ファンギゾンシロップの使い方や味など【うがいを指示されることもあります】

ファンギゾンシロップの使い方や味など【うがいを指示されることもあります】

子どもの口腔カンジダ症(鵞口瘡)などに使われることのある、ファンギゾンシロップについて説明します。

小さい子は口腔カンジダになることも多いと言われますが、基本的には自然に治ることが多いとされます。

口腔カンジダ症(鵞口瘡)とは

口や舌などにカンジダという真菌が付いた状態で、白いミルクかすが付いているようにも見える。
乳児には珍しくないですが、自然と治ることも多く、必ずしも治療が必要とは言えない。
悪化すると食事を嫌がることもあり。

ファンギゾンシロップの使い方や味など

ファンギゾンシロップは1mL中に、抗真菌成分であるアムホテリシンBを100mg含んだ飲み薬です。

 

アムホテリシンBは消化管からはほとんど吸収されないため、「薬が触れた部位だけ効果がある」のが特徴です。

そのため、効果があるのは口から腸までの消化管に限られます。

健康成人に35mg/kgを投与した結果24時間目から24時間毎に4日間採血した試料中には検出限界(0.1µg/mL)をこえたものはなかった
尿中:健康成人に、錠剤またはシロップを35mg/kg投与した結果、尿中には8例中2例にだけ第1日目にそれぞれ0.096mg、0.14mgが検出された。
糞便:シロップ35mg/kgを投与された4例は、1 ~ 2日目に最高(880 ~ 6,560µg/g)の値がみられ、また3日以内に大部分の排泄が終了したが、回収率にかなりの個人差がみられ、24 ~ 73%に分布した
引用:ファンギゾンシロップインタビューフォーム

 

仮に過量投与になったとしても全身性の真菌感染症へは効果がなく、全身性の副作用が出る可能性も低いとされます。

副作用が出たとしても、ほとんどの場合は食欲不振や吐き気・下痢などの薬が通った箇所の症状でしょう。
※重大な副作用として、Stevens-Johnson症候群やLyell症候群の報告例もあるので、全く心配不要というわけではありません。

 

ファンギゾンシロップは、どろっとしたオレンジ~茶色の液体で、甘みはありますが美味しいとは言えません。

よく振ってから1回量を量り取って下さい。

 

通常は、「小児の消化管におけるカンジダ異常増殖」に対して、1回0.5~1mLを1日2~4回食後に飲みます。
※処方のされ方次第では、精製水で薄めてから渡されることもあると思います。

 

なお、口腔カンジダに使用する場合は、「舌で患部に広くゆきわたらせ,できるだけ長く含んだ後,嚥下させること。」との適用上の注意があります。

とはいえ、乳幼児にこのようにすることは難しいので、「スポイトで患部に当たるようにしてから飲ませる」という医師からの指示も見かけたことがあります。

 

原則小児用の薬ではありますが、成人の口腔カンジダなどに使われることも少なくありません。

 

服用後、歯が黄色くなることがありますが、歯磨きをすることですぐに取れます。

また、光に不安定なため、遮光して(光を避けて)保存しておきましょう。

補足【うがい、錠剤、代替薬】

適応外の使用方法ですが、口内にしか症状がない場合に、ファンギゾンシロップでうがいをしてから吐き出すように指示されることがあります。

その場合、精製水などで50~100倍程度に薄めてうがいをすることが多いですが、処方医の指示に従って下さい。

インタビューフォームによると、遮光かつ室温の保存において、50倍希釈で2週間、100倍希釈で1週間は安定とされています。

 

ファンギゾンシロップと同成分の錠剤(ハリゾン錠100mgなど)もあります。

私は調剤をしたことがないのですが、なめて溶かしたりでもしない限り(一応裸錠なので出来る?)、口腔や上部消化器のカンジダには効果は期待できないように感じます。

基本的には、下部消化器官のカンジダ治療に使われるのでしょう(曖昧ですみません)。

 

代替薬としてはフロリードゲル経口用2%が挙げられますが、小児や乳幼児等を対象とした臨床試験を実施しておらず、使用経験も少ないとされています。

その他適応がある薬としてイトリゾール内用液やカプセルなどもありますが、全身性の効果・副作用なども考慮する必要があります。

 

口腔カンジダは、吸入ステロイドが原因になることもあります。

以下の記事の副作用の項目でも触れていますが、ステロイドが口内に残らないようにすることが重要です。

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うがいが難しい乳幼児の場合、吸入後に何かを飲んだり食べたりする方法も検討出来ます。

吸入後の対応が適切に出来ていれば、治療が必要なほどの口腔カンジダになることは稀でしょう。