子どものぜんそく治療に、ネブライザーが必要になることがあります。
薬局でよく質問されるのがコチラ。

どのネブライザーを選べばいいのかわからない、あなたの疑問を解決します。
私はネブライザーの専門家ではありませんが、薬局薬剤師という立場上、毎月のように相談されています。
相談される内容として多いのは、以下の4点です。
- 値段の安さ
- 使いやすさ
- 吸入時間の短さ
- 静かさ
どれも大切なことですが、その前に一つだけ確認していただきたいことがあります。
気になる点は多々あると思いますが、適したネブライザーを選択できなければ、適切に吸入出来ないなど困りごとが出てきてしまいます。
最初に私が一番おすすめすることが多い商品を紹介しておきます。
実際の使用者からの口コミを集めていった結果、多くの場合でNE-C28をおすすめしています。
商品名・メーカー | NE-C28 オムロン |
---|---|
ネブライザーの種類 | コンプレッサー式 |
価格(目安) | 13000円 |
Amazon総合評価(2019年1月時点) | 4.1 |
特徴 | ・壊れにくく、お手入れ簡単 ・薬液を選ばず使える |
ネブライザーの選び方について、基本的なことから順番に説明していきます。
かなり長くなってますので、目次から気になる部分だけご確認ください。
ネブライザーの種類と違い
ネブライザーはぜんそく治療のために使われる液状の吸入薬を霧状にして吸うための機器です。
ネブライザーにより薬液をすごく細かい霧状にすることができ、肺の奥の気道まで薬を届けることが出来ます。
そのため、吸入力が弱い子どもでもしっかり効果が出ますし、吸うタイミングを合わせる必要もないので簡単です。
ネブライザーでの吸入は、1回で5分以上はかかります。
吸入を短時間で済ませたい場合は、ネブライザーの種類にはこだわりましょう。
ネブライザーを大別すると以下の3種類になります。
- コンプレッサー式ネブライザー(別名:ジェット式ネブライザー)
- 超音波式ネブライザー
- メッシュ式ネブライザー
それぞれの特徴を簡単に説明していきます。
コンプレッサー式(ジェット式)ネブライザーの特徴【薬液を選ばない】
機械内のコンプレッサーにより、空気を圧縮させることで中の薬剤を霧状に噴霧させます。
メーカーにより、「コンプレッサー式」もしくは「ジェット式」と表現が異なっていますが、基本的にどちらも違いはないと考えて問題ありません。
コンプレッサー式ネブライザーのメリット
・パーツのお手入れが簡単なものが多い
・コンプレッサー式ネブライザーは吸入液を選ばず使える
コンプレッサー式ネブライザーのデメリット
・サイズが大きく重ため(家庭でも充分使えるサイズです)
・他のネブライザーより音が大きい
超音波式ネブライザーの特徴:使えない薬液が多いので注意!
薬液を入れたタンクを超音波で振動させることによって薬液を霧状にして、ファンによって噴霧させます。
病院などでは使われていることもあります。
超音波式ネブライザーのメリット
・比較的静か
超音波式ネブライザーのデメリット
・使えない吸入液がいくつかある。
・子どもに高頻度で使われるブデソニド吸入液(パルミコートなど)に適していないのが最大のデメリット
・ビソルボンなどの吸入液も条件次第では使えない。
メッシュ式ネブライザーの特徴:薬液次第ではメリットも多い
メッシュ付近の薬液が振動によりメッシュの穴から押し出され霧が発生します。
メッシュ式ネブライザーのメリット
・サイズが小さく軽い
・電池式のものは場所を選ばず使える
・とても静か
・傾けて使えるタイプのものもあるので、寝転がったままでも吸える
・子どもが自分で持って吸うこともできる。
メッシュ式ネブライザーのデメリット
・機種によるが、子どもに高頻度で使われるパルミコート吸入液には向いていない。(コンプレッサー式に比べて2倍程度の時間がかかる上に、メッシュが詰まりやすくなるので頻繁にメンテナンスが必要になると言われています)
・メプチン吸入液やインタール(リノジェット吸入液)は問題なく使えます。
・メッシュが詰まったら、メッシュは買い替え(1個3000円~)
ネブライザーの種類はコンプレッサー式が無難
ネブライザーの種類として3種類挙げましたが、家庭用なら実質2種類だと考えています。
