飲食物と飲み合わせを注意すべき薬一覧【ジュース、牛乳、コーヒー、硬水、アルコール】

飲食物と飲み合わせを注意すべき薬一覧【ジュース、牛乳、コーヒー、硬水、アルコール】

お子さんの薬をお渡しする時に、「この薬はジュースで飲んでも良いですか?」という質問はよくあります。

他にも、「牛乳」、「ヨーグルト」、「アイス」、「お茶」などなど色々聞かれます。

 

ジュースと言っても色々ありますよね。

以下のジュースはそれぞれ異なる薬に注意が必要です。

  • グレープフルーツジュースなど一部の柑橘系ジュース
  • りんごジュースやオレンジジュース
  • 炭酸飲料
  • 乳酸菌飲料(乳製品)
  • カフェインが入っているもの
  • ビタミンCが多く入っているもの

ジュースと飲んでも良い薬もありますが、ジュースで飲まないほうがいい薬や、飲んではいけない薬もあります。

 

飲食物と飲み合わせが悪い薬についてまとめました。

ここに記載されていないものもたくさんあります。

あくまで一部であることはご理解ください。

 

また、実質ほとんど影響の出ないような組み合わせもあります。

全てがダメだというわけではありません。

アルコールなどの大人にしか関係なさそうなものもまとめています。

ジュースやお茶、コーヒーなどと飲み合わせの悪い薬

影響を受ける薬起こりうる影響
牛乳や乳製品ビスホス製剤、テトラサイクリン系(ミノマイシンなど)、ニューキノロン系(オゼックスなど)、チラーヂン金属錯体を作り、薬の吸収を下げる
高脂溶性薬剤全般(ドラール、イトリゾール、クラリチン、チガソンなど)胆汁酸分泌促進により、吸収増加→薬の効果増強
腸溶性製剤(バイアスピリンテオドールなど)消化管内pH上昇→腸溶性の変化による効果の低下
イトリゾール、鉄剤コロネル・ポリフル消化管内pH上昇→吸収の低下など
Ca、Mgを含む医薬品、活性型ビタミンD3製剤、ジギタリス製剤Ca吸収促進→高Ca血症
炭酸飲料腸溶性製剤(バイアスピリン、テオドールなど)消化管内pH低下→腸溶性の変化
イトラコナゾール消化管内pH低下→吸収上昇
マクロライド系(クラリスロマイシンなど)分解による効果低下、苦味増える
果汁ジュースマクロライド系(クラリスロマイシンなど)分解による効果低下、苦味増える
アレグラ、セレクトール、テノーミン
詳しくは>>>アレグラ(フェキソフェナジン)はジュースとの飲み合わせに注意
吸収低下
ビスホス製剤など吸収低下
イトリゾール酸性飲料で吸収上昇
グレープフルーツ(ジュース)詳しくは>>>グレープフルーツと薬の飲みあわせが悪い理由と、注意すべき柑橘一覧をご覧ください。薬によって異なる
ビタミンCが多いもの鉄剤鉄の吸収増加
ダイアモックス尿路結石できやすくなる
アセトアミノフェンアセトアミノフェン半減期延長
コーヒー・紅茶・一部お茶・栄養ドリンク・風邪薬などカフェインが多いもの麦角アルカロイド(クリアミンなど)吸収上昇
CYP1A2で代謝される薬(テオドール、テルネリンなど)薬もカフェインも血中濃度上昇
CYP1A2阻害薬(ニューキノロン系、デプロメールなど)カフェインの血中濃度上昇
ザイロリック、フェブリクカフェインの血中濃度上昇
エフピー抗パーキンソン作用増大→頻脈など
睡眠薬カフェインによる覚醒効果のため、薬の効果減弱
β刺激薬、甲状腺ホルモン製剤(チラーヂンなど)、
テオドール、ジギタリス
新機能亢進の可能性
利尿薬全般利尿効果上昇
NSAIDs(イブプロフェンロキソニンなど)鎮痛効果上昇
コーヒー・紅茶・一部お茶などのタンニンが多いもの鉄剤金属結合して鉄の吸収を下げる

 

子どもに薬を飲ます時に使いそうな飲み物はここまでです。

カフェインに関しては、相互作用だけでなく単独でも過剰摂取につながらないようにしたほうが良いでしょう。

 

ここから先は食べ物や、子どもには関係が薄いものがメインになります。

アルコールやタバコ、その他のものと飲み合わせの悪い薬

影響を受ける薬起こりうる影響
チーズ・赤ワイン・バナナ・ヨーグルトなどチラミンが多いものイスコチン・エフピーチラミン代謝抑制→交感神経刺激
赤身魚、魚の干物などヒスチジンが多いものイスコチン・エフピーヒスタミン代謝抑制→ヒスタミン中毒
高タンパク食、ビタミンB6が多いものレボドパ製剤レボドパの効果減弱
ビタミンKが多いものワーファリンワーファリン効果低下
アルコールユリノームなどアルコールにより乳酸が合成され、尿酸の排泄を阻害
睡眠薬、抗精神薬、けいれんの薬、パーキンソンの薬など中枢神経過剰抑制の可能性
血管を拡張する薬(一部血圧の薬など)起立性低血圧が起こる可能性
カロナール、リウマトレックス、ユリノームなど肝障害を発生させやすくする
タバコテオドール、インデラルなどCYP1A2が誘導され、薬の効果が下がる可能性
女性ホルモン配合剤(アンジュ、ルナベルなど)血栓症リスク上昇

ここに載っていないものもたくさんあります。

実は私達がまだ気づけていない相互作用もまだまだあると考えています。

 

そのため「薬はお水で飲んでください」と言われます。

ただし、硬水に分類されるミネラルウォーターの場合、水ですが注意が必要です。

硬水(カルシウムやマグネシウム)と飲み合わせの悪い薬

硬水には、多くのカルシウムやマグネシウムが含まれています。

カルシウムやマグネシウムと飲み合わせが悪い薬は以下の通りです。

影響を受ける薬起こりうる影響
カルシウムとマグネシウム共通ビスホス製剤、ミノマイシンなどのテトラサイクリン系、オゼックスやバクシダールなどのニューキノロン系薬の吸収が落ちる。
2時間ぐらいは間を空けたほうが無難
カルシウムチラーヂン、エストラサイトなど
マグネシウムクラビット、ロメバクトなどのニューキノロン系

 

薬と相互作用がある飲食物の一部を抜粋しただけでもこの多さになります。

そして、中にはまだ気付かれていないだけで、実際には影響を与えている組み合わせもあるのかもしれません。

 

薬は水で飲むことを前提として開発されているということもありますが、薬を飲む場合の大原則は「水道水や軟水などで飲む」です。

それ以外で飲む場合は一度薬剤師に相談していただいたほうが良いと思います。

 

とはいえ、子どもにとって苦い薬を水で飲むのは難しいこともあります。

以下の記事も参考にしてみてください。

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