子どもにも処方されることのあるデキストロメトルファン(医療用ではメジコン配合シロップなど)について紹介します。
一般用医薬品として、子どもの風邪薬や咳止めにも入っている成分ではありますが、子どもの風邪に効果的という根拠があるとも言えず、個人的にはあまり推奨していません。
デキストロメトルファン(メジコンなど)について
デキストロメトルファンは咳止めとして使われている薬で、大人に処方されることも珍しくありません。
日経メディカルの医師会員を対象にした咳止めで処方頻度が高いもののアンケート結果では一位になっています。
医療用には「メジコン」などがあり、錠剤・散剤・シロップ剤などが発売されている他、大人に限らず子ども用の一般用医薬品にも使われています。
医療用医薬品で子どもに適応があるのは「メジコン配合シロップ」のみで、デキストロメトルファンに加えて「クレゾールスルホン酸カリウム」という成分も入っています。
メジコン配合シロップのインタビューフォームによると「ウサギを用いた試験によれば気道の分泌を促進し,粘稠な喀痰を液化して去痰作用を示す」そうです。
「クレゾール」ですが消毒薬ではありませんし、喉の消毒効果もないでしょう。
メジコン配合シロップは甘みもありますが苦味も目立つ味で、飲みやすいとは言えません。
デキストロメトルファンは、適切に使っている限りは副作用頻度が高いわけではありません。
日本でも12歳未満への使用が禁止になった「コデイン」と比べれば安全性は高いと言えます。
厚労省から"コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)"が発表されてから、しばらく時間が経ちましたので、注意喚起のために再度取り上げることにしました。 […]
子どもにメジコン(デキストロメトルファン)をおすすめしにくい理由
メジコン(デキストロメトルファン)を大人に使用することにそこまで問題があるとは考えていませんが、子どもへの使用には慎重になるべきだと考えています。
その理由として、以下の3点に分けて説明します。
- アメリカ小児科学会では幼児への咳止めの使用は推奨されていない
- デキストロメトルファンとハチミツの咳止め効果は変わらない
- 過量投与によるリスク
幼児への咳止めの使用はそもそも推奨されていない
アメリカ小児科学会は、咳止めや風邪薬の幼児への使用を推奨していません。
ほとんど効果がなく、むしろ副作用を注意すべきだとされています。
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一般用医薬品にも子どもの咳止めは多いですし、実際に処方されていることもありますが、通常の風邪などの場合に使う理由は少ないでしょう。
咳は異物を出すための体の反射でもあるので、咳を抑えることが絶対的に良いというわけはありません。
もちろん、咳が酷くて夜も寝れないなどの場合、何かしらの対処はしてあげたいところではあります。
咳止め効果はハチミツと変わらない
「咳にはハチミツが効果的」なのは、最近は良く目にするようになりました。
そして、デキストロメトルファンの効果が、そこまで期待できないのも事実です。
しかし、咳止めとして使われている医薬品とハチミツの咳止めとしての効果に差がないというのは、なかなか衝撃的に感じてしまいますよね。
参考:Honey for acute cough in children.
なお、ハチミツは1歳未満には絶対に与えないようにお願いします。
1歳未満に限っては、デキストロメトルファンよりもハチミツのほうが危険性が高いかもしれません。
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過量投与のリスク【幻覚などがあり乱用が問題になることも】
前述したように、適切に使っていればデキストロメトルファンの安全性は比較的高いと言えます。
メジコン配合シロップの副作用の項目を確認しても、476例中の副作用は5例のみで、消化器症状(下痢など)がほとんどです。
※眠気の副作用も知られており、自動車の運転等には注意が必要です。
しかし、デキストロメトルファンの過量投与により、幻覚などの症状が現れることがあり、乱用が問題になることもあります。
そのため、使用や販売が制限されている国や地域もあります。
どんな薬であっても過量投与には注意する必要があります。
小さい子どもでも使える市販薬にも含まれている成分の中では、デキストロメトルファンは特に注意が必要な成分の一つだと考えています。
薬は子どもの手の届かない所にしっかりと管理しておくようにお願いします。
※ちなみに、デキストロメトルファンは大人にも必要なケースは限られると考えています。