エビリファイ(アリピプラゾール)の副作用や注意点など【内用液は飲み方にも注意】

エビリファイ(アリピプラゾール)の副作用や注意点など【内用液は飲み方にも注意】

こどもの自閉スペクトラム症に伴う易刺激性への適応がある、エビリファイについての紹介です。

エビリファイは他にも色々な病気に使うことがある薬ですが、自閉スペクトラム症に関しての内容をメインに書きます。

エビリファイの種類

エビリファイには以下の種類があります。

  • エビリファイ内用液0.1%
  • エビリファイ散1%
  • エビリファイ錠1mg,3mg,6mg,12mg
  • エビリファイOD錠3mg,6mg,12mg,24mg

一部の商品についてはジェネリックも発売されていますが、特許の関係で「自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の適応が通っているのは先発品のエビリファイのみです。

ジェネリックが効かないというわけでなく、先発品の特許に守られているだけですので、その点は誤解なきようお願いします。

 

「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」に使う場合、アリピプラゾールとして通常1mgから開始して、1~15mgを1日1回飲みます。

増量幅は1日量として最大3mgまで、定常状態に達するまでに約2週間必要なので、効果が不十分だからといって2週間以内には増量しないことが好ましいとされます。

 

また、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性にエビリファイを使う場合、原則として6歳から18歳の患者さんへの使用となります。

アメリカやヨーロッパでは、小児患者(6~17 歳)のトゥレット障害にも適応が通っています。

エビリファイ内用液の飲み方について

エビリファイの錠剤は小さく飲みやすいですし、エビリファイ散もわずかに甘みがある程度で飲みやすい味なので、問題なく飲めることがほとんどです。

液体タイプのエビリファイ内用液も甘みと酸味がある液剤(オレンジのような香り)で、原液のままでも飲めるお子さんもいますが、飲み方に注意すべきことがたくさんあるのでご紹介します。

関係ない方は読み飛ばしてください。

 

エビリファイ内用液を薄めたりせずに飲める方は、そのまま飲むことを強くおすすめします。
その理由を以下に羅列します。

  • 塩素の影響で成分量が低下する→煮沸前の水道水に混ぜない
  • 様々な液状の薬、茶葉由来の飲み物(お茶類、紅茶も)、味噌汁と混ぜた場合に、沈殿したり成分量が減ったりする。
  • 硬度の高いミネラルウォーターなどと混ぜると濁りが出来て成分量が低下することがある。

水道水の湯冷ましは大丈夫だと思いますし、一部のジュースなども影響は少なそうです。
ジュースと言っても幅広いので、積極的に「ジュースと混ぜても良いです」とは言えないなと考えています。

 

原則として6歳以上に使うので、原液のままでも飲めることが多いですが、好き嫌いがはっきりしているお子さんが多い病気でもあり注意は必要です。

一回飲みきりタイプの分包品(1mL,3mLなど)もあるので、そちらが使いやすいと思います。

エビリファイの副作用や注意すべきこと、過量投与

エビリファイの副作用

まずは添付文書上のエビリファイの副作用をご紹介します。

副作用
小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
国内臨床試験において安全性解析の対象となった 88 例中、臨床検査値の異常を含む副作用が 64例(72.7%)に認められた。主な副作用は、傾眠(48.9%)、体重増加(18.2%)、流涎(9.1%)、食欲亢進(9.1%)、悪心(6.8%)、食欲減退(6.8%)、倦怠感(5.7%)であった。(効能追加時)
引用:エビリファイインタビューフォーム

副作用の頻度は低いとは言えません。

眠気は半数程度には出そうですし、食欲や体重の増減の頻度も低くありません。
どれも患者さん次第では、「耐え難い副作用」となりかねませんので、治療との兼ね合いは必要だと考えます。

エビリファイ服用にあたって注意すべきこと

エビリファイ服用時に特に注意していただきたいのは、血糖値の上下です。

高血糖(体がだるい、体重が減る、喉が渇く、水を多く飲む、尿量が増える、尿の回数が多い)や低血糖(お腹がすく、冷汗が出る、血の気が引く、疲れやすい、手足のふるえ、けいれん、意識の低下、脱力感、刺激がないと眠ってしまうなど)のどちらも起こりうるとされます。
そのような変化がないかは、ご家族の方も含め、確実に注意していただきたいと思います。

 