【重要】ネブライザーの選択
・少し音はうるさいけど、薬液を選ばず吸入できるコンプレッサー式
・薬液によっては使いにくいけど、静かに使えるメッシュ式
冒頭の「その薬液に適したネブライザーを選択できているか?」に対してのシンプルな答えですが、

ただし、今後もメッシュ式で問題ない薬液のみを使う予定なら、メッシュ式の方が便利は良いでしょう。
ネブライザーの購入前に相談されること
ネブライザーはほとんどが一万円以上するので、家庭でいざ購入しようとすると、色々情報があって悩まれることが多いようです。
実際に薬局で質問された内容や、後で電話で質問された内容とその回答を紹介します。
スチーム吸入器はネブライザーの代わりになるか
ネブライザーと間違えやすい商品として「スチーム吸入器」がありますが、使用目的が違います。
スチーム吸入器は鼻や喉の粘膜の保湿を目的で使用するものです。
スチーム吸入器のほうが割安で購入出来ますが、それでは薬液の本来の効果は得られません。
薬液を吸入する場合は必ずネブライザーを購入してください。
ジェット式とコンプレッサー式の違い
パルミコート(ブデソニド)吸入液を使用するためにネブライザーを購入しようとする場合に多い質問です。
パルミコート吸入液には「ジェット式ネブライサーを使用してください」と書かれていますが、コンプレッサー式のネブライザーの購入を推奨されることもあり、迷いが生じてしまうようです。
ネブライザーの種類でもさらっと説明しましたが、ジェット式ネブライザーとコンプレッサー式ネブライザーは基本的に同じものです。
パルミコート吸入液は、コンプレッサー式ネブライザーでも適切に使用できますので、安心してください。
ネブライザーは薬局で売ってる?
ネブライザーを必要とする薬液は処方せん医薬品ですので、病院で処方され薬局で調剤されます。
しかし、ネブライザーは病院や薬局で販売されていることは少ないです。
ネブライザーは使用者も限られますし、何度も買い替えるものではないためほとんど売れません。
病院には物販に制限がありますし、ネブライザーは安く仕入れることも難しいです。
卸業者を通して仕入れるよりも、Amazon・楽天などで仕入れたほうが安く買えることすらあります。
結果として、薬局などでネブライザーを販売する場合、「利益も出ず、ほとんど売れない商品を、ネットよりも割高で販売」となります。
購入者視点で見れば、ネブライザーを薬局で見つけるのは大変ですし、ネットでの購入が割安です。
何を選べば良いのかわからない
ネブライザーの種類はとても多く、オムロンなどの有名メーカーの商品から、名前も知らない海外製の安価な商品まであります。
基礎知識なく比較するのはとても大変だと思いますので、よく買われている商品を中心に比較しています。
このまま続きを読んでいただければ、決めきることは出来なかったとしても、ネブライザー選択の参考になると思います。
まだまだ続きますが、良ければもう少しお付き合い下さい。
ネブライザー比較表【オムロンorミリコンキューブ】
主なネブライザーを比較表にまとめました。
基本的にオムロンをおすすめしている理由
ほとんどオムロンのネブライザーなのには2つの理由があります。
- 故障時の対応
- マウスピースや吸入マスクなどが標準装備
オムロンは故障時の対応が比較的しっかりしています。
仕事で何度もオムロンのサポートセンターと電話やネブライザーの修理のやりとりをしたことがありますが、悪い印象は特にありません。
オムロンのネブライザーは「マウスピース」と「吸入マスク」の両方がセットになっているのも安心できるポイントです。
ある程度大きい年齢ならマウスピースだけでも使えると思いますが、吸入マスクがあると小さいお子さんでも追加パーツを購入せずに使えます。
他社のネブライザーの場合、「吸入マスク」が別売りのものもあるので、確認の上購入するようにしましょう。
海外製の安いネブライザーも通販で買えますが、故障時には海外とやり取りをする必要があったり、説明書が全て英文の商品もあるので、ご注意ください。
先程の表にもそれぞれのアピールポイントは書いていますが、改めてまとめます。
おすすめネブライザーの特徴
・どんな薬でも使えて、耐久性が高く、吸入時間も短め→「NE-C28」
・どんな薬でも使えて少し小型→「NE-C803」
