インチュニブの半錠の可否と、クラリスロマイシンとの併用の検討【自分の納得のために】

インチュニブの半錠処方をお薬手帳で見かけ、「徐放性製剤だから半錠ダメじゃない?」と直感的に感じる経験がありました。

インチュニブは使用量も増えてきている印象があったので、前々から併用薬(特にクラリスロマイシン)に注意しておかなければと考えていました。

その経緯から、簡単に調べてみましたので、備忘録の意味を含め残しておきます。

※本当に簡単で、内容薄いです。

インチュニブ半錠の可否

原則として、インチュニブは徐放性製剤なので半錠など不可とされます。

しかし、このような事例は、薬局で働いているとたまに遭遇します。

 

バルプロ酸製剤の場合は、剤形変更依頼で解決できることが多いですが、インチュニブには徐放性製剤しかありませんので、どうしようもありません。

このような場合、薬剤師の責務として「医師に疑義照会」は必須ですが、今回のケースでは疑義照会もされた上での半錠分割のようでした。

 

MRさんに確認したところ「原則切ったりせずに調剤してください。あとは医師の判断によります」という趣旨の、当たり障りのない返答でした。

半錠で使われる例もあるそうですが、詳しい情報はないとのことです。

 

また、論文化はされていないようですが、とある病院がインチュニブ半切時における溶出挙動を報告されています。

その報告によると、【インチュニブを半切にしても徐放性はある程度残る】と個人的な印象を受けました。

 

他に調べてみてもそれ以上のデータを見つけられませんでした。

現状では「インチュニブ半錠を推奨はしないが徐放性が全くなくなるわけではなく、実際に処方されていることもある」という印象を持っています。

 

インチュニブ半錠の可否については色々な意見があると思います。

特に薬剤師からは批判が多そうな気がします。

もちろん、薬の使い方という視点では、分割などをしないほうが理想的であることは言うまでもありません。

短時間で見ると過剰になる可能性があり、効果の持続性も劣るでしょう。

 

しかし、全く根拠のない治療とは異なりますし、継続して効果を実感している方もいるという点には留意が必要です。

個人的な意見ですが、薬剤師は白か黒かをはっきりさせたい人が多いと感じています。

 

危惧しているのは、現在インチュニブ半錠で飲んでいる方に対して、「これは半分にしてはいけない薬だ」と安易に伝えることです。

それは現在の治療を否定していることにもなりますし、患者さんの不安を煽ることになり服薬拒否に繋がる可能性があります。

インチュニブとクラリスロマイシンの併用

インチュニブの処方を見かけた際にもう一点気になっていることとして、「クラリスロマイシンとの併用の可否」があります。

インチュニブはCYP3A4で代謝されるため影響を与える薬は多いです。

その中でもクラリスロマイシンは併用される可能性がそこそこあり、かつインチュニブに与える影響が大きいと考えられます。

 

インチュニブの添付文書にもクラリスロマイシンは併用注意の薬として記載されていますが、詳細なデータはありません。

唯一参照になりそうなデータとして海外のケトコナゾールとの併用情報があります。

海外における薬物相互作用試験において,健康成人 20 例に,CYP3A4/5 の強力な阻害剤であるケトコナゾール(経口剤,国内未発売)400 mg を 1 日 1 回 6 日間反復投与での投与 3 日目に本剤 4 mg 単回投与を併用した結果,ケトコナゾール存在下でグアンファシンの Cmax は約 1.75 倍に,AUC は約 2.79 ~ 3.13 倍に増加した ため,本剤とこれらの薬剤との併用により,本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。したがって,これらの薬剤と本剤との併用には注意が必要である。(外国人データ)
引用:インチュニブインタビューフォーム

 

メディカルトリビューンの「薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019」を参照すると、CYP3A阻害効果はケトコナゾールがクラリスロマイシンよりも強いとされます。

また、同資料ではグアイフェネシン(インチュニブの成分)とクラリスロマイシンの併用により、グアイフェネシンの血中濃度が2~5倍の上昇と予測されています。

ケトコナゾールの結果を参考にすれば、3倍に届くことはなさそうな印象です。

 

実際には、薬の量次第で血中濃度への影響の大きさも変わってきますので、あまり安易に考えることは出来ません。

しかし、インチュニブの血中濃度が2倍になる程度の可能性はあると考えておいたほうが良さそうだと感じます。

 

併用の可否は量次第ですが、インチュニブを定期服用している場合にクラリスロマイシンをあえて選択する理由は少ないように感じます。

定期薬のインチュニブを変更するのは現実的ではありませんので、クラリスロマイシンの変更を検討したいところです。

使用目的にもよりますが、私であればクラリスロマイシンからエリスロマイシンやアジスロマイシンへの変更を疑義紹介するだろうと思います。

インチュニブの使用上の注意まとめ

どちらも明確な根拠があるとは言えませんが、個人的には以下のように考えています。

  • インチュニブの半錠は推奨出来ないが、徐放性はある程度残りそう
  • インチュニブとクラリスロマイシンの併用は、可能なら避けたい

 

個人的に簡単に調べた結果ですので、これで間違いないと考えているわけではなく、あくまで「現時点での私の考え」です。

実際に受け付けた場合の正解はわかりませんが、インチュニブ半錠の処方や、インチュニブとクラリスロマイシンの併用となる処方を受け付けたとしたら、疑義照会はするでしょう。

 

今回のように「自分は直接関わっていないけど気になってしまう処方」は日々見かけます。

地域の医師との連携をもっと深めていけば、このようなケースでも問い合わせがしやすくなるのかとも思いますが、なかなか大変そうです。

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