眠気、注意力等が低下することあるので、大人の方に使う場合は運転などにも注意が必要です。

持病や既往歴などによっては安全に使えない可能性もあるので、始める前に病院でしっかり確認していただくことが大切です。

エビリファイの過量投与

エビリファイの過量投与については以下のような報告があります。

過量投与
徴候、症状:
外国の臨床試験及び市販後自発報告において、最高1,260mgまで偶発的又は企図的に急性過量投与された成人において嗜眠、傾眠、血圧上昇、頻脈、嘔吐等の症状が報告されている。また最高195mgまで偶発的に服用した小児において、一過性の意識消失、傾眠等の症状が発現した。
引用:エビリファイインタビューフォーム

刺激がないと眠ってしまう、ぼんやりする、血圧が高い、脈が早い、嘔吐するなどの症状が、同時に起こっている場合などはただちに受診しましょう。

エビリファイの併用薬や食事の影響について

エビリファイに影響を強く与える併用薬について

エビリファイと併用に注意すべき薬は少なくありません。

併用禁忌扱いとなっているのは、アドレナリン(ボスミン)のみで、アドレナリンの作用を逆転させて血圧を下げたりする可能性があります。
アドレナリンですが、アナフィラキシーの救急治療に使用する場合は除くとされているので、エピペンの記載はありません。

 

併用注意の薬は以下の通りです。

中枢抑制剤
バルビツール酸誘導体
麻酔剤
中枢神経抑制作用
血圧降下剤相互に降圧作用を増強
抗コリン作用を有する薬剤抗コリン作用を増強
ドパミン作動薬
レボドパ
ドパミン作動作用を減弱
エタノール摂取相互に中枢神経抑制作用を増強
CYP2D6を阻害する薬剤
キニジン
パロキセチン
本剤の作用が増強
CYP3A4を阻害する薬剤
イトラコナゾール
クラリスロマイシン
本剤の作用が増強
CYP3A4を誘導する薬剤
カルバマゼピン
リファンピシン類
本剤の作用が減弱

※表はエビリファイインタビューフォームを参考に作成

 

CYP3A4,CYP2D6の影響があるので、かなり多くの薬との相互作用が起こりえます。

表に記載がある薬の中では、特にクラリスロマイシンが使用頻度が高いと思いますが、絶対に併用してはいけないというわけではありません。

エビリファイとクラリスロマイシンの量にもよって変わりますので、心配があればかかるつけの医師・薬剤師にご確認ください。

 

相互作用に関して、アメリカの添付文書には以下のように記載されているようです。

要因 エビリファイの用量調整
CYP2D6 代謝活性欠損者通常用量の半量
CYP2D6 代謝活性欠損者が強力な CYP3A4 の阻害剤(例:イトラコナゾール、クラリスロマイシン)を併用通常用量の 1/4 量
強力な CYP2D6 の阻害剤(例:キニジン、フルオキセチン、パロキセチン)又は CYP3A4 の阻害剤(例:イトラコナゾール、クラリスロマイシン)を併用通常用量の半量
強力な CYP2D6 の阻害剤及び CYP3A4 の阻害剤を併用 通常用量の 1/4 量CYP3A4 の強力な誘導薬(カルバマゼピン、リファムピン)を併用1~2 週間 通常用量の 2 倍量

 

日本の添付文書でもおなじような記載があればわかりやすいですね。

アメリカでは日本よりもCYP2D6代謝活性欠損者が多いので、このような記載があるのかもしれませんね。

エビリファイと食事などの影響

食事との影響は基本的に大きくなさそうなので、食前や食後にはそれほどこだわらなくても良さそうです。

食事・併用薬の影響
アリピプラゾール 3 mg(普通錠並びに 1%散)をそれぞれ 14 例の健康成人男子に空腹時あるいは食後 30 分に単回経口投与し、アリピプラゾールの血漿中動態に及ぼす食事の影響を検討した。
3 mg 錠及び 1%散ともに、Cmax及び AUC168hrには食事の影響はみられなかった。Tmaxについては、1%散では食事による経口吸収の遅延がみられた。
参考:エビリファイインタビューフォーム

ただし、内用液の飲み方でも触れたように、内用液を使用する場合は注意点が多いですのでご注意ください。

 

エビリファイは副作用の心配もありますし、患者さんにお渡しする薬情(薬の説明書きの紙)を読んで少し心配になられる方もいます。

注意すべき点はありますが、自己判断での中止がないようにお願いします。

心配があれば病院や薬局に相談するようにしてください。