こどもの嘔吐や下痢に対する五苓散の効果【坐薬や注腸として使うことも|エビデンスはあるの?】

五苓散は、水分の偏りを改善する目的で使われることの多い漢方薬です。
嘔吐や下痢のあるこどもにも使われることがあります。

根拠(エビデンス)が十分とまでは言えませんが、こどもにも使うことのある漢方薬ですのでご紹介します。

五苓散は下痢や嘔吐に効果的か

五苓散は嘔吐や下痢がある時、その他水分の偏りを改善したいときなどに使われることがあります。
使用するかどうかは医師の考え次第だと思いますが、個人的にはこどもの嘔吐や下痢に使用するのはアリだと考えています。

五苓散坐薬のこどもの嘔吐に対する有効性

最初に紹介するのは、五苓散の坐薬は補中益気湯の坐薬より小児の嘔吐と吐き気に有効という報告です。

この結果で得られたことは、
五苓散坐薬は補中益気湯坐薬よりもこどもの嘔吐や吐き気に有効
ということであり、プラセボ(偽薬)と比較した結果ではありません。

 

しかし、嘔吐しているときには飲み薬は現実的に使いにくく、こどもには点滴のルートも取りにくいです。
五苓散坐薬が発売されているなら使用したいという意見はあるのではないかと思います。

成人の急性感染性胃腸炎に対する五苓散(内服)の有効性

続いて、日本においての成人の急性感染性胃腸炎に対しての五苓散とプロバイオティクスの有効性に関するランダム化比較試験を紹介します。

下痢と嘔吐の期間及び頻度は差がなかったが、食欲不振と腹痛の期間は五苓散を使用した群のほうが短くなったという結果です。

下痢と嘔吐の期間及び頻度の効果を調べることをメインの評価項目とした研究ですので、食欲不振と腹痛の期間が短いというのは副次的な結果だと言う点には注意が必要です。

こどもの嘔吐に対する五苓散坐薬とナウゼリン坐剤を比較

こどもの嘔吐に対する五苓散坐薬とナウゼリン坐剤を比較した研究もありますが、データ数が少ないこと、厳密なランダム化比較試験ではないことには注意が必要です。

嘔吐を主訴として外来受診したこども(輸液を必要とする例は除く)に、五苓散坐薬もしくはナウゼリン坐薬を使用しています。

五苓散坐薬はツムラの五苓散1g+ホスコ1gで作成されたものを使用し、ナウゼリン坐剤は体重により投与量が調整されています。

 

嘔気嘔吐の改善度は五苓散坐薬使用で92.3%、ナウゼリン坐剤使用で71.4%という結果だが、有意差は出ていません。

 

数字だけ見ると五苓散の方が効果的と感じてしまいますが、有意差が出ていないので五苓散坐薬のほうが効果的とは言いきれません。
ですが、ナウゼリン坐剤には注意すべき点があることを考慮すると、個人的には五苓散坐剤のほうが良いのではないかと考えます。

これらの報告から、嘔吐があるときには、五苓散は選択肢として挙げても良いのではないかと考えています。

こどもへの五苓散をどうやって使うか

こどもに五苓散を使用する場合には、「どうやって使うのか」が一つの問題となります。

医療用として使える五苓散には飲み薬しかありませんが、少なくともこどもにとって五苓散は飲みやすい味とは言えません。

ただでさえ吐き気があるような状況において、こどもに五苓散を飲ませることは困難と言えます(嫌がらず飲める子もいます)。

 

そのため、五苓散を坐薬にしたり、注腸(溶かした五苓散を浣腸のようにおしりから入れる)という治療を行っている医療機関もあります。

ただし、五苓散の坐薬や注腸製剤が発売されているわけではないので、各医療機関で自作する手間がかかります。
自作されている医療機関もありますが、現状では使用している医療機関はかなり限られているでしょう。

五苓散坐薬の作り方【医療機関向け外部リンク】

DI ONLINEに五苓散坐薬の作り方についての記事がありましたので紹介します。
※閲覧には登録が必要です。

五苓散坐薬は、五苓散とホスコ(坐薬の基剤)、坐薬のコンテナとその他細々としたものがあれば作れるようです。
汚染が起こらないように手早く作る必要はありますが、使用頻度が高ければまとめて作っておくことで手間は省けそうです。

 

こどもの嘔吐に対して五苓散は効果的だと考えていますが、味の面からこどもには使いにくいのが現状です。
また、嘔吐時にも使いやすい坐薬や注腸などを使用されている医療機関は限られています。

しかし、島根大学医学部附属病院でも五苓散坐薬の臨床評価の研究を行っていますし、需要はあると考えています。
エビデンスが集まって、五苓散坐薬が製剤化される日もいずれ来るのではないでしょうか。

 

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