小さい子どもの便秘に薬を使う場合、まずは酸化マグネシウムやモビコールなどの浸透圧性便秘薬を使用することが推奨されています。
それでも便が出ない場合などを中心に、刺激性の便秘薬を使うこともあります。
子どもから大人まで幅広く使うことのある刺激性の便秘薬【ピコスルファートナトリウム(先発品:ラキソベロン)】についてまとめます。
ラキソベロン内用液の味と飲ませ方【お茶やジュースは?】
ラキソベロン(ピコスルファート)には錠剤と内用液がありますが、お子さんには内用液が使われることがほとんどです。
ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)内用液の指導箋には、「1日1回寝る前に適量の水(コップ1杯程度)に溶かして飲むように」などの記載があります。
ラキソベロンの味は甘く、子どもが味の問題で飲めないという相談はあまりありません。
水に滴下して飲むことが推奨されていますが、お茶・オレンジジュース・牛乳と混ぜた場合には明らかな配合変化は無いようです。
※他のものと混ぜても大丈夫そうではありますが、出来るだけ以上のものを使うようにしましょう。
年齢(月齢)毎の目安量と1本で使える日数の目安を表にまとめました。
年齢 | 6ヵ月以下 | 7~12ヵ月 | 1~3才 | 4~6才 | 7~15才 | 成人 |
滴数 | 2滴 | 3滴 | 6滴 | 7滴 | 10滴 | 10~15滴 |
1本で使える日数(目安) | 75日 | 50日 | 25日 | 21.4日 | 15日 | 10~15日 |
ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)内用液は1本が10mL、15滴で1mL相当です。
つまり、1本で約150滴使えることになります。
なお、ラキソベロン錠1錠はラキソベロン内用液5滴に相当します。
1~3歳のお子さんの適量が1回6滴ですので、1歳の子に錠剤1錠は適切な量でもありますが、錠剤は5歳ぐらいまでは控えたほうが良いでしょう。
子どもは何歳ぐらいから錠剤が飲めますか? 保護者の方が子どもに錠剤を試してみたいと思う理由はいくつもありますが、最も多いのは「粉薬(特に苦いもの)を飲ませるのが大変だから」だと思います。 […]
ラキソベロンは絶対に水分に溶かさないといけない?
小さいお子さんにコップ1杯の水を飲ませるのは大変です。
生後6か月未満のお子さんだと、コップでお水を飲んだことがない子もいます。
実は、ラキソベロンは絶対に水に溶かさなければいけないという薬ではありません。
しかし、口の中に長時間薬が残らないようにするため、水に溶かすことが推奨されています。
そのため、小さい子には「口の中に直接何滴か落として」と説明されることもあるようです。
ただし、直接口内に落とす場合には、以下の2点が気になります。
- 落としすぎてしまったら減らせない(過剰投与の可能性)
- 口の中に長時間残らないようにしたい
出来るだけ水分に溶かして飲んだほうが良いでしょう。
難しければ口内に直接滴下も仕方ないと考えますが、その後速やかにミルクか授乳などをするようにしましょう。
ラキソベロンは子どもにも使えるが、短期間の使用が基本
浸透圧性下剤による治療が無効な例に対して,刺激性下剤,消化管運動賦活薬,漢方製剤が有効な場合がある(推奨度 B)
海外のガイドラインでは,刺激性下剤の使用はあくまで fecal impaction(宿便)の再燃を避けるための救済的な治療で,短期間投与が原則であり,乳児には推奨されていない.
また,浸透圧性下剤と同様,薬剤の効果に関するエビデンスも十分とはいえない
参考:小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン
まずは浸透圧性便秘薬(酸化マグネシウムやモビコール、マルツエキスなど)の使用が推奨されています。
ラキソベロンは刺激性の便秘薬なので、浸透圧性の薬が無効な場合短期間使うのが基本となります。
日本においては長期間使用される例や、乳児にも使用されることがあります。
おそらく日本においては長年モビコールの選択肢の選択肢がなかったことが要因の一つではないかと思います。
子どもの便秘治療薬として広く使われるようになってきた【モビコール】ですが、「飲みにくい」という声や、「いつまで飲み続ければ良いの?」と相談もあります。 モビコールはたしかに飲みやすい味とは言えません。また、[…]
ラキソベロンの副作用:下痢や腹痛など
各種便秘症、術後排便補助、造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進
ラキソベロン液の承認時及び使用成績調査における安全性評価対象7,561例中92例(1.2%)に112件の副作用が認められ、主なものは腹痛57件(0.8%)、腹鳴15件(0.2%)、悪心・嘔吐12件(0.2%)等の消化器症状であった。
また、副作用とされた臨床検査値の変動はなかった。(使用成績調査終了時)
引用:ラキソベロン内用液添付文書
ラキソベロンは、刺激性の便秘薬なので腹痛の原因になることが多いです。
その他にも、お腹がゴロゴロとなる、吐き気や嘔吐、下痢なども報告されています。
私が知っている範囲でも、お腹をかなり痛がって続けられなかったお子さんもいます。
気になるようでしたら、一度使用を中止してかかりつけの医師・薬剤師に相談しましょう。
ラキソベロン内用液の注意点【目薬と間違えないように】
実際にラキソベロンを点眼してしまったという例もあります。
ラキソベロンのパッケージには、「目には入れないこと」や「下剤」と大きく書いてありますが、目が見えにくい方もおられます。
目薬とラキソベロンの両方が処方されている場合などは特に注意してください。
急に祖父母に子どもを預けることになった場合などは、滴数も含めて、薬の使い方をしっかり説明してくださいね。
子どもの慢性便秘については、以下の記事にまとめています。
子どもは便秘になりやすいと言われますが、慢性便秘になるとなかなか大変です。うちの子も慢性便秘なので、大変さはとても良くわかります。まったく便秘にならない子もいるそうですが、便秘持ちの子を持つ私としては親としては羨ましい限りで[…]