子どもの便秘治療薬として広く使われるようになってきた【モビコール】ですが、「飲みにくい」という声や、「いつまで飲み続ければ良いの?」と相談もあります。
モビコールはたしかに飲みやすい味とは言えません。
また、使用後速やかに便意が出る薬ではなく、継続する場合は中止のタイミングも明確ではありません。
そのため、「飲みにくい」・「飲んでも便が出ない」・「もうやめても良いかも」などの気持ちが生じてしまい、途中で離脱されていることもあります。
しかし、そもそも慢性便秘の治療には根気が必要ですし、モビコールには心配が必要なことが比較的少ないのも良い点だと感じます。
モビコールについて説明します。
本文中に記載のある「モビコール」は「モビコールLD」という名前に変わっています。
そしてモビコールLD2袋を一袋にまとめた「モビコールHD」も発売予定になっています。
モビコールは水に溶かして飲む便秘薬
モビコールは2歳以上の子どもの「慢性便秘症」に使える粉薬です。
モビコールLD一包あたり60mLの水分に溶かして飲んでください。
※モビコールHDなら一包あたり120mLです。
十分量の水分に溶かして飲むことは、モビコールの効果を十分に出すために必要なことです。
そもそも極端な水分不足は便秘の原因になることもあるため、普段から水分摂取をするようにしましょう。
モビコールを飲む時間に特に決まりはありませんが、医師の指示に従って出来る範囲で毎日同じぐらいの時間に飲むようにしておきましょう。
特に指示がなければ、朝でも夕でも寝る前でも、食前でも食後でも問題ありません。
モビコールは少ししょっぱくてまずい
モビコールを水に溶かして飲むと、苦みがあるわけではありませんが、少しだけ塩分を感じ、あまり美味しくありません。
子ども達からは「まずい」と言われることも時々あります。
個人的には、スポーツドリンクを5倍に薄めて甘みをなくしたような味、OS-1を薄めた味、涙のような味、などと表現したくなる味です。
※大人の場合は最大で1回4包(240mL)飲むことになりますが、これは辛いかも。。
対策をしなければ飲めない薬ではありません(水で毎日飲めているお子さんもいます)が、何か味の濃い飲み物に混ぜたほうが飲みやすいでしょう。
次に何に混ぜたら飲みやすいのか紹介します。
モビコールの飲み方:牛乳やジュースとの相性など
モビコールのしょっぱさを誤魔化すためにはどうしたら良いのか、自分で色々実践してみましたので紹介します。
※その後、メーカーから「モビコールと飲み物との相性データ」もいただけたので、そちらも紹介します。
モビコールと牛乳・ジュースなどの相性【飲み合わせ表】
モビコールの販売当初は、りんごジュースに溶かすと飲みやすいという情報がありました。
実際にりんごジュースで溶かしてみると、意識しないとモビコールの存在に気付かない程度にはなりました。
少なくとも、水に溶かすよりはよっぽど飲みやすいです。
個人的にはスポーツドリンクに溶かしたほうがもっと相性が良いように感じます。
とはいえ、モビコールが初めて処方された時点では、まだジュースやスポーツドリンクを飲ませたことがないこともあります。
そのような時によく相談されるのが、「牛乳に溶かして飲んだらどうですか?」という質問です。
個人的には、「モビコール+水」よりは「モビコール+牛乳」のほうが飲みやすいです。
※とはいえ、オレンジジュースやスポーツドリンクのほうが明らかに飲みやすいです。
可能であれば習慣的に飲んでいる飲み物に混ぜて飲んだほうが良いでしょう。
※モビコールをジュースに溶かして飲ませるのであれば、必然的に毎日ジュースを飲ませることになります。
※2019年8月追記
モビコール+温かい飲み物:冷ましてからならOK
発売当初、モビコールは温かい飲み物とは混ぜないようにとメーカーに言われていました。
しかし、現在ではメーカーの資料に、30~40℃程度に冷ましてからなら混ぜてもよいと記載されるようになりました。
具体的には、ミルクココア・コーンスープ・みそ汁などの記載があります。
個人的に暖かい飲み物に溶かす場合に注意して欲しいことが二点あります。
