抗生物質の種類や注意点など【風邪に効果があるのか?|飲めなかったらどうするか?】

お子さんが受診した時に、高熱があるのに抗生物質が処方されていないことを不安に感じることがありませんか?

小さいお子さんは、急に熱が出ることがありますが、必ずしも抗生物質を使わなければいけないということはありません。

 

「風邪に抗生物質は効果がない」ことは、理解が広まってきている気はしますが、やはり心配は尽きません。

風邪に抗生物質が効果があるのかを再度検討するとともに、抗生物質について説明したいと思います。

抗生物質(抗生剤)と抗菌薬の違い【はじめに】

抗生物質が関連する内容を書くたびに悩んでいるのが、抗生物質(抗生剤)と抗菌薬の使い分けです。

抗生物質(抗生剤)は「微生物が産生する、他の微生物などの発育を阻害するもの」を指す言葉です。

そして抗菌薬は「微生物が産生していないものも含めての総称」です。

 

【抗菌薬】と表現したほうが適切な場面が多いですが、薬局で患者さんと話す際には抗生物質(抗生剤)の方が伝わりやすい印象があります。

当ブログでも記載方法が統一できていません。

わかりにくくて申し訳ありません。

一般的には、大きな違いはないと考えてもらってもいいと思います。

風邪に抗生物質は効果があるのか?

10年ぐらい前までは風邪の時に抗生物質が当たり前のように処方されていた印象があります。

しかし、最近は風邪に抗生物質は効果がないということが少しづつ広まってきているように感じます。

厚生労働省も、AMR対策のポスターにガンダムを起用するなど、積極的に啓発しています。

それでも、風邪に抗生物質を出してほしいと希望する方もいます。

 

では、本当に風邪に抗生物質は効果がないんでしょうか?

コクランのシステマティックレビュー(かなり信頼性のおける情報源です)を参考にして考えてみます。

結論の一部を抜き出しますと、以下の内容になります。

  • 風邪や急性化膿性鼻炎に抗生物質を使っても、早く治るわけではない。
  • 成人の一般的な風邪と、すべての年齢の化膿性鼻炎に対して抗生剤を使うことで悪影響が起こる可能性がある。
  • そのため、風邪や急性化膿性鼻炎に抗生物質を使うことは推奨できない。

いわゆる「風邪」のほとんどはウイルスが原因なので、抗生物質で菌を叩いても意味はありません。

抗生物質が二次感染予防になる可能性もわずかにはあるとは思いますが、あくまで感染後に対応するのが基本です。

不要な抗生物質は、薬剤耐性菌や副作用の原因になりかねません。

健康な人の風邪症状に対して抗生物質を予防投与するメリットはほとんどないと考えています。

風邪に使わないなら、抗生物質はどんな病気に使うの?

抗生物質を風邪に使うメリットはほとんどありませんが、抗生物質を適切に使うことで、細菌による病気を早く治したり重症化を防ぐことができます。

細菌による病気

溶連菌性咽頭炎、細菌性肺炎、細菌性腸炎、急性中耳炎、急性副鼻腔炎(蓄膿症)、とびひ など

ウィルスによる病気

かぜ症候群、インフルエンザ、ウィルス性胃腸炎、突発性発疹、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそう、手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱 など

感染症については、>>>小児の感染症流行カレンダーと感染症の特徴や出席停止の基準をまとめましたでまとめています。

抗生物質の種類と副作用

抗生物質の種類

抗生物質にも色々な種類があり、年齢や病気ごとに適切なものは変わってきます。

子どもに使われることが多いのは、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系の印象です。

細胞壁
合成阻害
ペニシリン系サワシリン・ワイドシリン、クラバモックス
セフェム系第一世代ケフラール、ケフレックス
第二世代オラセフ、セフメタゾン
第三世代フロモックス、メイアクト、セフゾン
第四世代マキシピーム、ファーストシン
カルバペネム系オラペネム、メロペン
ペネム系ファロム
ホスホマイシンホスミシン
グリコペプチド系塩酸バンコマイシン
蛋白
合成阻害
アミノグリコシド系カナマイシン、ゲンタマイシン
マクロライド系14員環エリスロシン、クラリス、ルリッド
15員環ジスロマック
16員環ジョサマイシン
リンコマイシン系ダラシン、リンコシン
テトラサイクリン系ミノマイシン、ビブラマイシン
クロラムフェニコール系クロロマイセチン
オキサゾリジノン系ザイボックス
DNA・RNA
合成阻害
キノロン系薬オゼックス、クラビット
ST合剤バクタ

※スマホで見る場合は、右へスクロールすると全体が見れます。
※表には一部の薬のみ記載しています。

抗生物質の副作用は下痢が出やすいです。

抗生物質には先程の表にあるようにたくさんの種類があるので、注意すべき副作用も一つ一つ異なります。

多くの抗生物質に共通の副作用として挙げられるのが下痢です。

抗生物質は腸内の善玉菌にも影響を与えてしまうので、腸内細菌のバランスが崩れ、下痢になります。

 

抗生物質による下痢は、薬を飲み終わったら自然と戻っていきますが、耐性乳酸菌などの整腸剤を併用することもあります。

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抗生物質の注意点【最後まで飲みきる|飲み忘れたら?|飲めなかったら?】

抗生物質は最後まで飲みきるのが基本です。

抗生剤による副作用などが問題にならない限り、基本的には最後まで飲みきるようにしてください。

「治ってきたからもう良いか」と自己判断で中止しないようにしてください。

さらに良くないのは、抗生物質をとっておいて次の病気のときにとりあえず飲む事です。

病気のサインを中途半端に消してしまうので正しい診断ができず、病気をこじらせてしまうことがあります。

抗生物質を飲み忘れたらどうしたら良い?

抗生物質は時間通りに飲むことが大切です。

抗生物質を適切に飲むことで菌を減らすことが出来ますが、次に飲むまでに時間が空きすぎると菌がまた活発になることがあります。

結果として、菌がなかなか減らずに症状が長引くことが考えられますし、薬剤耐性菌(その抗生剤が効きにくくなる細菌)を産み出す原因にもなり得ます。

大腸菌などの常在菌が耐性化した場合などは、体内に長く定着する可能性もあるので注意が必要です。

 

飲み忘れに気が付いたらすぐ飲むのが基本ですが、次に飲むまでに時間があまり空いていなければ1回分飛ばして飲みましょう。

基本的に、1度に2回分飲むことはおすすめ出来ません。

子どもが抗生物質を飲めなかったらどうする?

どうしても子どもが抗生物質を飲まない

保護者の方から、抗生物質を飲めなかったという相談を受けることがあります。

 

処方された抗生物質を絶対に飲まなければいけないのかどうかは、その時の状態によると思います。

かかりつけ医に相談するようにしましょう。

 

まずは飲み方を工夫してみましょう。

「何に混ぜるか」を変えるだけで、飲めるようになることもあります。

抗生物質は酸味があるものと混ぜないほうが良いものもありますが、混ぜても大丈夫なものもあります。

飲み物などとの相性は>>>薬と飲み物などの相性一覧表と、味や飲みあわせなどの注意事項にまとめているので、参考にしてください。

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