子どもの便秘にも使われる、ラクツロース製剤についての説明です。
ラクツロース製剤はたくさんありますが、子ども向けの以下の商品についての内容をメインとしています。
- モニラック・シロップ65%
- ピアーレシロップ65%
- リフォロースシロップ65%
ラクツロース製剤の簡易な説明
ラクツロースは浸透圧性下剤のうち、糖類下剤の一つです。
日本での使用はさほど多くない印象ですが、世界的には広く使われている便秘薬の一つです。
世界消化器学会のガイドラインや、日本の慢性便秘症診療ガイドラインでも推奨されており、エビデンス(根拠)レベルも高いです。
しかし、現実としてはあまり使われていない印象があります。
比較的使用頻度が高い「酸化マグネシウム」などと比較すると、効果の実感が薄いのが理由ではないかと考えています。
ラクツロースを飲んでも、ほとんど体内に吸収されません。
そのまま腸まで届いて、腸内に水分が届きやすいように働くので、便をやわらかく出しやすくします。
また、腸内細菌に分解されることで、プロバイオティクスを増やすプレバイオティクスとしての効果もあります。
浣腸のように速やかに排便効果があるわけではなく、効果を実感するのに数日程度はかかるでしょう。
便秘以外にも、高アンモニア血症の治療にも使われます。
もらった薬情を読んで「高アンモニア血症」と記載があることで心配になることもあると思いますが、どちらにも使われることがある薬です。
日本では長年成人に適応のあるラクツロース製剤がありませんでしたが、現在では「ラグノスNF経口ゼリー」が成人にも使える商品として発売になっています。
ラクツロース製剤の味や小児便秘改善効果
ラクツロース製剤を子どもの慢性便秘に使う場合、通常1日0.5~2mL/kgを3回に分けて飲みます。
ラクツロース製剤の中でも、若干組成が変わるものもありますが、全般的に甘みが強いです。
個人的にはサラサラした水飴みたいな印象です。
小さいお子さんに飲ませる場合、食前(ミルク前)に飲ませたほうが口に残らなくて良いかもしれません。
味を嫌がるようなら薄めても良いです。
0.5~2mL/kgの範囲であれば、有効率も大きく変わらないようです。
承認時までの臨床試験における316症例について、用量別に著・有効、やや有効、無効の例数と頻度を検討した結果、以下のようになった。
投与量
(mL/kg/日)効果・例数(%) 例数 著・有効 やや有効 無効 0.2以下 1 0 0 1 0.5±0.2 68(79.1) 5(5.8) 13(15.1) 86 1.0±0.2 111(85.4) 6(4.6) 13(10.0) 130 1.5±0.2 49(81.7) 6(10.0) 5(8.3) 60 2.0±0.2 29(80.6) 5(13.9) 2(5.5) 36 2.3以上 3 0 0 3 参考:モニラックインタビューフォーム
有効率も高いですね。
私が調剤している範囲ではもう少し有効率が低い印象がありますが、個人差もあるでしょう。
ラクツロース製剤の副作用・保管上の注意点など
「子どもの便秘と産婦人科術後の排ガス・排便の促進」合わせての副作用報告として、添付文書に以下のように記載があります。
総症例数 2,332 例中 95 例(4.1%)107 件に副作用がみられ、主なものは下痢(軟便を含む)44件(1.9%)、腹痛 24 件(1.0%)などの消化器症状であった。(副作用頻度報告終了時:1982.8)
便秘薬の副作用として、ある程度の下痢や腹痛があるのは仕方ない範囲だと考えています。
下痢になったら量や回数を減らしても良いと指示されていることもあります。
ラクツロース製剤を長期間保管する場合は、以下の点に注意してください。
長期使用する場合は、開封後は冷所で保管してください。
冷所保管すると乳糖の結晶が析出することがあるようですが、治療に影響が出るものではありません。
また、高温で保管すると、もともと褐色のシロップの色がさらに濃くなるようです。
分包品を処方された場合は、封の空いた使いかけのシロップは保管せずに処分するようにしてください。
ラグノスNF経口ゼリーも発売されて、大人にも便秘の治療に使用されることは増えてきていると思いますが、やはり子どもに使われる方が多いのではないでしょうか。
乳児期に飲むことがあり、心配されることもありますが、ラクツロースはほとんど体内に吸収されない【糖類】なので副作用も過度に心配する必要はありません。
しっかり便秘の治療をするようにしましょう。
子どもの慢性便秘については以下にまとめています。
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