酸化マグネシウム(マグミット)の下痢などの副作用【子どもにも使う便秘薬|錠剤なら市販薬もあります】

酸化マグネシウムは、小さいお子さんから高齢の方まで使われている便秘薬です。

慢性便秘の治療に使う場合など長期間続けることもありますが、長期間使うからこそ、心配になることもあると思います。

  • 酸化マグネシウムによる下痢などの副作用
  • 下痢になったらどうする?
  • 意外と多い相互作用について

以上のことがわかるようにまとめていきます。

酸化マグネシウム(マグミット)は子どもにも便秘薬として使われることがあります

酸化マグネシウムは便秘の薬として使われることが多い薬です。

それ以外にも胃・十二指腸潰瘍、胃炎、上部消化管機能異常、尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防などにも使われることもあります。

医療用の酸化マグネシウムには以下のように、色々な名前があります。

  • マグミット
  • 酸化マグネシウム
  • 重質酸化マグネシウム
  • 重カマ

「水酸化マグネシウム」や、「炭酸マグネシウム」なども便秘や胃炎などに使われますが、まったく同じではありません。

 

酸化マグネシウムは子どもからご高齢の方まで、便秘によく使われている薬です。

小児の慢性便秘のガイドラインでも原則として最初に使う薬の一つとして取り上げられています。

原則として,浸透圧性下剤から治療を開始する(推奨度 C1)

乳児期にはマルツエキスやラクツロース,幼児期以降にはラクツロースやマグネシウム製剤が使用されることが多い.
多くの浸透圧性下剤では,その効果に関するプラセボ対照試験は行われていないが,前述の通り PEG では実施され有用性が報告されている.
いずれの浸透圧性下剤でも効果発現には数日かかること,また,十分な効果を上げるためには服用時に十分な水分を摂取する必要があることをあらかじめ伝えておくとよい.
引用:小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン

引用にある通り、効果に関する試験が行われていない薬ではありますが、実際に効果を実感されている方も多いです。

ちなみに、うちの子も慢性便秘なので酸化マグネシウムを長期間続けていました。

 

引用内にある、「PEG」は「モビコール」という商品名で2018年に発売されています。

モビコールは副作用や相互作用の心配もほぼありませんので、今後はスタンダードになっていくと考えています。

 

ただし、モビコールは味が飲みにくい、薬価が高いなどのデメリットをどう乗り越えていくかが問題です。

しばらくは14日までしか処方が出来ないので、使用も限定的だと考えています。

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酸化マグネシウム(マグミット)の副作用は下痢や高マグネシウム血症など

酸化マグネシウムのよくある副作用は「下痢」です。

下痢への対処については、次の項目に記載します。

 

また、酸化マグネシウムには重大な副作用として、「高マグネシウム血症」が知られています。

2015年に少し話題になりましたが、高齢者に多い副作用です。

 

その年に、小児慢性便秘症診療ガイドライン作成委員会が「酸化マグネシウム製剤(酸化マグネシウム、カマ、カマグ、マグミット、マグラックス)服用中の高マグネシウム血症につきまして- 患者様・ご家族の方へ -」を発表しています。

現時点の作成委員会の判断としては、「(表に挙げたような)特別な病気や原因がなく、正しい量を服用している小児では、酸化マグネシウムの服用によって危険なレベルの高マグネシウム血症がおこることは極めてまれなことであり、便秘症に対して有効性がみとめられている場合には、一般的に有益性をうわまわる危険性があるとは考えられない」という結論になりました。

高マグネシウム血症をおこしやすい状態(表)

・腎臓の機能が悪い方
・心臓に疾患がある方
・消化管に炎症、出血、潰瘍、腸閉塞(イレウス)などがある方
・消化管に寄生虫疾患のある方
・糖尿病
・脱水
・その他の内分泌疾患
甲状腺機能低下症
家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症、
低アルドステロン症
副甲状腺機能亢進症 など

 

酸化マグネシウム服用中の子どもには、副作用としての高マグネシウム血症はほとんど報告がありません。

念のため、吐き気や嘔吐・口の渇き・血圧低下・筋力低下等の高マグネシウム血症の初期症状は知っておいても良いかもしれません。

 

前述のモビコールは、高マグネシウム血症などの副作用リスクも基本的にないのがメリットの一つです。

下痢の時は酸化マグネシウム(マグミット)を調節することもあります

酸化マグネシウムによる下痢の症状は、副作用ではなく主作用の効果の出過ぎと言っても良いでしょう。

便秘治療に酸化マグネシウムを飲む理由は「便を柔らかくして出しやすくすること」です。

 

患者さんの便秘の状況や下痢の頻度にもよると思いますが、量や回数を調節しても問題ないことが多いでしょう。

「量や回数を調節して良いです。」と言われている方も多いと思います。

便秘が続く場合などに、増量しても良いと医師に言われることもあるかもしれません。

酸化マグネシウム(マグミット)の飲み合わせ【牛乳にも注意】

マグミットの添付文書を参考にすると、「併用注意」の項目にはたくさんの薬が羅列されています。

クリックしたら開きます
テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン等)
ニューキノロン系抗菌剤(シプロフロキサシン、トスフロキサシン等)
ビスホスホン酸塩系骨代謝改善剤
エチドロン酸二ナトリウム、リセドロン酸ナトリウム 等
セフジニル
ミコフェノール酸
モフェチル
デラビルジン
ザルシタビン
ペニシラミン
アジスロマイシン
セレコキシブ
ロスバスタチン
ラベプラゾール
ガバペンチン
ジギタリス製剤 ジゴキシン、ジギトキシン等
鉄剤
フェキソフェナジン
ポリカルボフィルカルシウム
高カリウム血症改善
イオン交換樹脂製剤 ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
活性型ビタミンD3製剤 アルファカルシドール、カルシトリオール
大量の牛乳、カルシウム製剤
ミソプロストール参考:マグミット添付文書

 

酸化マグネシウムは1日2~3回飲むことも珍しくありません。

併用注意の薬がある場合には、飲むタイミングがとても難しくなってしまいます。

個別の判断は、かかりつけの医師・薬剤師に確認をお願いします。

 

酸化マグネシウムの併用注意には「大量の牛乳」も載っています。

大量の牛乳についての具体的な目安はありませんが、牛乳を少しも飲んではいけないというわけではありません。

コップ一杯の牛乳であれば影響はほとんどないと思いますが、こちらも個別に判断したほうが良いでしょう。

酸化マグネシウム(マグミット)は市販でも買えますが粉はありません

慢性便秘の治療において、受診して医師に判断を仰ぐことはもちろん大切です。

ただし、インフルエンザなどの感染症が流行っている時期にはできるだけ受診を控えたいですよね。

 

酸化マグネシウムは市販で発売もされていますが、錠剤しか無いので、小さい子どもは対応できません。

 

子どもに使える市販の便秘薬としては、少し違う成分ではありますが「ミルマグ液」という、「水酸化マグネシウム」の便秘薬なら液体タイプがあります。

 

ミルマグ液は3歳未満には使えませんし、同量の酸化マグネシウムと比較すると少々効果は落ちるでしょう。

どうしても受診出来ないときなどは代わりに使っても良いと考えますが、出来れば一度医師に相談しましょう。

 

市販で買える小さい子ども用の便秘薬としては、他にもマルツエキスなどもあります。

 

「便秘薬はクセになる」と聞いて不安を感じている方もおられますが、基本的に指示通り使っている範囲では問題になることはまずないでしょう。

 

子どもの慢性便秘については、以下の記事でまとめているので参考にしていただければと思います。

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