- 40℃以下に冷ましてから混ぜること(熱いうちに溶かしてから冷ますは非推奨)
- 確実に全部飲み切れるものに混ぜること
我が家もそうでしたが、小さい子の場合、みそ汁やスープは全部飲めないということも多いですよね。
好きなジュースに混ぜることは、十分量をしっかり飲み切ってもらうという点でも効果的とも言えそうです。
沸騰直後に溶かして飲ませていたという相談をいただきました。
ものは試しということで、沸騰直後のお湯にモビコールを溶かしてみましたが、そのまま冷ましても凝固などの見た目上の変化は見られませんでした。
もし、沸騰直後の飲み物に溶かしてしまっていた場合であっても、大きな問題になることは少ないと思いますが、今後は冷ましてから溶かすようにしてください。
モビコールの効果発現時間は2~3日程度
モビコールは海外では20年以上前から使われていた成分で、日本でも発売するように日本小児栄養消化器肝臓学会から開発要望があったほど必要とされていました。
海外では2歳以上の子どもに使われ始めてからも15年以上経過しており、データも色々と十分にあると言っても良いでしょう。
※一方で、現在日本で子どもに多く使われている便秘薬は、海外での使用例が少ないものもあり、データが十分でないものも多いです。
モビコールは飲んですぐに便が出るような薬ではないので、「なかなか効果が出ない」と相談されることもあります。
以下の資料を基に、「2~3日続けたら出ることも多いです」とお答えしています。
モビコールの初回自発排便発現までの日数の中央値(Kaplan-Meier法による推定)は2.0日(95%信頼区間:2.0~3.0日)であった。
参考:モビコール®のClinical Study(小児)
複数の患者さんから「最初の数日はあまり効果が実感出来なかった。」という意見をもらいましたので、妥当な結果と言えそうです。
すぐに効果が出ないことと、味が飲みにくいこと(後述します)により、早めに飲み続けることを辞めてしまうことも考えられます。
薬剤師としては初回の指導の際にしっかり伝えて、途中で辞めないようにフォローしたい点です。
モビコールの副作用(下痢など)や注意点など
モビコールの副作用 下痢や腹痛など
有効成分のマクロゴール4000はほとんど体内に吸収されないので、全身性の副作用などのリスクは少ないでしょう。
子どもに対しての国内データでは、食欲減退、腹痛、下痢 の3事象が各2.6%発現となっています。
重篤な有害事象や、投与中止になるような副作用は出ていないようです。
大人のデータは少し異なっていますが、重篤な副作用が出やすい薬ではないと考えます。
相互作用
モビコールのインタビューフォームを確認すると、相互作用の項目に「該当しない」との記載があります。
他の薬に影響を与えないので、併用薬が追加になった際にも飲む時間を変えたりする必要がありません。
モビコールの比較対象としては酸化マグネシウム製剤が取り上げられると思いますが、こちらは実は色々と相互作用を気にしないといけないので、併用する薬の種類によっては飲む時間を調節するように伝えることがあります。
水分制限がある人は注意
モビコールの禁忌に該当する人は、そもそも処方されることはないので大丈夫だと思いますが、見逃されがちな点として、水分制限が必要な方には向かないことがあります。
透析などをしているケースは医師に伝えていないことはないと思いますが、夜尿症治療のミニリンメルト服用中の場合などは伝えにくいこともあるかもしれません。
最後に
子どもに使える便秘の薬の選択肢が増えるのは嬉しい限りです。
しかも今回は、以前から発売が待たれていた商品ですので尚更です。
我が家も含め便秘に悩む家族を数多く見てきましたので、少しでも悩みが減ることを願っております。
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様々な薬の相性などはこちらでまとめています。
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