効果があるのか? →子どもには有効とも言えない

風邪に抗ヒスタミン薬を使用した時の効果についてコクランレビューがあります。
※コクランレビューとは、信頼性がかなり高い医療情報の一つだと考えてもらえれば良いと思います。

こちらを参考にしたところ、成人の場合、トータルの症状を軽くする効果はありそうです。
ただし、治療の1日目と2日目に限っての結果であり、3~4日、6~10日ではプラセボ(偽薬)と効果に差は出ていません。
また、鼻づまりや鼻水、くしゃみなどの個々の症状については有意な差が出ませんでした。

大人に関しては短期間であれば効果はあると言えそうです。

 

子どもに使う場合には、データが十分とは言えず「現時点で有効とも言えない」という結論です。

それでも、症状が強く出ており、強く治療を希望される場合には、処方されることもあるでしょう。

抗ヒスタミン薬の副作用について【第一世代と第ニ世代の違い】

副作用がまったくない薬はありません(ほとんどない薬はあります)。
抗ヒスタミン薬の副作用としては、眠気や口の渇きなどが出やすいです。
鼻水や痰に粘り気が出ることで、痰が出しにくくなるなどのデメリットもあります。

 

抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代があり、第一世代の抗ヒスタミン薬は特にそのような副作用が出やすいです。
対して、第二世代の抗ヒスタミン薬は比較的副作用が出にくいものが多いです。
その代わり少し効果が劣るとも言われています。

 

熱性けいれんのになったことがあるお子さんが第一世代抗ヒスタミン薬(一部の第二世代抗ヒスタミンも)を使うことで、熱性けいれんの持続時間が長くなる可能性もあります。

詳しくは>>>熱性けいれんの基礎知識とダイアップ坐剤の使い方について【出来るだけ避けるべき薬もあります】をご覧ください。

 

ちなみに、第一世代の抗ヒスタミン薬にはぺリアクチンやポララミン、第二世代の抗ヒスタミン薬にはザイザルアレグラ(フェキソフェナジン)などが子どもには多く使われます。

「風邪みたいな症状が軽いのときにはフェキソフェナジンなどの第二世代の抗ヒスタミン薬を使えば良いんじゃない?」と言いたいところですが、そう言えない問題もあります。

保険を使って使う薬にはルールがあり、「風邪」という診断に対しては基本的には第二世代の抗ヒスタミン薬が使えません。

風邪に使える抗ヒスタミン薬は第一世代の一部のみ【保険適応の話】

健康保険を使って医療を受ける場合、健康保険のルールを守る必要があります。
ルールを守らない場合は、原則保険を使えないので10割負担となります。

 

いわゆる「風邪」は、上気道炎という診断名がつきます。
上気道炎という診断名に使える抗ヒスタミン薬は、【感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽】という適応がある、第一世代抗ヒスタミン薬の一部のみになります。

風邪の時にくしゃみ・鼻汁などを抑えようと思うのであれば、ルールを守ろうとするほど、第一世代抗ヒスタミン薬を使わざるを得ない面もあります。

別の病名をつけて処方されているような例もあるようです。

風邪に抗ヒスタミン薬を使うべきか?【まとめ】

  • 風邪に抗ヒスタミン薬の効果は子どもには有効とも言えない(短期間なら大人には効果ありそう)
  • 眠気などの副作用も気にする必要がある
  • 第二世代よりも第一世代の抗ヒスタミン薬のほうが副作用が出やすい
  • 第一世代抗ヒスタミン薬には、熱性けいれんの持続時間が長くなるリスクもある
  • 原則として、風邪の時には第一世代の抗ヒスタミン薬しか使えない

そもそも風邪のときには、抗ヒスタミン薬はあまり必要なさそうな上、比較的低リスクな第二世代の抗ヒスタミン薬は処方しにくいです。

風邪のときには第一世代、第二世代を問わず、抗ヒスタミン薬を使わないようにすることが大切なのではないかと考えます。
熱性けいれんになったことがあるお子さんに使う場合は、特に注意するようにしましょう。

 

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