レボフロキサシン(クラビット)点眼液は小児に安全に使える?【0.5%と1.5%の違い】

基本的に小児にはニューキノロンは禁忌

小児にニューキノロン系の使用を控えるべきだということは、薬剤師なら必ず学ぶことです。
(※ニューキノロンとは、抗菌薬の分類の一つです。)

 

ニューキノロンの中でも、「トスフロキサシン」など小児にも適応がある薬もありますが、代表格である「レボフロキサシン(クラビット)」に関しては、小児適応は変わらずありません。

 

しかし、レボフロキサシン(クラビット)点眼液0.5%は小児にも使われています。

私が薬剤師になったばかりのころ、初めて処方を見たときには、かなり焦った記憶があります。

「子どもにニューキノロン!?禁忌だよ!?疑義照会しないと!!!」
※当時の私の不十分な知識による判断です。

その時は、当時の先輩に「レボフロキサシンの点眼はこどもに普通に使うから大丈夫」と教えてもらいました。

当時はあまり深く考えておらず、「先輩が大丈夫って言ってるから大丈夫なんだな。」ぐらいに考えていましたが、改めて調べてみることにしました。

 

結論としては以下の通りです。

POINT

レボフロキサシン(クラビット)点眼液0.5%は使えます。
レボフロキサシン(クラビット)点眼液1.5%は安全性は確立されていません。

添付文書に書いてある通りですが、改めて考えてみました。

ニューキノロンの小児への使用について

ニューキノロンが小児に禁忌とされている理由

ニューキノロンの多くが小児に禁忌とされている理由は、レボフロキサシンを動物に投与した際に関節異常が認められているからです。

動物実験[幼若犬、若い成犬(13 ヵ月齢)、幼若ラット]で関節異常が認められている。
解説:動物実験でレボフロキサシン投与により関節異常が認められたことから、注意喚起のため設定した
本剤のみならず、キノロン系抗菌薬に共通の注意である。
参考:クラビット錠インタビューフォーム

そのため、経口のニューキノロンの多くは小児に禁忌とされています。

小児に禁忌のニューキノロン(クリックで開きます)
  • オフロキサシン(タリビット)
  • レボフロキサシン(クラビット)
  • 塩酸ロメフロキサシン(バレオン)
  • 塩酸シプロフロキサシン(シプロキサン)
  • プルリフロキサシン(スオード)
  • モキシフロキサシン(アベロックス)
  • メシル酸ガレノキサシン(ジェニナック)
  • シタフロキサシン(グレースビット)

トスフロキサシンは小児にも使えるニューキノロンです

ほとんどのニューキノロンは小児に禁忌とされていますが、「トスフロキサシン」は小児にも使えます。

トスフロキサシン(オゼックス)細粒、オゼックス小児用錠などの飲み薬や、トスフロキサシン(オゼックス)点眼液などがあります。

トスフロキサシンが小児に使えるのは、以下の理由からです。

  • 既存の薬に比べて、動物に投与した際の関節障害が少なかったこと
  • 関節障害を起こした際の血中濃度が、小児の通常量経口投与時における血中濃度の10倍以上であったこと
トスフロキサシン以外にも、小児用バクシダールなど、限定的に使えるニューキノロンもあります。

小児用バクシダールなど限定的に使える薬もあります。

小児用バクシダール

小児用バクシダールは名前の通り小児用の薬ですが、
「他の抗菌剤が無効と判断される症例にのみ投与する。」との注意があります。

トスフロキサシンが発売になってからは、あまり見かけない印象があります。

レボフロキサシン、シプロフロキサシン共通

小児に対しては禁忌ですが、添付文書には以下のようにも記載されています。

「小児等に対しては、炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。」

禁忌だけど条件次第では投与していいって、かなりややこしいですよね。

レボフロキサシン(クラビット)点眼液は小児に使えるのか?【0.5%と1.5%の違い】

レボフロキサシン(クラビット)点眼液0.5%は小児に使える?

クラビット点眼液0.5%のインタビューフォームには、以下のように記載があります。

小児等への投与
<解説>
使用成績調査結果では、15 歳未満の小児は 1,259 例であり、4 週未満 20例 、4 週以上 1 歳未満 187 例 、1 歳以上 7 歳未満 666 例 、7 歳以上 15 歳未満 386 例であった。小児の副作用発現症例率は 0.32%(4/1,259 例 )であり、15 歳以上の症例の副作用発現症例率 0.70%(38/5,427 例)と比較し有意差は認められなかった(χ2 検定、p=0.177)。副作用の種類及び件数は、点状角膜炎 1 件、眼そう痒症 1 件、接触皮膚炎 1 件及び蕁麻疹 1 件であった。なお、1 歳未満の症例に副作用の発現は認められなかった。

<参考>
臨床的に細菌性結膜炎と診断された小児 53 例 74 眼(生後 1 ヵ月~12歳)を対象に 0.5%LVFX 点眼液を 1 日 3 回 1 週間投与し、日本眼感染症学会制定の「細菌性脹感染症に対する汎用性抗生物質等点眼薬の評価基準」に従い臨床効果ならびに安全性について検討した。平均投与期間 7.75 日で全例が治癒し、副作用は特に認められなかった 。
参考:クラビット点眼液0.5% インタビューフォーム

生後1か月の赤ちゃんへの使用例もあるようです。

 

また、成人のデータですが、正しく点眼できていれば、ほとんど血中へは移行しないようです。

臨床試験で確認された血中濃度
健康成人男性(10 例)に 0.3%および 0.5%LVFX 点眼液をそれぞれ片眼に 1 回 2 滴、1 日 4 回 14 日間連続点眼したところ、最終日の点眼 1時間後の血漿中濃度は全例定量限界(0.01µg/mL)以下であった。
参考:クラビット点眼液0.5% インタビューフォーム

実際に使って問題も出ていないし、ちゃんと使えていれば、血中への移行もほとんどなさそうです。

レボフロキサシン(クラビット)点眼液1.5%は小児に使える?

レボフロキサシン(クラビット)点眼液1.5%に関しては、データが出揃っていないため、小児等への安全性は確立していません。

あくまで個人的な見解ですが、レボフロキサシン0.5%のデータを見る限り、目薬の濃度が3倍になっても大きな影響は出ない気がします。

 

ただし、トスフロキサシン点眼などの選択肢もありますし、安全性が確立していない1.5%製剤をあえて選択する理由はあまりないのではないかと考えます。

レボフロキサシン点眼液のアメリカの添付文書も紹介

Safety and effectiveness in infants below the age of one year have not been established. Oral administration of quinolones has been shown to cause arthropathy in immature animals.
There is no evidence that the ophthalmic administration of levofloxacin has any effect on weight bearing joints.
引用:0.5% levofloxacin ophthalmic solution 添付文書

  • 1歳未満への安全性と有効性は確立されていません、
  • 経口のキノロンは関節に影響を与える可能性がある
  • 目薬で同様なことが起こる根拠はない

といった内容ですね。

添付文書を検索しても見つかりませんでしたので、アメリカには1.5%製剤は無さそうです。

レボフロキサシン(クラビット)点眼液は小児に使えるか?【結論】

以上の理由により、個人的には以下の結論になりました。

POINT

レボフロキサシン(クラビット)点眼液0.5%は使えます。
レボフロキサシン(クラビット)点眼液1.5%は安全性は確立されていません。

添付文書通りのありきたりな結論ですが、誰かの参考になれば良いなと思います。
別の人に処方された薬を自己判断で使うのはやめましょう。

 

目薬のさし方や保管方法などについては関連記事をご覧ください。

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