子どもの調子が悪いから病院へ行って薬をもらったけど、全然薬を飲んでくれなかったという経験はありませんか?
「薬を飲んで早く楽になって欲しいのに…」そう思っても、子どもがすんなり薬を飲んでくれるとは限りません。
私は薬をお渡しするときに、味や飲ませ方についてできるだけ伝えるようにはしています。
しかし、家に帰って飲ませてみると【全然飲んでくれない】ということはたまに起きており、電話で飲ませ方の相談をされることもあります。
お子さんによって味の感じ方も違いますし、好き嫌いもあります。
全員に対応できる飲ませ方は無いと思っていますが、子どもが薬を飲んでくれなくて途方に暮れてしまう保護者の方を少しでも減らしたいと思っています。
少しでも参考になるかと考え、粉薬と飲み物などの味の相性をまとめました。
粉薬と飲み物などの相性一覧表【混ぜていい?】
○:飲みやすい~普通
△:飲みにくくなる
×:明らかに飲みにくくなる
-:未確認
効果↓:効果が下がる可能性がある組み合わせなので、避けた方が無難
味見の条件(ヨーグルトの種類など)も統一は出来ていません。
粉薬の味や苦味などの特徴一覧表【飲みあわせの注意も】
注1)酸性のもの:ヨーグルト・炭酸飲料・果汁ジュース・スポーツドリンク、カルボシステイン(ムコダイン)など
注2)カルシウム・鉄分・マグネシウム・アルミニウム・亜鉛が薬の吸収を落とす原因になる。子どもで多そうなのは、牛乳・乳製品(ヨーグルト・チーズなど)・鉄剤・便秘薬(酸化マグネシウム)など。
粉薬を飲みにくくする要因
粉薬を飲みにくくする要因についていくつか挙げます。
これらを気を付けると、多少飲みやすくなるかもしれません。
カルボシステインは混ぜた薬の味を変えることがある
表にも記載があるように、カルボシステイン(ムコダイン)は酸性なので、他の薬のコーティングを剥がして苦くしてしまうことがあります。
そしてカルボシステインは、小児科領域ではかなり使用頻度の高い薬の上、ジェネリックでは別名がいくつもあります。
抗生物質などの苦味をマスキングしている薬とは同時には飲まないようにしたほうが良いでしょう。
そのような場合は、医師・薬剤師から話があると思いますのでご安心ください。
カルボシステイン(商品名:ムコダインなど)は、子どもから大人まで幅広く使われるお薬です。 かぜを引いた時、咳が続く時、ちくのう症や中耳炎の治療など幅広く使われます。市販のかぜ薬や咳止めにも入っている場合もあ[…]
開封後時間が経つと味や匂いが変わる薬
粉薬の中には、開封後時間が経つと、甘みのコーティングが剥がれて苦味が全面に出てきたり、匂いが悪くなるものがあると感じています。
特に抗生物質にはそのような変化が見られる薬が多い印象です。
私自身が実感出来ているものとして、以下のようなものがあります。
湿気などによる影響もあると思いますので、自宅でも適切に管理しましょう。
その他に粉薬を飲みにくくさせないための注意事項
抗生物質やアレルギーの薬などの多くは、苦い薬の味を甘いコーティングでごまかしています。
コーティングがある薬を水に溶かして時間が経つと苦味が出てくることがあります。
薬を水に溶かす場合は、溶かしたら速やかに飲むようにしましょう。
おすすめ服薬補助食品は?
服薬補助食品としては「おくすり飲めたね」が有名ですし、実際かなり有効です。
ゼリー状なのでツルッと飲めるのはメリットですが、味をごまかす方法としてはもう一歩だと考えています。
個人的には「にがいのにがいのとんでいけ」をおすすめすることが多いです。
「にがいのにがいのとんでいけ」を十分な量使えば、抗生剤はもちろん、さらに苦いプレドニゾロン散などの苦味もしっかりコーティング出来ます。
苦い薬がどうしても飲めない場合には、検討してみてください。
先発とジェネリックどちらの味が飲みやすい?
薬の種類によって異なりますが、適切なジェネリックを選んでさえいれば、ジェネリックの方が飲みやすいことが多いと感じています。
ジェネリックの方が飲みやすい薬
今回の表に入っているもので、ジェネリックの方が飲みやすくなると私が感じた薬は以下の4種類です。
- 先発:ジスロマック細粒→ジェネリック:アジスロマイシン小児用細粒10%「タカタ」
- 先発:アレジオンドライシロップ→ジェネリック:エピナスチンDS1%「サワイ」
- 先発:オノンドライシロップ→ジェネリック:プランルカストDS10%「タカタ」
- 先発:クラリス(クラリシッド)ドライシロップ→ジェネリック:クラリスロマイシンDS10%「トーワ」、「タカタ」
先発品の方が飲みやすい薬
今回の表に入っているものの中で、先発品の方が飲みやすいと私が感じた薬は以下の1種類です。
- ジェネリック:フェキソフェナジンDS5%「トーワ」→先発:アレグラDS5%
1つの先発品に対して5種類以上のジェネリック医薬品があることが多いです。
A社のジェネリックは先発より美味しくないけど、B社のジェネリックは先発よりも美味しいということもあります。
ジェネリックメーカーの企業努力の結果ではありますが、美味しいものだけ選んでいけば、ジェネリックの方が飲みやすいものが多くなるのは当然のように感じます。
このように、私はジェネリックの方が味が良いことが多いと感じています。
「絶対にジェネリックは嫌だ!」という考え方は、お子さんの薬を飲みにくくする原因になっているかもしれません。
せめて、「飲ませやすくなるんだったらジェネリックでも良いです。」ぐらいに考えてもらえると嬉しいですね。
最後に
この表を上手く使って、子どもが薬を飲んでくれなくて途方に暮れてしまう保護者の方を少しでも減らすことが出来れば嬉しいです。
苦い薬の飲ませ方は、別の記事にて紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
苦い薬を子どもに飲んでもらうのはとても大変ですよね。苦い薬の代表例として、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの一部の抗生物質やステロイドの粉薬などがありますが、基本的に苦い薬は治療上の重要性がかなり高いです。出来るだけ[…]
子どもの薬の使い方全般についてはこちらの記事でまとめています。
皆さんが小児科に子どもを連れて行くのはどういう時ですか?熱がでた・鼻水や咳が出た・吐いた・下痢した・ブツブツが出た、など子どもの調子が良くない時が多いと思います。そういう時は早く帰って子どもを寝かせてあげたい気持ちもあり、結[…]