・時間がかかっても静かなものが良い→「NE-U100」、「NE-U150」
・消毒が少し楽→「ミリコンキューブ」
オムロンNE-C28はバランスが良い
長い期間使う可能性も考えると、オムロンの「NE-C28」はおすすめしやすいです。
オムロンNE-C28のおすすめポイント
オムロンの「NE-C28」をおすすめする理由は以下の通りです。
- データ上では一番短時間で吸入ができる
- 長期間使うことになる可能性があるから、丈夫で買い替えリスクが低い商品を選びたい
- 長期間使った場合のコストが安く済みそうなこと(メッシュ式は交換部品のコストがかかりやすい)
Amazonの「NE-C28」評価は以下の通りです。(2019年1月10日調べ)
使いやすさ | 4.4 |
耐久性 | 4.4 |
軽量 | 3.4 |
総合 | 4.1 |
オムロンNE-C28のもう一歩な点は、重くて少し大きいことと、音も少し大きいです
「NE-C28」の重さは約1.9kgと、今回紹介した他のネブライザーより重たいです。

「NE-C803」よりも一回り大きいですが、困るほどではありません。
家で使うなら気にならないと思いますが、持ち歩く可能性があるなら大きなデメリットと感じるかもしれません。
「NE-C803」と比較すると音も少し大きいです。
重たくて大きいだけあって、「NE-C803」より耐久性が良いです。
オムロンNE-C28の口コミ
私が勤めている薬局の患者さんには、「NE-C28」を実際に使われている方が10人以上いますが、問題なく使えている方ばかりです。
4年以上毎日使っているけど、トラブルが一度も無かった方もいます。
ネガティブな意見は少ないですが、「音がもう少し静かだったら良いのに」という意見は聞きます。
音が大きいのはデメリットですが、同じくコンプレッサー式の「NE-C803」より推定吸入時間が25%程度短くなります。
吸入時間を短くしたいという意見が多いので、結果としてNE-C28をおすすめすることが多いです。
迷ったらNE-C28を選んでおけば間違いないと考えています。
オムロン「NE-C803」は音が比較的静かで安いのがメリット【コンプレッサー式】
コンプレッサー式の中で音が比較的静かなネブライザーが良ければ、「NE-C803」のほうが良いかもしれません。
国内で発売されているネブライザーの中では、値段も安めです。
ネブライザーは種類もたくさんあり、選ぶのに困ることもあると思います。 ネブライザーの選び方の記事の内容を簡単にまとめると、以下のような内容になります。 コンプレッサー(ジェット)式ネブライザーは薬液を選ば[…]
オムロン「NE-U100」、「NE-U150」は薬液を選ぶが、静かで軽い【メッシュ式】
時間がかかっても静かなものが良い場合は、メッシュ式ネブライザーの「NE-U100」や「NE-U150」も選択肢に入ります。
パルミコートも吸えるとされていますが、メッシュが詰まりやすく、吸入時間は長くなる可能性はあります。
本記事ではオムロンNE-U150を紹介しています。色々なネブライザーを比較したい方は、>>>【ネブライザー(吸入器)の種類と比較】をご覧ください。ネブライザーの比較記事の内容を簡単にまとめると、以下のような内容になります。[…]
ミリコンキューブは一部レンジで消毒可能
オムロン以外で唯一表に入れている製品として、ミリコンキューブを紹介しています。
値段は少し高いですが、一部のパーツが電子レンジで消毒できるのが特徴です。
オムロンNE-C28をおすすめしています【結論】
ネブライザーにはそれぞれ特徴があるので、一番大切なポイントを優先すべきだと思います。
私としては、オムロンのNE-C28をおすすめしています。
その理由を改めて紹介します。
- 故障時の対応がしっかりしている
- マウスピースや吸入マスクなど必要そうなものが揃っている
- 薬液を選ばず使える
- 大きくて重たく、音も小さくないですが、吸入時間が短縮できる
- 使っている人の評判も良い
- お手入れも簡単
音が比較的大きいですが、毎日使うのであれば、吸入時間の短縮ができるオムロンの「NE-C28」がおすすめです。
初めてネブライザーを使う方でも簡単に使えますし、余計なパーツを買う必要もなく届いたその日から使えます。