苦い薬を子どもに飲んでもらうのはとても大変ですよね。
苦い薬の代表例として、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの一部の抗生物質やステロイドの粉薬などがありますが、基本的に苦い薬は治療上の重要性がかなり高いです。
出来るだけ苦くない薬を選択したいとは医師も考えていると思いますが、子どもの事を考えた結果、その苦い薬が最も適切な薬だから出ているはずです。
薬局では子どもの年齢や現在の薬の飲み方を確認しながら、飲めそうだと考える方法を指導して薬をお渡ししています。
子どもが上手く苦い薬を飲めるように、苦い薬の飲ませ方をまとめていきます。
苦い薬と説明されたらかなり苦い!無理やり飲ませるのはNG
あえて「苦い薬」と説明されている場合、
ぜっったいに苦いです。
とはいえ、苦味の感じ方はひとりひとり違いますよね。
私でも飲みたくないと思うような苦い薬を平気な顔で飲む子も当然います。
私の経験上、今まで薬を嫌がらずに飲めていた子のほうが、苦い薬で挫折することが多いです。
医薬品メーカーが味を改善してきた結果、子どもの粉薬には結構おいしいものが多いです。
「うちの子は粉薬をなんでも嫌がらずに飲みます」と言われた場合、「実際には苦い薬を飲んだことが無いだけ」ということがとても多いです。
そして今まで通りの感覚で苦い粉薬を飲ませたら…どうなるか想像できますよね?
薬を吐いて、大泣きして、「もう薬は飲まない」、で詰みます。。
小さい子の場合、苦い薬を一度飲んだことで「薬は苦いもの」と考えるようになり、すべての薬を拒否するようになることもあります。
こうなるともうお手上げ状態なので、そうならないように注意していただきたいと考えています。
もともと薬が苦手なら、保護者の方も「どうやって飲ませたら飲みやすいですか?」と対応策を考えることも多いです。
その結果、うまく飲めることもあります。
もちろん苦い薬でも普通に飲めることもありますが、一番困ってしまうのは、【一度苦くて薬を飲むのを拒否した場合】です。
その場合、薬を飲むのを完全に拒否してしまうこともあり、そうなると大変です。
親は何としても飲ませたいから、無理やり気味に飲まそうするけど、子どもは泣き叫んで飲まない。
そして親がイライラして怒ってしまい、さらに子どもが泣き叫ぶという悪循環になります。
泣き叫んでいる時に無理やり口に薬を入れても、嘔吐したりと良いことは無いですからね。
子どもの苦い薬の飲み方は初回が最大のポイント!
一度苦いことを理解すると、次から積極的に飲んでくれる子どもなんていませんよね。
飲む必要性を説明しても理解してくれるのは、それなりに大きくなってからでないと難しいです。
じゃあどうすればいいのか。
初回に苦い薬を飲ませて拒否してしまって、すぐに何か他の方法を考えたとしても、嫌がってなかなか飲んではくれません。
苦い薬がそのまま飲めるかどうかは2回目以降でも試せます。
その際には、噓も方便ということで、前回と同じ薬ではないと伝えて飲ませるようにしましょう。
2回目にそのままで飲めなかったら前回と同じ飲ませ方で、「この前の美味しいお薬だよ」と言って飲ませてあげましょう。
これなら割と成功率が高いです。
苦い薬の苦味をごまかして飲む方法
味覚は舌で感じるので、舌に当たらないようにしてあげれば苦味をごまかせる可能性があります。
とはいえ、苦味を感じるのは舌の奥側ですので、苦味をまったく感じさせないのは至難の技です。
- ほっぺの側面にゆるい団子状にして付ける
- 水などに溶かした(混ぜた)ものをスポイトでほっぺの内側の側面の奥側に落とす
などが基本的な説明方法になると思いますが、それでも結構苦味を感じて嫌がります。
個人的には、初回から何かに混ぜてあげることをおすすめします。
じゃあ何と混ぜたら飲みやすいのか、ということを考えていきましょう。
苦い薬の苦味をごまかすには何を混ぜれば良い?
