子どもの風邪薬の有効性を考える【薬の効果はイマイチでも受診は大切】

お子さんがいると小児科に受診するかどうか、迷われることは多々あると思います。

そして、受診を検討する理由としてもっとも多いのは「風邪症状(咳鼻熱など)」という印象です。

個人的には「子どもの症状に不安があれば受診する」で良いと考えていますが、この記事では受診した結果として処方される薬という観点から考えてみたいと思います。

 

結論から言うと、いわゆる風邪だった場合に処方される薬には臨床的にあまり大きな意味はないと考えています。

風邪の症状を一時的に緩和してくれる薬はありますが、早く風邪を治す薬はありません。

 

もちろん、本当に風邪なのか(重病ではないのか)を判断してもらうために受診することに意味はあります。

※慢性疾患(ぜんそくなど)がある場合などは除外して考えています。

保護者は子どもの病気への不安が大きい【前提】

保護者は子どもの病気への不安を強く感じています。

こちらの報告によると、85%の保護者が寝ている子どもを起こして解熱剤を使用した経験があり、指示された間隔を空けずに解熱剤を使用した保護者もアセトアミノフェンで14%、イブプロフェンで44%いました。

発熱ほどではないと思いますが、その他の風邪症状も同じような傾向は少なからずあるのではないかと思います。

 

私も子どもの親ですので、自分のこと以上に子どもの心配をしています。

私は薬剤師ですので診察も出来ませんが、病気に対する基礎知識や、薬の知識があります。

医師や薬剤師には、慢性疾患がない自分の子のちょっとした鼻水や咳で受診する人は少ないのではないのでしょうか?

 

知らないことに対して不安を感じるのは当然です。

この記事によって多少知識が増えるとは思いますが、不安が解消されるかどうかはわかりません。

それでも参考程度にはなるのではないかと思います。
※受診した場合は医師・薬剤師の指示に従ってください。

子どもの風邪に処方されそうな薬の有効性を考える

これから紹介する薬は、風邪の時に処方されて使ったことがあるかもしれません。

そして、それらを飲んでいて早く治ったという印象を持たれている方も多いでしょう。

 

しかし、薬を飲んだから治ったのか、飲まなくても治ったのかを比較していないので、実際に効果があったかどうかはわかりません。

その比較は個人では出来ませんが、集団では可能です。

薬の有無によって風邪症状にどのような影響が出たのかを中心に考えてみたいと思います。

咳止め

チペピジンやデキストロメトルファンなどが該当します。

アメリカ小児科学会のChoosing Wisely(過剰な医療の抑制や適正化を目的としている提言)において、咳止めや風邪薬の幼児への使用は推奨されていません。

研究によって、ほとんど意味がなく、むしろ副作用を注意すべきだとされています。

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少し前まで12歳未満にもコデインが使用可能でしたが、現在では使えません。

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コデイン類が12歳未満使用禁止になります

そもそも、風邪で咳が2週間程度続くことは珍しくないということを知っておくと、心配が軽減するかもしれません。

鼻水止め

鼻水止めとしては、抗ヒスタミン薬が使われます。

 

風邪に抗ヒスタミン薬を使用しても、子どもには有効とは言えません(大人には短期間は効果がありそう)。

そして、眠気などの副作用や、第一世代抗ヒスタミン薬によって熱性けいれん持続時間が長くなるリスクなどにも考慮が必要です。

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鼻水は咳よりも期間が短いという報告が多いですが、2週間程度続くことがあります。

痰切り・鼻詰まりの薬

カルボシステインやアンブロキソールは副作用が少なく、風邪の時の処方頻度も高い印象を持っています。

しかし、カルボシステインは2歳未満の風邪症状に対してはそこまで効果的とは言えないかもしれません。

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アンブロキソールは、子どもの風邪へのデータが少ないため判断を保留しています。

