ラピアクタの特徴・メリット・副作用【唯一の点滴インフルエンザ治療薬】

ラピアクタの特徴・メリット・副作用【唯一の点滴インフルエンザ治療薬】

2019年時点で、唯一の点滴用インフルエンザ治療薬ラピアクタについての紹介です。

薬局で扱うことはない薬ですが、既存のその他の治療薬と比較した際のメリットや、副作用などの注意点についてまとめていきます。

ラピアクタの特徴とメリット

ラピアクタの最大の特徴は「唯一の点滴用抗インフルエンザ薬」という点です。

ラピアクタには以下の2種類があります。

  • ラピアクタ点滴静注液バッグ 300 mg
  • ラピアクタ点滴静注液バイアル 150 mg

 

他のインフルエンザ治療薬を使用した場合には「吸入薬が上手く吸えない」、「粉が飲めない」、「飲んだけとすぐに吐いてしまった」など、投薬後の対応に困ってしまう例が稀にあります。

ラピアクタは点滴で投与するため、確実に血中に移行し効果を発揮するという点は大きなメリットだと言えます。

また、体調が悪かったり、吐き気があって薬を飲むのが困難な場合にも使いやすいです。

 

メリットばかりではなく、デメリットにも目を向けてみましょう。

ラピアクタは点滴なので痛みを伴います。

飲み薬や吸入薬が使える状態なのであれば、痛い思いをさせてまでラピアクタを使う必要性があるのかは考えなければいけません。

 

また、ラピアクタは15分以上かけて静注しますので、最低でも15分は安静にしている必要があります。

病院には多くの感染症患者さんがいますので、病院に長時間いることで別の感染症にかかるリスクもあります(病院によっては隔離します)。

 

「点滴だからとても効果がある」わけでも、「すぐに感染しなくなる」わけでもありません。

ラピアクタはインフルエンザ治療薬として有名なタミフル(オセルタミビル)と比較して、症状改善までの時間が同等との報告があります(対象:発症から48時間以内の健康な20歳以上のインフルエンザAまたはB患者)。
参考:Phase III randomized, double-blind study comparing single-dose intravenous peramivir with oral oseltamivir in patients with seasonal influenza virus infection.

また、解熱までの時間は、偽薬(プラセボ)と比較して1日弱短くなりそうです。
参考:Efficacy and safety of intravenous peramivir for treatment of seasonal influenza virus infection.

ラピアクタの副作用と注意事項

ラピアクタのインタビューフォームの副作用についての項目には以下のように記載があります。

<成人>
承認時における安全性評価対象例 968 例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は 239 例(24.7%)に認められた。
主なものは,下痢 56 例(5.8%),好中球減少 27 例(2.8%),蛋白尿 24 例(2.5%)であった。
<小児>
承認時における安全性評価対象例 117 例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は 34 例(29.1%)に認められた。
主なものは,下痢 12 例(10.3%),好中球減少 11 例(9.4%),嘔吐 6 例(5.1%)であった。

実感することの多い副作用としては、下痢や嘔吐などの消化器症状が多そうです。

 

頻度はさらに低いですが、重大な副作用として以下の記載があります。

重大な副作用
ショック,アナフィラキシー(頻度不明)
白血球減少,好中球減少(1 ~ 5%未満)
肝機能障害,黄疸(頻度不明)
急性腎不全(頻度不明)

 

肝機能障害については、日本国内でもいくつか報告が集まっています。

その中には、ラピアクタを投与した次の日に肝機能検査値が大きく上がっていたり、黄疸が出た例もあったようです。

黄疸が出た場合には、ラピアクタの副作用を疑って受診するようにしましょう。

お子さんをしっかり見てあげることも大切ですが、インフルエンザで発熱がある場合には、抗インフルエンザ薬の使用の有無に限らず、最低2日間は目を離さないようにしましょう(なかなか大変だとは思いますが)。

ラピアクタについてのまとめ

  • 痛みは伴うが確実
  • 点滴だから「早く良く効く」わけではない
  • 飲み薬や吸入が可能ならあえて選ぶ理由は少なそう

そもそもインフルエンザに治療薬の必要性は高くないですし、個人的には基礎疾患の無い低リスクな成人は受診する必要すらないと考えています。

残念ながら「会社や学校などのルール上受診せざるを得ない理由」により受診するケースもまだまだあります。

 

ただし、子どもは重症化しやすいですし、他の病気の可能性も考えて、受診をしたほうがよいケースも多いと考えています。

その時にラピアクタを投与されることがあれば、自宅に帰ってからも、下痢や嘔吐などの消化器症状や黄疸などには気を付けていただければと思います。

 

その他のインフルエンザ治療薬について、以下の記事で簡単にまとめています。

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