鼻うがいは風邪の予防などに効果があると言われていますが、興味はあるけれどもなかなか手を出せない人も多いのではないでしょうか。
私も以前はそうでしたが、鼻うがいのメリットに関する報告を読んだことをきっかけに始めました。
鼻うがいのメリットや根拠などは後半で説明しますが、風邪予防にそれなりに効果的というデータもあり、個人的には(抵抗がなければ)おすすめです。
鼻には異物(細菌・ウイルス・花粉などなど)の侵入を防いだりする効果があるので、鼻の中をきれいに保つことの意味はイメージしやすいと思います。
人によっては花粉症の時期などに「鼻をとって洗いたい」と考えることもあると思いますが、鼻うがいなら鼻の中をしっかり洗い流せます。
私が使用しているのは「サイナスリンス」というアメリカで広く使われている商品です。
鼻うがいの基本やサイナスリンスの使い方、鼻うがいをおすすめする根拠などについて説明します。
鼻うがいの基本と生理食塩水の作り方
のどのガラガラうがいについては、水道水を使ってうがいをすれば問題ありません。
「風邪やインフルエンザが流行っているので、家に帰ったら手洗い・うがいをしましょう。」良く言われている言葉ですし、私もそのように伝えることもあります。 外から持ち込んだ菌やウイルスを洗い流したほうが良いことは[…]
しかし、鼻うがいに水道水をそのまま使ったら、まず間違いなく鼻が痛くなります。
プールで鼻に水が入ったら、鼻がとても痛くなりますよね?
これは浸透圧による痛みで、水道水で鼻うがいをするとそうなります。
鼻を傷めないために、浸透圧が人の体液とほぼ等張な「生理食塩水」を使いましょう。
生理食塩水とは塩化ナトリウムを0.9w/v%含有する食塩水と定義されています。
つまり、100mLの水に0.9gの食塩を溶かせば完成です(鼻うがいをする場合は極端に厳密にする必要はないと思います)。
また、必須ではありませんが、食塩の半分量の重曹を加えると、鼻への刺激がさらに少なくなるなどのメリットがあります。
コスト削減のため、自作の生理食塩水を用いて鼻うがいをしても問題ありませんが、その場合は衛生面には注意をお願いします。
後述しますが、必ず使用直前に清潔な水と清潔な食塩(+清潔な重曹)で生理食塩水を作成してください。
私の場合は、清潔面と手間を考えて、サイナスリンスを選択しました。
サイナスリンス使い方のコツ【何歳から使える?】
サイナスリンスの使い方はとても簡単です。
サイナスリンスの粉末1袋をサイナスリンス専用のボトルに入れ、ボトルの点線まで水を入れて溶かしたら(簡単に溶けます)重曹入りの生理食塩水の完成です。
サイナスリンスの粉末は英語のパッケージの袋に入っています。
ボトルを押すとフタの先の穴から生理食塩水が出てきます。
頭をうつむきの状態にして、先端を片方の鼻に入れ、ボトルから液体を押し出します。
片側の鼻から入れた液体は、反対側の鼻の穴から出てきます。
最初は少し心配も感じると思いますが、あっけないほど簡単に出来ます。
先程作った生理食塩水で両鼻分ですので、左右で何度か(4~5回ぐらい)行います。
鼻うがいが終わったら、かる~く鼻をかみましょう。
あまり強く鼻をかむのはよくありません。
鼻の穴の中には液体が残ってないように感じても、上顎洞という部分に残っていることがあります。
プールの後で鼻から明らかに鼻水ではない液体が出てくるのと同じですね。
鼻うがい後に再度うつむいたりすることで取れたりします。
慣れれば洗面所でも鼻うがいは出来ますが、少しコツがいります。
慣れるまでは入浴時にお風呂で鼻うがいをするのも手です(衛生面には注意)。
サイナスリンスには香料などが含まれていないので、個人的には使いやすいと感じます。
サイナスリンスにはいくつか種類がありますが、最初は専用容器の入ったスターターパックで試してみましょう。
なお、販売メーカーは5歳からの使用を推奨しています。
キッズ用のサイナスリンスもありまして、一袋で作れる洗浄液が通常の商品(240mL)の半分の120mLです。
成分が変わるわけではありません。
また、容器は水圧が上がりすぎないように設計されています。
キッズ用は4歳からの使用が推奨されており、通常のものと1歳しか変わりません。
なお、どちらも粉末のみでの販売(リフィル)もしています。
4歳以下の場合、うまく鼻うがいをするのは難しいかもしれません。
鼻うがいは明確に何歳からならしても良いという基準はないかと思いますが、少なくともサイナスリンスの注意書きでは4歳からの推奨です。
1歳~4歳のお子さんの鼻の洗浄をしたい場合は、サイナスリンスのベビーミストを利用しても良いかもしれません。
試したことはありませんが、鼻水吸引前にスプレーすると吸引しやすくなるようです。
