ロキソニンテープ・モーラステープは子どもに使える?【光線過敏症|アスピリン喘息】

ロキソニンテープ・モーラステープは子どもに使える?【光線過敏症|アスピリン喘息】

子どもに使える湿布ってなんだろうと、薬局で話題に上がりました。

添付文書を参考にすると、「子どもへの安全性が確立されていない」と書かれている湿布ばかりです。

しかし実際は、色々な湿布が子どもに使われています。

 

痛み止めの湿布のほとんどは、同成分の飲み薬と比較すると血中へ移行する量がとても少ないため、貼った場所以外に副作用が出る可能性は低いです。

皆が納得できる結論は無いように思いますが、自分なりの考えを書いてみようと思います。

添付文書上子どもへの使えるのはMS冷シップとMS温シップ

私の調べた範囲では、添付文書上「こどもへの安全性が確立していない」と記載されていない、鎮痛目的の湿布薬はMS冷シップとMS温シップだけでした。

 

どちらも消炎鎮痛成分として「サリチル酸メチル」を使用しています。

子どもへの使用に関しては、「乳幼児には刺激が強すぎることがあるので慎重に使用すること。」と記載があるのみで、他の湿布のように「安全性が確立されていない」などの記載はありません。

 

MS冷シップとMS温シップは、市販薬のサロンパスのようなものだと考えてもらうとイメージが付きやすいと思います。

市販のサロンパス、サロンパスAeについても、子どもへの使用制限は特にありません。

サロンパスシリーズには多くの種類があります。
「サロンパスEX」などの年齢制限がある湿布もあるので、混同しないようにご注意ください!

話はそれますが…

市販薬は「パブロンシリーズ」、「バファリンシリーズ」などブランド化されているものが多いですが、同じシリーズでも中身は全く違う薬というのも珍しくありません。
薬局で、「パブロン」と一緒に飲んでもいいですか?と聞かれても答えるのは難しい場合もあります。
「パブロンSゴールド」と一緒に飲んでいいですか?などと、今飲んでいる薬の正確な商品名で聞いていただけると助かります。

 

その他の湿布に関しては、(添付文書上は)安全性が確立していないと言えます。

とはいえ、現実を見てみると、子どもにも色々な湿布が使われています。

その中で代表的な2種類の湿布を比較してきます。

ロキソニンテープ・モーラステープは子どもに使われている印象

私が調剤する限りでは、処方頻度が高いのはロキソニンテープやモーラステープ、及びそのシリーズです。

共通の注意点【アスピリン喘息に禁忌】

ロキソニンテープとモーラステープの共通の問題点として、添付文書上はどちらも子どもへの安全性が確立されていないと記載されています。

とはいえ、「子どもには絶対に使用してはいけないわけでもない」のがややこしいところ。

 

また、どちらもアスピリン喘息の方には禁忌となっています。

アスピリン喘息とは

「アスピリン」や類似の薬によっておこる喘息発作のことです。
類似の成分が入っていれば、飲み薬だけでなく、湿布、塗り薬、目薬などでも悪化することがあります。

 

海外では日本ほど湿布が使われず、飲み薬で対処することが多いようです。

(一部を除いて)湿布は全身性の副作用がほとんどないので、飲み薬を継続するよりは安全に使えることが多いと思います。

例えば、モーラステープは同成分の飲み薬と比較すると、最高血中濃度は10分の1以下になるとインタビューフォームに記載があります。

モーラステープの注意点【光線過敏症】

モーラステープ

モーラステープは湿布の中では知名度NO.1の湿布だと思います。

モーラステープしか使いたくないと言われるモーラスフリークの方もおられるほどです。

しかし、モーラステープを使用する際には「光線過敏症」に注意する必要があります。

 

光線過敏症については以下の記事でまとめますが、貼っている期間だけでなく、少なくとも剥がしてから4週間ほどは患部を直射日光にあてないようにする必要があります。

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光線過敏症への注意喚起【モーラステープ・日焼け止め・香料|飲み薬でも起こります】

 

小さいお子さんは外で活発に遊ぶことが多く汗もたくさん出るので、日焼け止めの持続時間も短くなりそうです。

直射日光に当ててはダメだと言われてもなかなか難しいですよね。

光線過敏症になる可能性がある湿布は、可能であれば避けたほうが無難だと考えています。

 

モーラステープと同一成分の貼り薬はいくつかの国で発売されていますが、「12歳未満は使用しないこと」となっていることが多いです。

ロキソニンテープは副作用が少ない【日光も大丈夫そう】

ロキソニンテープ

光線過敏症の報告はモーラステープ以外にも報告がある湿布がありますが、ロキソニンテープに関しては今のところ報告はありません。

また、分母は少ないですが、子どもへの使用による副作用は少なそうです。

ロキソニンパップ 100mg 及びロキソニンテープ 50mg・100mg の製造販売後調査において、小児等への使用は 79 例あったが、副作用は認められなかった。
引用:ロキソニンテープインタビューフォーム

 

モーラステープと比較すれば、ロキソニンテープのほうが使いやすいとは思います。

ちなみに、海外での使用状況ですが、ロキソニンテープは日本と中国でしか使われていません。

子どもに湿布以外の選択肢はないの?

子どもにも使いやすい痛み止めとしては、アセトアミノフェンとイブプロフェンがありますが、どちらも湿布はありません。

一方で、モーラステープやロキソニンテープの成分は、子どもに飲み薬として使われることはあまりありません。

 

小さいお子さんだと、活発に動いたり自分で剥がしたりしてしまうことも多いでしょうから、湿布よりも痛み止めの塗り薬のほうが使いやすいかもしれません。

スチックゼノールA、インテバン外用液・クリーム・軟膏あたりなら、添付文書上の注意点が少なく、子どもへの使用はしやすいと思います。

子どもに使える湿布について【まとめ】

子どもに使える基準というのも、あまりはっきりとしたものがあるとは言えません。

すでに発売済みの飲み薬に合わせたり、類似の薬に合わせる場合などもあります。

そのため、本当は安全に使えるだろうと考えられていても、処方しにくい薬もあります。

 

とはいえ、実際には子どもにモーラステープやロキソニンテープを処方されることは珍しくありません。

モーラステープを使う場合は、光線過敏症には気をつけるようにしてください。

自己判断で処方された人以外に違う、指示された場所以外に湿布を使うのは絶対にやめるようにお願いします。