タリムス点眼液の使い方と目が痛い・熱いなどの副作用【春季カタル治療薬】

タリムス点眼液の使い方と目が痛い・熱いなどの副作用【春季カタル治療薬】

春季カタルという目の病気をご存じでしょうか?

あまり聞きなれない名前かもしれませんが、子どもに多い病気です。

 

春季カタルの治療薬として、タリムス点眼液が使われることがありますが、注意点の多い薬です。

タリムス点眼液は目の異常感(熱い、異物感)や痛みを感じることが多いとされます。

心配になることも多いと思いますが、適切に使って早期に症状を抑えるようにしましょう。

また、後半で春季カタルについてもまとめています。

タリムス点眼液の使い方と注意点

タリムス点眼液はアレルギーを抑える目薬では効果不十分な場合の春季カタルの治療に使われる、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)です。

「春季カタルの治療法に精通している医師のもとで行うこと。」との但し書きもあります。

 

春季カタル専用の治療薬としては、パピロックミニ点眼液もあります。

単独での効果はタリムス点眼液のほうが高いと考えられていますが、目への刺激感を感じることが多いとされます。

2008年5月~2010年1月に行われた、全例を対象とした使用成績調査では、1001例の内無効例は93例(9.3%)で、全ての観察項目において投与開始1か月目にはスコアは優位に低下しています。

 

タリムス点眼液は1日2回、1回1滴の点眼が基本です。

以下の6点について、使用時に注意をお願いします。

  1. 使用前によく振ること
  2. 点眼後、1~5分は目を閉じて、目頭のあたりを押さえること
  3. 目薬がまぶたなどに付いた場合は、拭き取ること
  4. 容器の先端が目などに付かないように注意すること
  5. 他の点眼薬を併用する場合は5分以上間を空けること
  6. コンタクトレンズを外して点眼し、点眼後も時間を開けてから再度装着すること

 

保管時には以下の2点にもご注意ください。

  1. 上向きに保管すること(再分散性を保つため)
  2. 遮光性があるので、容器本体のフィルムははがさないこと

容器本体のフィルムをはがしてしまった場合でも、光が当たらない引き出しの中などで保管すれば問題ないでしょう。

タリムス点眼液の副作用【目が痛い・目が熱いなど】

タリムス点眼の副作用は、インタビューフォームで以下のように記載があります。

承認時での総症例86例中、副作用は55例(64.0%)に認められた。主な副作用は眼の異常感(眼部熱感、眼の異物感、眼の違和感)38例(44.2%)、眼刺激18例(20.9%)、流涙増加10例(11.6%)であった(承認時)。

 

その後の安全性評価では、1082例の内、副作用は123例(11.37%)に発現しています。

目薬の副作用頻度としては高いと感じます。

さらに、目の異常感や痛みなど、薬を続けることをためらってしまいかねない副作用が多いのが特徴です。

実際に患者さんから聞き取る場合、「目が熱い」と言われることも多いです。

 

しかし、タリムス点眼液にはステロイド点眼液に匹敵する春季カタルの治療効果があるとされながら、ステロイドレスポンダーのリスクを減らせるメリットがあります。

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そのため、ステロイドが使えない場合やステロイドでは効果不十分な場合を中心に、とても価値のある選択肢と言えます。

 

ステロイドの目薬と比較すると眼圧が上昇する可能性はかなり低いですが、タリムス点眼液を緑内障患者に使用して、眼圧が上昇した例もありますので、念の為注意が必要です。

また、感染症を増やしたり悪化させたりする可能性もあるので、漫然使い続けないなど、適切な使用が求められます。

長期使用せざるを得ない場合なども、定期的な検査は必要と考えます。

 

使用に際して、刺激感などの副作用や継続の意義などの事前の説明が大切な点眼薬です。

調剤するときには、しっかりと継続ができるようにサポートしたいと思います。

最後に春季カタルについても簡単にまとめます。

春季カタルについて

「春季カタル」は、「症状が強めのアレルギー性結膜炎」と考えるとイメージしやすいと思います。

上まぶたの裏側が小さくボコボコと腫れあがったり、黒目と白目の境目のあたりが腫れるのが特徴とされます。

どのような見た目になるかは、googleなどの画像検索をしてみるとわかりやすいです。

 

症状としては、角膜に潰瘍などが出来ることで目の異物感や痛み・視力の低下などが起きて、目が開けられないこともあります。

アレルギーが原因で起こるため花粉の季節に悪化しやすいため「春季」とついていますが、実際はオールシーズン起こりえます。

なお、「カタル」は「粘膜の表層の炎症」という意味です。

 

アトピー体質で、10歳ぐらいまでの男の子に多いとされます(それ以外の人でも起こります)。

失明などに至る可能性は低く、成長に伴い改善していくことが多いです。

ただし、未治療で放置していると、視力の低下につながることもあるようです。
参考:Vernal keratoconjunctivitis: a severe allergic eye disease with remodeling changes.

いずれ改善していくとしても、しっかりと治療をすることが大切です。

 

アレルギーが原因なので、花粉症などのように感染しません。

そのため、感染対策として登校・登園などを控える必要はありませんが、症状がひどければ目が開けられず、結果的に登校など出来ないこともあります。

 

春季カタルの治療は、かゆみなどの症状を抑えることをメインに考えます。

点眼薬などで改善が見られない場合などに、外科的処置をする場合もあります。

 

症状を悪化させないためには、アレルギーの原因を避けることも効果的です。

花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンへの対策を行うようにしましょう。

補助的に涙液の補充をすることなどもあるようです。

 

感染はしない結膜炎なのでプール禁止などはないですが、刺激が強いようであれば控えたほうが良いでしょう。

悪化しないための対策として簡単に出来るのは、花粉症対策と同じようにマスクやゴーグルをすることです。

それだけでも多少の改善はみられると思います。

 

春季カタルと診断された場合には、治療が終わりになるまでしっかりと受診を続けるようにお願いします。