子どもが夜中に咳き込んで痰を吐くことがありませんか?その時に鼻水も多く出ているようであれば、鼻水が喉の方に落ちていって(後鼻漏)、その鼻水によって咳や嘔吐につながっているかもしれません。 我が家には口で吸う[…]
サイナスリンスを誤って飲み込んでしまっても、中身は水+塩+重曹なので問題ありません。
もちろん、鼻の中にいる菌やウイルスなどを飲み込んでしまいますが。
鼻や耳の病気を治療中の場合は主治医と相談の上使い始めたほうが無難です。
サイナスリンスを含めた鼻うがいの注意点
鼻うがいをする際のには以下のような点に注意が必要です。
- 清潔な生理食塩水や容器を使うこと
- 体温に近い温度のお湯を使うこと
- 使いすぎないこと(1~2回)
- 使用後に強く鼻をかまないこと
適切な温度でないと刺激が出たり、やけどしたりしますし、やりすぎも良くないと言われます。
サイナスリンスについては1日1~2回程度の使用となっています。
また、鼻を強くかむことはサイナスリンスの使用後に限らず推奨出来ません。
鼻を強くかむ、鼻をすするなどの行為は中耳炎の原因にもなりかねないのでご注意下さい。
鼻うがいの勢いが強すぎるのも、圧がかかって良くないようです。
そういう意味では、子どもはキッズ用のサイナスリンスを使ったほうが良いかもしれません。
そして、最も注意していただきたいのが「清潔に使う」ということです。
生理食塩水を自作すれば低コストで鼻うがいが出来ますが、衛生面での心配があるため、私はしません。
もちろん、面倒くさいというのも大きな理由ですけどね。
水については一度煮沸後に体温程度に冷ましてから使用することを推奨します。
もちろん、清潔であることが担保されている水を使えば煮沸しなくても問題ありませんが、普通の家には毎日清潔さが担保されている水はないと思います。
例えばウォーターサーバーの水なども、給水口が外気にさらされているなどの問題があり、個人的には清潔さが担保されているとは捉えていません。
仮に「間違いなく清潔な水を使用する場合」でも、体温程度に温めてから使って下さい。
日本の水道水はそこまで心配する必要はないとも考えていますが、安全のために清潔さは追求したほうが良いでしょう。
生理食塩水を自作する場合は、使用する食塩(と重曹)の清潔さにも気を配る必要があります。
そして作り置いた生理食塩水を使うのも、衛生面で問題があるでしょう。
また、容器などの清潔さを保つことも大切です。
以下のような点にはご注意下さい。
- 容器は毎回乾燥させる。
- 容器も定期的に交換する。
- 家族間でも容器などを共有しない。
なお、サイナスリンスの場合、容器の交換は3ヶ月に一度を推奨しています。
鼻うがいをおすすめする根拠
最後に鼻うがいを推奨しても良いと考えている根拠についていくつか紹介します。
興味のある方だけ読んでもらえればと思います。
なお、リンクはすべてPubMedというサイトへ繋がっています。
簡潔に紹介しますので、詳しくはリンク先の内容をグーグル翻訳などしてもらうと、ある程度理解できると思います。
1つ目の報告は風邪やインフルエンザにかかった6~10歳の子ども(401人)に対して、「薬のみでの治療」と「薬と鼻洗浄での治療」で比較した研究です。
鼻洗浄をしたグループでは、喉の痛み、咳、鼻詰まりと鼻水の量が減り、学校の欠席や合併症も少ないなどの結果が出ています。
データ数が多い研究ではありませんが、この報告を知ったことが、子どもへの鼻うがいの効果について考えるきっかけになりました。
2つ目の報告は上気道感染症の子の介護者に風邪への教育と鼻洗浄を指導をしています。
結果として、受診率の低下などの子どもの健康に良い影響が生じると報告されています。
3つ目の報告は大人の鼻に生理食塩水スプレーを10週間使用して、症状を記録するだけの研究です。
鼻スプレーをしたグループは、していないグループと比較して、鼻水・鼻詰まり・風邪が少なかったという結果になりました。
鼻スプレーにどのようなものを使用していたのかはわかりませんが(鼻うがいとは違うかもしれません)、鼻の洗浄で風邪を減らせる可能性があります。
このように鼻うがいは、風邪を早く改善したり、予防したりする効果がありそうです。
ただし、鼻うがいのやり方が誤っていたり、耳鼻の病気などの状況次第ではそもそも鼻うがいに適さない可能性もあります。
ほとんどの場合は問題ないと思いますが、耳鼻科の病気を中心に、現在治療中の場合はかかりつけ医へ相談することもお忘れなく。
また、何度も繰り返しますが、鼻うがいでは「清潔さ」への配慮は絶対に忘れないようにしましょう。
清潔さを容易に担保するためにも、サイナスリンスなどの専用の器具を活用すると良いと考えます。