子どもの慢性便秘は早めの対策がポイント【病院に行く基準や便秘薬まとめ】

  • 2018年10月9日
  • 2020年8月16日
  • 便秘
子どもの慢性便秘は早めの対策がポイント【病院に行く基準は?便秘薬も紹介】

子どもは便秘になりやすいと言われますが、慢性便秘になるとなかなか大変です。

うちの子も慢性便秘なので、大変さはとても良くわかります。

まったく便秘にならない子もいるそうですが、便秘持ちの子を持つ私としては親としては羨ましい限りです。

 

この記事は、便秘持ちの子どもを心配する親御さん向けの記事です。
便秘の基準や、治療薬などについて説明していきます。

まずは、便秘の基準から説明します。

慢性便秘の診断基準と注意すべきこと

便秘とは便が大腸に溜まりすぎること言います。

排便が週に3回以下、5日以上便が出ないなどが基準になります。

たまたま一回便秘になるぐらいは問題ないですが、便秘を何度も繰り返して慢性的な便秘になると問題になってきます。

 

小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインによると、子どもの慢性機能性便秘症の診断基準は以下のようになります。

4歳未満の子どもの慢性機能性便秘症の診断基準

4 歳未満の小児では,以下の項目の少なくとも 2 つが 1 か月以上あること
1.1 週間に 2 回以下の排便
2.トイレでの排便を習得した後,少なくとも週に 1 回の便失禁
3.過度の便の貯留の既往
4.痛みを伴う,あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
随伴症状として,易刺激性,食欲低下,早期満腹感などがある.大きな便の排便後,随伴症状はすぐに消失する.
乳児では,排便が週 2 回以下,あるいは硬くて痛みを伴う排便で,かつ診断基準の少なくとも 1 つがある場合,便秘だとみなされる.

4歳以上の子どもの慢性機能性便秘症の診断基準

発達年齢が少なくとも 4 歳以上の小児では,以下の項目の少なくとも 2 つ以上があり,過敏性腸症候群の基準を満たさないこと
1.1 週間に 2 回以下のトイレでの排便
2.少なくとも週に 1 回の便失禁
3.便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往
4.痛みを伴う,あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往
診断前,少なくとも 2 か月にわたり,週 1 回以上基準を満たす

参考:小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン

子どもは便秘を繰り返すうちに、腸が便意を感じにくくなっていき、便意に気づいた頃にはうんちが固くなってしまっているということがあります。

こうなってしまうと、子どもが頑張って排便しようとしても、便がなかなか出ないこともあります。

 

また、便が固くなると排便時に痛みを伴うことがあるので、便をするのを嫌がって便意を我慢するようになります。

そしてさらに便が固くなって、、、と悪循環になってしまいます。

 

うちの子も明らかに便意があるのに、「うんちない」と言って我慢していることがありました。
いざうんちをするときには、以下のように子どもの便秘の典型みたいな状況でした。
  • うんちが固くて大きい
  • 排便時に痛みがあり、出血を伴うので号泣
  • うんちをするのに30分以上かかる

 

このようになってしまうと、ちょっと薬を使っても、慢性的な便秘の改善にはつながりません。

大切なのは、これ以上悪化しないように早めに対処することです。

悪順化に入ってしまったら、早めに受診しましょう。

 

経験者として断言出来ますが、便秘を解消させようと考えて、トイレに無理やり行かせたりはしないようにしましょう。

それでトイレに行くことを嫌いになると、もう大変です。

慢性便秘の予防・対策【水分、食事、体勢など】

水分不足だと便が固くなりやすいとも言われているので、水分はしっかり飲ませるようにしましょう。

 

食事面では、食物繊維が少ない場合は意識的に取るようにしてください。

野菜・豆・きのこ・海藻などに多く含まれています。

ただし、頑固な便秘の場合には、食物繊維を摂り過ぎないほうが良いというデータもあります。

 

偏った食生活にならないようにすることが一番大切だと考えています。

野菜ジュースを飲んでいれば大丈夫、とは思わないようにしましょう。

 

うんちをする姿勢も大切で、和式便器で排便をする体勢が良いとされます。

自宅は洋式トイレが多いと思いますので、和式トイレのような体勢をとれるように足置き台などを用意してあげると良いでしょう。

踏み台にもなるので長く使えます。

慢性便秘で病院に行く基準は?

