ロタテック・ロタリックスの比較とロタワクチンの必要性【2020年10月から無償化】

ロタテック・ロタリックスの比較とロタワクチンの必要性【2020年10月から無償化】

ロタウイルスによる感染症とワクチンの必要性、2種類あるワクチンの比較をしています。

ロタワクチンは任意接種で自己負担が発生するので、接種を迷うことがあるかもしれません。

 

また、2種類のワクチンを選べることもあるので、どちらを選ぶのか選択することがあるかもしれません(基本的には医師の推奨で良いと思います)。

そのような際の参考にしてください。

ロタワクチンの必要性

ロタウイルスは子どもの重症急性胃腸炎の原因となるウイルスで、世界的には何十万人という5歳未満の子どもがロタウイルスにより死亡していると報告されています。

途上国での死亡者が多く、日本ではあまり聞かないですが、軽視して良い病気(ウイルス)ではありません。

 

ロタワクチンは、ロタウイルス感染による重症な下痢症から入院や死亡を予防する目的で使われます。

つまり、ロタウイルスの感染そのものを予防するものではなく、重症化を予防することが目的です。

ロタワクチンは日本では「任意接種」となっていますが、無料で接種出来る国も少なくありません。

 

ロタウイルス自体はごくごくありふれたウイルスなので、5歳までに95%の子どもが感染すると言われています(発症や重症化ではありません)。

 

ロタワクチンは2種類ありますが、日本での臨床試験の結果を見ると、ロタウイルス胃腸炎の予防効果は7割以上、重症化の予防効果は9割を超えています。

ワクチンの摂取においては、副反応とのバランスも考える必要があります。

副反応について

薬を使用した後の有害事象は副作用、ワクチンの場合は副反応と言います。

有害事象には、因果関係があるかどうかがわからないものも含んでいます。

感染症になっていたけど、ワクチン接種時には無症状で、ワクチン接種後に症状が出てくることもありますので、全てが「ワクチンと因果関係がある副反応」とは言えません。

注射した部位の発赤などは、因果関係のある副反応の可能性がかなり高いでしょう。

 

ロタワクチンによる副反応としては、ぐずる、下痢、鼻水、腹痛などが挙げられます。

重大な副反応としては、かなり低い可能性ではありますが、「腸重積」に注意する必要があります。

腸重積とは

回腸が大腸に入り込んで、腸が重なり合うことで起こる緊急性の高い病気です。

ぐったりする、顔面が青白くなる、便に血が混じる、などの症状から始まり、腸の壊死につながるので、速やかに受診する必要があります。

ロタワクチンの接種に関わらず、0歳児は腸重積になりやすいです。

 

ワクチン接種後に腸重積を思わせる症状や、嘔吐を繰り返す場合などには、医療機関に受診するようにしてください。

ロタワクチンは腸重積が起こりにくい月齢(年齢)での接種が推奨されています。

一回目は生後2か月が推奨されることが多いでしょう。

ロタワクチンの比較【ロタテックとロタリックス】

日本において摂取できるロタワクチンには「ロタテック」と「ロタリックス」の2種類あります。

表でざっと比較すると以下の通り。

 ロタワクチンの種類ロタテックロタリックス
摂取回数3回2回
一回量2mL1.5mL
抗体価5価1価
ロタウィルス胃腸炎予防効果79%75%
重篤なロタウィルス胃腸炎予防効果92%100%

※胃腸炎の予防効果は国内臨床試験の結果

 

どちらも1回摂取したら、4週間は間隔を空ける必要があります。

ロタリックスは1価、ロタテックは5価のワクチンという点に大きな差があるように見えます。

しかし、ロタリックスは最も多い種類の株で、交差反応で他の株にもある程度の効果があるとされており、実際の効果の差は大きくありません。

ロタワクチンで1型糖尿病が減ったという報告【参考】

ロタワクチンを使う理由は、ロタウイルスによる感染症の重篤化を防ぐためであることは間違いないですが、1型糖尿病の発症頻度を減らす可能性が示唆されています。

参考:Lower Incidence Rate of Type 1 Diabetes after Receipt of the Rotavirus Vaccine in the United States, 2001–2017

 

ミシガン大学の研究グループが、全米規模の医療保険データベースを用いて、ロタワクチンの接種状況とその後の1型糖尿病の発症率を検討しました。

主なポイントは以下の2つ。

  1. ロタワクチンを規定回数接種することで、1型糖尿病の発症リスクが33%減る可能性があること。
  2. 5価ワクチン(ロタテック)のほうが、1価ワクチン(ロタリックス)よりも、わずかに1型糖尿病の発症リスクが減る可能性があること。

 

オーストラリアでも同様に、ロタワクチン接種による1型糖尿病発症リスクの低下が報告されているようです。

「1型糖尿病予防にロタワクチンを打ちましょう」などという気はありませんが、一人でも多く接種してもらえたらうれしいと思います。

ロタテックとロタリックスどっちが良いか【2020年10月から無償化】

ロタテック、ロタリックスはどちらもさほど差がないと考えています。

あえて選ぶならごくわずかな差ですが、ロタテックのほうが良いと考えています。

 

ロタリックスの方が摂取回数が1回少なく済み、1回摂取量もわずかに少ないのはメリットです。

 

対して、ロタテックのメリットは、5価のワクチンということもあり、わずかに良いデータが出ていることです。

ロタテックのほうが摂取回数は多いですが、他の予防接種と同時接種などをすることで、受診回数には差が出ないと思います。

ワクチンの同時接種について

ワクチンの同時接種に関して、否定的な意見を目にすることがありますが、世界的には同時接種は珍しくありません。欧米では生後2~3か月で6種類以上のワクチンを同時接種します。

同時接種が多い欧米でも同時接種のメリットを上回る「明確なデメリット」は報告されていません。

 

ロタテックとロタリックスどちらを選んでも、自己負担の金額はそこまで変わらないと思います。

※2019年10月追記

2020年10月からロタワクチンの無償化が決まりました。

同年8月生まれ以降のお子さんが対象です。

 

ちなみに、うちの子はロタリックスでした。

ロタリックス1択でしたし、そこまでロタテックにこだわる理由もありませんからね。

口に入れられたのを嫌がり、一部吐き出しましたが、医師曰く「まあ大丈夫だと思う」とのことでした。

 

どちらを選ぶのかは小児科医との話し合いで決めましょう。

ロタワクチンは任意摂取ではありますが、接種すべきワクチンだと考えています。