てんかん治療薬として子どもにも使うことのある「ラミクタール(ラモトリギン)」は、難治性のてんかんにも使われることのある薬です。
しかし、副作用や注意点も多く、色々と確認しておいたほうが良いこともあります。
皮膚障害+αの症状が現れた場合は、特に注意が必要になります。
ラミクタール(ラモトリギン)の特徴・飲み方【子どもでも飲める錠剤】
ラモトリギンはてんかん治療薬のなかでは比較的発売が新しい薬ですが、世界では1990年から、日本でも2008年から使われています。
小児領域の難治性てんかんとして知られる「Lennox-Gastaut 症候群」にも使われています。
てんかん治療は長期にわたるため、可能であれば単剤での治療が理想的です。
ラモトリギンは日本での発売当初は他のてんかん治療薬との併用のみでしか使えませんでしたが、日本てんかん学会などからの要望により臨床試験が行われ、単剤での治療も一部認められています。
ラミクタールには錠剤の規格しかありませんが、CD(チュアブル・ディスパーシブル)錠であり、水に溶かして飲むことが可能なので、子ども(2歳~)にも使うことが可能です。
もちろん普通の錠剤のように飲んでも問題ありません。
- ラミクタール錠小児用2mg
- ラミクタール錠小児用5mg
- ラミクタール錠25mg
- ラミクタール錠100mg
小児用と名付けられているのは2mgと5mgのみですが、子どもに25mgを使うこともあります。
小児用と付いた2種類は、両方とも甘みがあり子どもでも問題なく飲めることが多いです。
25mg錠は少し苦味があり、100mg錠は苦味が結構目立ちます。
全ての規格でジェネリックもありますが、先発品のラミクタールの味で問題なく飲めているためか、ジェネリックの希望者がいません。
小児用の2規格はどこのメーカーのも美味しいと聞いたことはありますが、詳細は不明です。
服用量は併用薬の種類によって異なりますので省略しますが、薬局でもチェックに少し時間がかかることがあります。
食事による薬の血中濃度への影響は少ないとされています。
【警告】皮膚障害に注意【受診の基準と危険因子】
ラモトリギン使用に当たって、絶対に注意していただきたい内容の一つとして「皮膚障害」があります。
皮膚障害がそもそも起こらない場合や、ごく軽度の症状だけで終わる場合がほとんどではありますが、稀に重篤な症状につながることがあります。
発疹に加えて以下の症状が現れた場合は、念の為すぐに受診するようにして下さい。
- 38℃以上の発熱
- 目の充血
- くちびるや口内のびらん
- 喉の痛み
- 全身倦怠感
- リンパ節腫脹等
また、症状が重くなりやすくなる危険因子として、以下の5つが報告されています。
※ダメではなく、より注意して使うということです。
- 用法用量を守らない
- バルプロ酸ナトリウム併用例
- 他のてんかん治療薬で発疹歴あり
- 13歳以下
- 投与8週以内
子どもは感染症による発疹も多いので、ラミクタールを飲んでいることは絶対に伝えるようにしましょう。
※2019年10月31日追記
ラモトリギンは過去に何度も用法用量を遵守するように注意情報が出されており、2019年10月23日にも医薬品医療機器総合機構(PMDA)から用法用量を遵守するように適正使用が呼びかけられています。
併用薬によって用法用量が異なる薬ではありますが、重篤な皮膚障害が起こらないように注意していく必要があります。
必要な情報が手に入らなければ、どんなに努力しても薬の適正使用には繋がりません。
使用者やその保護者の方々も、お薬手帳などを活用して併用薬のチェックにご協力ください。
ラミクタール(ラモトリギン)の副作用・注意点
てんかん治療薬全般に言えますが、頻度の高い副作用は眠気(傾眠:うとうとする)です。
車の運転等については、主治医の指示にしっかりと従うようにお願いいたします。
承認時までの子どもへの使用例をみると、肝機能障害、めまい、発疹なども5%以上と記載があります。
発疹については、前述のように重篤な症状につながることもあるため、特に注意が必要です。
海外では10~20倍ほどの過量投与例もあり、意識障害などが報告されています。
その他のてんかん治療薬と同じように、以下の点にも気をつけて下さい。
- 精神症状に変化が現れたらすぐに相談
- 急な減量や中止が無いように医師の指示通りに服用
ラモトリギンはとても効果的な薬ではありますが、副作用への注意もしっかりとしておく必要があります。
ラミクタール(ラモトリギン)との併用注意薬
ラモトリギンはグルクロン酸抱合により代謝されます。
そのため、グルクロン酸抱合に影響を及ぼす以下の薬と併用する場合には、用量の調節が必要となります。
- バルプロ酸ナトリウム
- フェニトイン
- カルバマゼピン
- フェノバルビタール
- プリミドン
- リファンピシン
- ロピナビル・リトナビル配合剤
また、以下の薬と併用する場合には用量調節を考慮したほうが良さそうです。
- アタザナビル/リトナビル
- リスペリドン
- 経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄 体ホルモン配合剤)
ラモトリギンに限りませんが、併用薬はしっかりと医師・薬剤師にチェックしてもらうようにしましょう。
てんかん治療の簡易的な説明と、他のてんかん治療薬の説明などを以下の記事でまとめています。
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