フィコンパ細粒の特徴・飲み方・眠気などの副作用について【1日1回寝る前服用】

フィコンパ細粒の特徴・飲み方・眠気などの副作用について【1日1回寝る前服用】

てんかんの治療薬のフィコンパは、新たに適応が追加になり、子どもにも使いやすい「フィコンパ細粒」が承認されることになりました。

※2020年4月22日薬価収載予定です。

今後子どもに使われる例も増えそうなので、フィコンパについて気になる点をまとめました。

フィコンパの特徴【1日1回寝る前】

フィコンパ(ペランパネル水和物)は日本で創薬された、AMPA型グルタミン酸受容体に対する非競合的な拮抗薬です。

販売会社のエーザイによると、すでに世界で27万人以上に使用されているようです。

 

フィコンパには以下の種類があります。

  • フィコンパ錠2mg
  • フィコンパ錠4mg
  • フィコンパ細粒1%

 

錠剤は以前から使用されていましたが、細粒の剤形が追加になっています(※海外では経口懸濁液もあり)。

なお、細粒剤は、錠剤との生物学的同等性が確認されています。

 

また、フィコンパは適応も増えています。

  • てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
  • 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法

 

部分発作には単剤療法でも他のてんかん治療薬との併用療法でも、4歳以上から使えるようになりました。

強直間代発作には、12歳以上しか使えないのでご注意ください。

 

フィコンパの最大の特徴は、1日1回寝る前に服用で効果が続くことです。

1日数回飲む既存のてんかん治療薬の場合、1回飲み忘れただけでもてんかん発作が起こることもあります。

半減期が60時間以上と長く、1日1回の服用で血中濃度が安定するフィコンパは、てんかん発作を減らせる可能性があります。

 

反面、半減期が長いということは、副作用などが起きた場合や間違えて2回飲んでしまった場合の対処が難しいとも言えます。

フィコンパ細粒の飲み方【味は未確認です】

特徴の項目でも書いた通り、フィコンパは1日1回寝る前に服用する薬です。

フィコンパは服用後約1時間で最高血中濃度に達しますが、副作用としてめまいや眠気などが起こる可能性があります。

副作用リスクを減らすために、寝る前に服用するようにしましょう。

 

なお、摂食下の服用で、最高血中濃度が40%下がり、最高血中濃度到達時間は2時間遅延すると報告されています(AUCには変化なし)。

 

飲み忘れた場合は、翌日の就寝前に1回分を服用してください。

一度に2回分飲まないようにしましょう。

 

フィコンパ細粒は黄色の顆粒との情報です。

添加物にD-マンニトールが入っており、甘味が付いていると考えられます。

※詳細な味がわかり次第追記します。

 

飲む量は適応や年齢により異なるので、医師の指示に従ってください。

通常1日1回2mg(フィコンパ細粒なら0.2g)から開始し、少しづつ増やしていきます。

フィコンパの副作用【眠気やめまい、子どもは攻撃性が高い傾向】

フィコンパの副作用については以下のように報告されています。

本薬の臨床試験における安全性解析対象例 1129 例(日本人患者 390 例含む)のうち、794 例(70.3%)に副作用が認められました。主な副作用は、浮動性めまい 400 例(35.4%)、傾眠 224 例(19.8%)、易刺激性 77 例(6.8%)、疲労 45 例(4.0%)、体重増加 41 例(3.6%)、攻撃性 40 例(3.5%)であった。重大な副作用として易刺激性、攻撃性、不安、怒り、幻覚(幻視、幻聴等)、妄想、せん妄等の精神症状が指摘されている。
引用:フィコンパ添付文書

 

他のてんかん治療薬同様、浮動性めまいや傾眠の頻度が高いです。

しかし、フィコンパは1日1回寝る前に飲む薬なので、影響は限定的かもしれません。

それでも、他のてんかん治療薬同様、「本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う操作に従事させないよう注意すること。」の記載はありますのでご注意ください。

 

また、重大な副作用として「易刺激性、攻撃性、不安、怒り、幻覚(幻視、幻聴等)、妄想、せん妄等の精神症状」が挙げられています。

増量した場合や、間違えて過量服用した場合などに特に注意が必要だと考えられます。

これらの症状が起きた場合にどのように対応するのか、事前に処方医と話をしておくことが望まれます。

 

攻撃性などは子どものほうが起こりやすい可能性もあるので、特に注意が必要です。

国内臨床試験(231 試験、233 試験)及び日本人を含む国際共同試験(335 試験、332 試験)の併合集計において、小児では易刺激性、攻撃性・敵意等の精神症状の発現割合が高い傾向があり、特に攻撃性が高い結果が認められている。小児においては、これらの精神症状の発現について観察を十分に行い、注意する必要がある。
引用:フィコンパインタビューフォーム

 

自己判断での急な中止などは、てんかん発作の原因になりかねません。

中止・減量の場合も、医師に相談の上行うようにしてください。

フィコンパの併用注意薬【他のてんかん治療薬、CYP3A関連】

フィコンパには併用禁忌薬とされている薬はありませんが、併用注意の薬はあります。

併用注意

カルバマゼピン、フェニトイン、CYP3A誘導作用を有する薬剤等(リファンピシン、フェノバルビタールセイヨウオトギリソウ含有食品等)、CYP3A阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール等)、経口避妊薬(レボノルゲストレル)、アルコール(飲酒)

 

フィコンパは他のてんかん治療薬と併用することもありますが、その場合にも血中濃度の変化に注意が必要です。

中でも、カルバマゼピン、フェニトインはペランパネルの血中濃度をそれぞれ66%、49%低下と影響が大きいです。

 

その他に気になる部分だけいくつか挙げます。

  • フェノバルビタール、トピラマートのペランパネルの血中濃度への影響は18%低下。
  • クロバザム、クロナゼパム、レベチラセタムラモトリギンバルプロ酸及びゾニサミドの影響は認められず。
  • ケトコナゾールとの併用で、AUC20%増加及び半減期の15%延長が見られたが、最高血中濃度と最高血中濃度到達時間には明らかな違いは見られず。

 

子どもが使用する機会の多いCYP3A阻害薬としてクラリスロマイシンがありますが、クラリスロマイシンのCYP3A阻害効果はケトコナゾールよりも弱いとされています。

 

そのため、クラリスロマイシンと併用する場合にAUCの増加や半減期の延長は考えられますが、ケトコナゾールほどの影響は出ないのではないかと思われます。

 

フィコンパには他のてんかん治療薬には無い特徴もあり、人によっては多剤よりも有効に使える可能性があります。

反面、注意すべき点もあるので、しっかりと説明を聞いた上で使ってもらいたいと思います。

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