解熱鎮痛薬

子どもに使う解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェンやイブプロフェンが該当します。

風邪の発熱に対して解熱剤を使っても、風邪は長引くことも短くなることもないという報告があります。

しかし、一時的にでも熱や痛みを取り除ければ、活動性や注意力は回復しそうです。

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自分の子どもにも使用することが多い薬です。

市販の坐薬があり、常備しやすいというのも理由の一つです。

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吐き気止め

胃腸炎などで嘔吐が続く時には、吐き気止めが処方されることもあります。

子どもに使う吐き気止めはドンペリドンが多いですが、そもそも嘔吐を減らすのかはっきりしていない薬です。

また、頻度はとても低いですが、特に子どもは錐体外路障害にも注意が必要です。

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整腸剤

整腸剤は副作用も少なく、比較的安心して使える薬だと考えています。

しかし、胃腸炎の子どもが整腸剤を飲んでも下痢が早く治らなかったとの報告があります。

また、抗生物質と併用されることも多いですが、抗生物質と特定の整腸剤の併用では下痢の回数が減らなかったとの報告もあります。

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抗生物質

中耳炎・のどの痛み・上気道炎(風邪)に抗生物質を使うことで、重症化を予防できるという報告がありますが、注意が必要です。

1人の重症化を予防するためには、4000人以上に抗生物質を使用する必要があるという結果だからです。

対して、副作用頻度(下痢が多い)は10%程度はあるでしょう。

抗生物質を4000人に使用することで、1人重症化を防ぎ、400人には効果がなく副作用だけが出るかもしれません。

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ピボキシル基を含む抗生物質を使う場合は、低血糖にも注意が必要です。

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咳止めの項目で紹介したChoosing Wiselyでも、「ウイルス性呼吸器疾患に抗生物質を使用すべきではありません。」となっています。

風邪に必要な薬はあるのか

ここまでで説明したように、「いわゆる風邪」に対して、どうしても必要な薬はないと考えます。
※「風邪」と一部の病気に対しての内容であり、その他の病気の治療には重要度が高い薬もあるということは誤解なきようお願いします。

 

熱が高い場合に、辛さや負担を減らすための解熱剤の価値はありますが、先に紹介したように「使いすぎる傾向がある」ことには注意してください。

「少しでも咳や鼻水を止めたい」、「どうしても休めない」などの理由で使うことはあると思いますが、使ったら早く治るなどのメリットはありません。

 

「どうしても仕事が休めない」ことは医療従事者でもあることですが、「体調が悪いときは仕事を休める世界」であってほしいと切に願います。

プライベートで絶対に休めない事もありますので、そういう時には「プラセボ効果」を含め、役立ってくれるのではないかと。

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「前は効いたから今回も欲しい」と言われることもありますが、たまたま薬を飲み始めたぐらいから快方に向かった可能性も否定できません。

薬の過剰な使用にも繋がる可能性があるので、「薬を欲しがる」ことは無いようにしたいですね。

風邪に対して家庭で出来ること

風邪を早く治すために薬が効果的とは言えませんが、「いつもと明らかに違う」、「何かがおかしい」、「すごく心配」などの不安が強ければ受診しましょう。

「大丈夫そうだな」と思える時に、家庭内で出来ることだけアドバイスして終わりたいと思います。

大切なのは、安静にして無理のない範囲で栄養を取り、様子を見ていくことでしょう。

 

部屋が乾燥すると、鼻水がネバネバしてきたり咳も出やすくなります。

加湿器などを用いて部屋の加湿をしましょう。

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鼻水がどんどん出るときは、鼻をかむか、鼻水吸引器などで鼻水をすっきり出してしまいましょう。

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咳が出るときははちみつも効果的という報告もありますが、1歳未満には与えないように。

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子どもの風邪薬の必要性は低くても受診は大切

風邪の時の薬は効果的と言えるものはほとんどありませんが、受診に意味がないとは思いません。

受診することで、最も難しい「風邪かどうかの診断」をしてもらえるからです。

そういう意味では、心配があれば受診するぐらいでちょうど良いかも知れません。

 

特に子どもが小さいうちは心配になって当然だと思います。

子どもが成長していくにつれ「これぐらいなら大丈夫かも」という間隔も自然と生まれてくるでしょう。

 

受診すべきか迷ったら、かかりつけの医に電話で相談するか、「こどもの救急」や「小児救急電話相談」などを参考にすると良いでしょう。

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