しっかり遊んで、しっかりバランスよく食べて、しっかり水分を摂って、しっかり寝ましょう。

それでも慢性的に便秘になるなら、受診も検討しましょう。

 

排便が週に3回以下または5日以上便が出ない状態が何度か続いたら受診しましょう。

受診しようか迷うようであれば、排便記録をつけておくと良いと思います。

いつ排便があったか、どういう便の形状だったか、痛がった、血が出たなどなど思いつくところは書いておきましょう。

 

慢性的な便秘の治療には時間がかかります。

適切に薬を使って、時間をかけて改善していきましょう。

焦って薬を中止したりすると、また同じ状態に戻ってしまうことも多いです。

子どもにも使える便秘薬について

日本において良く使われる便秘薬は以下のようなものです。

乳児期浸透圧性下剤 ラクツロース
酸化マグネシウム
マルツエキス
刺激性下剤ピコスルファートナトリウム
グリセリン
ビサコジル
幼児期浸透圧性下剤酸化マグネシウム
ラクツロース
水酸化マグネシウム
刺激性下剤ピコスルファートナトリウム
グリセリン
ビサコジル
その他大建中湯
モサプリドクエン酸塩
学童期
以降
浸透圧性下剤酸化マグネシウム
ラクツロース
水酸化マグネシウム
刺激性下剤ピコスルファートナトリウム
センノシド
グリセリン
ビサコジル
その他大建中湯
モサプリドクエン酸塩
ポリカルボフィルカルシウム

参考:小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン

適切に治療できていれば、子どもの便秘薬で特別クセになるようなものはないと考えて良いです。

むしろ、便秘がクセにならないようにしていくことを考えましょう。

 

一時的に薬を飲んで便秘が改善したからやめる→また便秘になる。という流れを頻繁に見かけます。

慢性便秘を無くすためには、年単位での治療が必要な場合もあります。

安易な中断はやめましょう。

 

飲み薬で治療する場合には、「便がやわらかくなりすぎたら調節してください」と説明されることもあると思います。

自己判断での調節は難しいですが、胃腸炎などの別の要因で下痢をしている場合を除けば、慢性便秘の初期は【完全にやめる】判斷はしないほうが良いと思います。

自己判断での調節の場合、初期の間は【同じ量で継続するか、少しだけ減らすか】を判断するようにしましょう。

 

具体的には、1日3回飲む薬を続けることで下痢になるようなら1日2回にする。

それでもやわらかいようなら1日1回⇒2日に1回というように、少しづつ減らしていければ理想的です。

もちろんひどい下痢が続くようなら一度中止しても良いと思います。

 

2018年に慢性便秘の新薬【モビコール】が発売になっています。

モビコールは海外では以前から良く使われており、根拠も多い薬です。

少し飲みにくいという点を除けば、かなり良い薬だと考えています。

 

医師・薬剤師に指示された以上の量を飲むことは絶対にやめてください。

心配があれば病院・薬局に相談してください。

子どもの慢性便秘と便秘薬まとめ

  • 排便が週に3回以下または5日以上便が出ない状態が何度か続いたら受診しましょう。
  • トイレの強制は逆効果になることもあります。
  • 水分摂取とバランスのいい食生活を心がけましょう。
  • 治療薬がクセになることよりも慢性便秘になることを心配しましょう。
  • 良くなったからといって急に薬をやめるとまた便秘になります。長い目で治療しましょう。

 

うちの子も便秘で大変でしたが、現在ではかなり改善しています。

便秘で辛い状況はほとんどなくなっており、親としてもかなり不安が少ないです。

慢性便秘は焦らずゆっくり治療を続けましょう。

 

便秘薬の紹介