最近、発達障害という言葉を聞くことが増えたような気がしませんか?
「うちの子も落ち着きがなくて心配です」と薬局でも相談されることがあります。
発達障害について、自分の頭の中をすっきりさせるためにまとめてみました。
発達障害といっても、いくつも種類があります。
どれも特徴的なものをまとめているだけなので、特徴の一つが当てはまる=発達障害では決してありません。
その点は絶対に誤解の無いようにお願いします。
心配があれば、専門医に相談することをおすすめします。 ⇒ 後述します。
ADHD(注意欠陥/多動性障害)の特徴・治療薬
ADHDの特徴として、【多動‐衝動性、不注意】が挙げられます。
考える前にすぐ行動したり、授業中などの座っていなければいけないときに動き回ったりしてしまうことがあります。
結果として、怪我が多いこともあります。
学童期のお子さんの5%がADHDとも言われており、クラスに一人はいる計算になります。
男の子のほうが多いと言われています。
成人になっても日常生活に何らかの支障があると感じている割合も3~5割あるそうです。
ADHD児が落ち着いて行動出来るように周りがサポートすることが大切です。
長時間の集中は難しいので、以下の事などに気をつけて、できるだけ集中を妨げないようにしましょう。
- 休憩時間をきちんと設定する
- 一回でする作業量を減らす
- テレビや音楽などは消す
周りから色々と指摘され続けることがないように、家族と周囲の理解が大切です。
ADHDの治療の第一選択は、薬ではありません。
環境を整えることで改善してくる部分もあるからです。
薬で治療する場合は、コンサータ、ストラテラ、インチュニブなどが使われています。
組み合わせて使用することもありますが、どれも特徴的な薬なので変更時は注意が必要です。
2020年にはビバンセカプセルもADHD治療薬として使用され始めます。
ビバンセカプセルの使い方と、各薬の使い分けについては以下の記事でまとめています。
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療薬として発売予定の【ビバンセカプセル】について調べてみました。既存のAD/HD治療薬との比較もしています。[adcode]ビバンセカプセルについて【大人不可、海外旅行へ持参は可能に[…]
自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴・治療薬
ASDは相互的な対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動の偏り(こだわり)などが特徴とされています。
症状の程度によって周りが受ける印象は大きく変わります。
100人に1~2人存在するとの報告あり。
1歳頃から、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもに関心がないなどの対人関連の特徴が見られることもあるようです。
こだわりが強い傾向があるため、中には信じられないほど記憶力が優れている子も多い。
その反面、興味が無いことや初めてのことは不得意なことが多い。
大人になってから、対人関係などの悩みがあり病院を訪れる人もいる。
小さいうちから周囲から適切な働きかけがあった場合、成長とともに症状が目立たなくなる人もいます。
話の要点などをわかりやすく説明してあげたり、意識の共有をするなどのサポートが好ましいと思います。
ASDの治療には、リスパダールやエビリファイなどが使われることがあります。
どちらの薬も、粉・錠剤・液剤などが使われていますが、味は飲みにくいものが多いです。
錠剤のサイズも小さいので、錠剤のほうがおすすめしやすいです。
使用量は医師によって差が大きい印象があります。
学習障害(LD)の特徴・治療薬
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の事が苦手とされる。
有病率は2~10%との報告がある。
小学校低学年頃に成績不振などで明らかになることもあるようです。
他の発達障害の症状を合併していることも多いようです。
LDの可能性も考え、子どもの成績不振などを子どもの怠慢と決めつけないようにしていただきたいです。
学習障害(LD)の治療薬は特にこれといったものが無いのが現状です。
ADHDやASDの症状もある場合、そちらの治療をします。
発達障害の心配があれば早めに相談
不安になった時に最初に調べるのは、今のようにネットでも良いかもしれません。
しかし、それだけですべてを決めつけるのは良いとは言えません。
発達障害は特に一般化しにくく、ひとりひとりへの対応方法が変わります。
「この症状があるから治療をする」というシンプルな判断基準があるとも言えません。
それでも、「発達障害を疑うような症状で困っている」のであれば、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
発達障害の専門医(発達障害診察医)もいますが、そこまで数が多くありません。
近くに専門医がいない場合、「発達外来」をされている病院・医院に受診したほうが良いと思います。
いきなり病院に行きたくない場合、各地域の支援センターで発達障害に関する相談をすることもできます。
山陰の場合は以下のような支援センターがあります。
・島根県東部発達障害者支援センター ウィッシュ(松江・出雲)
・島根県西部発達障害者支援センターウインド(浜田・益田)
・「エール」発達障がい者支援センター(倉吉市)
・こども発達支援センター(鳥取市)
蛇足ですが、発達障害の診断が適切にされていなかったり、その他の治療法などを試さぬまま、安易に治療薬が使われているのではないかとの批判などもあります。
私の知っている範囲ではそのようなことは無いように感じますが、抗生物質の適切な使用などもなかなか進まないことからも、一部そういうこともあるのかも知れません。
発達障害は治療薬が必須とは限りません。
環境調整や行動療法を行った上で改善が見られない場合に限って、薬を使うこととされているからです。
安易に薬の使用が始められているケースがあれば、確かにそれは問題と言えます。
しかし、発達障害の治療薬を使うことで、改善が見られ、助かっている患児や保護者もいます。
心配があるなら早めに相談・受診するようにしましょう。