アルファロール内用液・散の副作用や注意点【ビタミンD欠乏性くる病など】

アルファロール内用液・散の副作用や注意点【ビタミンD欠乏性くる病など】

アルファカルシドール(アルファロールなど)はビタミンD製剤で、骨粗しょう症の高齢者に処方されることが多い薬です。

しかし、母乳育児などが原因でビタミンDが不足しているお子さんに使われることもあります。

アルファロールの注意点などについてまとめていきます。

アルファロールを子どもに使う理由【ビタミンD欠乏】

アルファロールは、ビタミンDを補充する目的で使われます。

基本的に持病のない子どもに使われることはまずありませんが、完全母乳栄養のお子さんはビタミンDが不足しやすいため、その補充を目的として使用されることもあります。

 

母乳育児でビタミンDが不足すると、ビタミンD欠乏性くる病につながる可能性があります。

母乳育児のでビタミンDが不足する理由やその対策などについては、以下の記事をご覧ください。

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アルファロールは、子どもの骨粗しょう症の場合はアルファカルシドールとして 0.01~0.03µg/kgを1日1回、それ以外の場合は0.05~0.1µg/kgを1日1回服用します(未熟児を除く)。

子どもに使われる製剤としては、アルファロール散1μg/gか、アルファロール内用液0.5μg/mLがほとんどでしょう。

カプセルや錠剤にはジェネリックがありますが、散剤と内用液にはジェネリックはありません。

 

アルファロール散が透明や半透明の袋に入っている場合は、2週間以上保管する場合は冷蔵庫で保管するようにしてください。

アルファロール散の分包品(薄い赤や青の紙っぽい袋)の場合は、冷蔵庫での保管は不要です。

 

アルファロール内用液を使用する場合は、添付のスポイトで指示された量をとって使うようにしてください。

アルファロール内用液は液体ですが、シロップや水には溶けないため、混ぜたりせずにそのまま飲むようにお願いします。

アルファロールの副作用や併用注意

アルファロールの副作用

アルファロールの副作用報告は以下の通りです。

副作用の概要
○慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミン D 抵抗性クル病・骨軟化症、未熟児におけるビタミン D 代謝異常に伴う諸症状の改善
4,967 例中 285 例(5.7%)471 件に副作用が認められた。主な副作用は、そう痒感 112 件(2.3%)、食欲不振 48 件(1.0%)、嘔気 47 件(0.9%)、下痢 28 件(0.6%)、ALT(GPT)の上昇 27 件(0.5%)であった。(散剤追加承認(1993.1)時まで)
○骨粗鬆症(3µg カプセルを除く)
14,808 例中 192 例(1.3%)241 件に副作用が認められた。主な副作用は、BUN の上昇 24 件(0.2%)、嘔気 23 件(0.2%)、食欲不振 21 件(0.1%)、胃痛 19 件(0.1%)、AST(GOT)の上昇 14 件(0.09%)であった。(散剤追加承認(1993.1)時まで)
引用:アルファロールインタビューフォーム

そう痒感は慢性腎不全に使用した場合に多い割合報告されています。

子どもに限定した副作用報告数は多くありませんでしたが、大きな問題になる可能性は低そうです。

 

ただし、以下の記載もあるので、過量には注意が必要です。

小児に投与する場合には、血清カルシウム値等の観察を十分に行いながら少量から投与を開始し、漸増投与するなど、過量投与にならぬよう慎重に投与すること。[幼若ラット経口投与における急性毒性は成熟ラットに比べ強くあらわれている。]

また、適切に使っていれば問題にはなりませんが、ビタミンD自体も上限量が設定されています。

アルファロールの併用注意

併用注意として添付文書に記載があるものを羅列します。

  • マグネシウムを含有する製剤(酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等)
  • ジギタリス製剤(ジゴキシン等)
  • カルシウム製剤(乳酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム等)
  • ビタミン D 及びその誘導体(カルシトリオール等)
  • PTH 製剤(テリパラチド)

 

子どもにも併用される可能性が高そうな薬としては、便秘の治療などで使われる「酸化マグネシウム」があります。

ビタミンDは、マグネシウムの吸収を促進させるので、高マグネシウム血症に注意が必要になります。

時間を空けて飲めば影響を減らせる可能性はありますが、詳しくはかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。

 

その他に記載のある薬との併用は、高カルシウム血症リスクおよびそこから派生した副作用を上げる可能性が指摘されています。

通常の食事やミルクなどに含まれるカルシウムやマグネシウムの量で問題になることはまず無いでしょう。

適切な量の使用で問題になることはまず無いと思いますが、適切な使用をお願いします。