苦味をごまかす(マスキングする)には、甘み、食感、油分、場合により軽い苦味や匂い、などがポイントです。
甘み:甘い方が良いですが、たまに苦手な子もいます。
食感:ツルッと飲めるようなゼリーとか、粉があるのを隠せるようにドロっとしたクリーム系のものがおすすめ。
油分:適度な油分があるとごまかしやすいでしょう。
軽い苦味:プリンのカラメルなどは、別の苦味をごまかすのに使えます。
匂い:匂いが嫌な場合には、匂いをごまかすと飲みやすくなります。
※必ずしもすべてを満たしている必要はありません。
苦い薬の苦味をごまかすのに提案されるもの
苦い薬を飲むために提案されることが多いものをいくつか羅列します。
- 服薬ゼリー(おくすり飲めたね、にがいのにがいのとんでいけ)
- 濃い目のバニラアイスやチョコアイス(よくハーゲンダッツの名前が出ます)
- チョコペーストやピーナッツクリーム
ジュースやヨーグルトは相性の良し悪しが分かれますが、苦い薬には向いていないことも多いです。
服薬ゼリーが逆効果になる薬もあります。
クラリスロマイシンなど一部の薬は酸味があるものと混ぜると表面のコーティングが剥がれて苦味が前面に出てきます。
服薬ゼリーの多くはフルーツ系の味がつけられてますので、そういう薬には合いません。
チョコ系の味の補助商品を選択してください。
「おくすり飲めたね」のチョコ味でも良いですが、「にがいのにがいのとんでいけ」がおすすめです。
しかし、「チョコはまだ食べさせていない」と、親御さんに受け入れてもらえないこともあります。
食品アレルギーはとても怖いので、初めてあげるものに対して慎重になる気持ちはわかります。
それ以外のもので飲ませたい場合は、こちらも参考にしてみてください。
様々な薬の飲み物との相性などは以下の記事でまとめています。薬と飲み物などの相性一覧表とその他の注意事項
苦い薬のごまかし方:乳児の場合は簡単だったり、難しかったりします。
乳児は苦味を感じにくいこともあるので、苦い薬でもさらっと飲めることもあります。
一方で、どうしても嫌がる場合にも、まだ離乳食も進んでいないので試せる食材や服薬補助用品が少ないことが問題になります。
離乳食の初期段階で食べ始めてる可能性が高いものとして、ヨーグルトや果汁(一歳未満にあえて勧めるものではありません)があると思います。
ヨーグルトや果汁は酸味があるので、苦い薬とは相性が悪いことが多いです。
また、薬を離乳食に混ぜることもおすすめ出来ません。
「離乳食=まずいもの」と感じてしまうと、離乳食をあまり食べなくなるかもしれません。
薬の種類によっては離乳食に混ぜても問題なさそうな薬もありますけどね。
赤ちゃんに対しては、離乳食の進み具合でおすすめできるものが変わります
おすすめのものをどれも使えないのであれば、あとはその子に使えるすべての食材の中から、どのようにごまかしてあげるかです。
保護者の方にしか把握できていない部分なので、とても大切な情報です。
薬局で説明する場合は、その少ない選択肢の中からでも、できるだけ可能性の高そうな方法を一緒に考えています。
乳児にもおすすめの苦い薬の飲ませ方【きな粉や砂糖】
ちなみに、比較的小さい時期でも離乳食で試していそうなものの組み合わせとしては、
100%大丈夫な方法はないと思いますが、関わったお子さん全員に薬を飲んでもらえるような方法がないか模索しています。
苦い薬には「にがいのにがいのとんでいけ」がおすすめ:何歳から使える?
苦い薬を飲むのに最も使える服薬補助製品は「にがいのにがいのとんでいけ」だと考えています。
【おくすり飲めたね】ほどメジャーではなく、ドラッグストアにも売ってないこともあるので入手はしにくいですが、どうしても飲ませたいときには役立ちます。
にがいのにがいのとんでいけを使っても飲めないと言われることもありますが、成功率9割以上はある印象です。
実際に「にがいのにがいのとんでいけ」をおすすめする際に、「何歳から使えますか?」と聞かれることもありますが、明確なルールはありません。
しかし、アレルギー物質として乳・大豆を使用していますので、乳製品と大豆製品を試したことがある場合にのみ使用しても良いと考えます。
通販で買うとまとめ買いしないといけないのが難点ですが、試してみる価値はあると思います。
苦い薬の量次第ではありますが、きちんと一回分を使った方が良いでしょう。
それでも飲めない場合は、やはり個別に対応することが大切です。
かかりつけの薬剤師へ相談しましょう。