ザイザルシロップは小さいお子さんの鼻炎やじんましんなどのアレルギー症状に良く使われています。
風邪で鼻水が出ている時にも処方されることはありますが、あまり効果は期待できないと思います。
ザイザルシロップは比較的飲みやすい味ですが、わずかに苦味もあるので嫌がるお子さんもいます。
保護者からの相談の多い、味や飲ませ方、眠気などの副作用情報、そして長期間飲み続けても安全なのか、などをまとめています。
ザイザルシロップの味と飲ませ方【混ぜても良い?|苦味あり】
ザイザルシロップはとても甘いですが、後味には苦みも残ります。
その苦味のせいか、飲むのを嫌がるお子さんもいます。
シロップ剤の苦味をごまかすのはなかなか難しいですが、「どうしても飲めなかった」と言われたこともないので、そこまで心配しなくても良いかもしれません。
そのままでは飲めない場合は、飲む直前に一回量を測り取ってから、水やジュースなどを混ぜて飲んでも効果に大きな影響は出ないでしょう。
ザイザルシロップは多少の苦味はありますが、同じく生後6か月から使えて、比較されることの多いフェキソフェナジンドライシロップよりは飲みやすいです。
飲みやすさだけで考えれば、ザイザルのほうが無難な選択肢だと考えます。
※ザジテンドライシロップも生後6か月から使えるので比較されることはありますが、眠気の副作用などが出やすいので、あまり多くは使われていない印象です。
ザイザルシロップに限らず、シロップでは雑菌の繁殖などに注意が必要です。
短期間の使用であっても、適切に保管することが大切です。
「どれぐらいの期間なら薬を保管しておける?」と質問されることは少なくありません。しかし、残念ながら明確な決まりはありません。 もちろん薬には使用期限がありますが、それは適切な管理が出来ていた場合の品質等が保[…]
ザイザルの副作用は眠気など【誤飲情報|下痢も相談あり】
ザイザルの副作用として特に注意すべきは【眠気】です。
ザイザルの添付文書にも以下の記載があります。
ザイザルは他の第2世代抗ヒスタミン薬よりも眠気が出にくいと言われることもある薬です。
ただし、以下のシステマティックレビュー(かなり信頼性の高い報告)を読む限りでは、特別眠気が出にくいとは考えていません。
内容をまとめると、以下のような結果となっています。
レボセチリジン(ザイザル)は、
プラセボ(偽薬)と比較すると、リスク比1.67倍の鎮静作用
第1世代の抗ヒスタミン薬と比較すると、鎮静作用が少ない
第2世代抗ヒスタミン薬と比較すると、鎮静作用は特に変わらない
その他にも、倦怠感、口の渇き、吐き気、頭痛などは比較的起こりやすい可能性がありますが、添付文書情報や使用した人からの聞き取りでも、そこまで頻度は多くなさそうです。
「ザイザルを飲んでから下痢をするようになった」と言われることもありますが、添付文書上では下痢の頻度は0.1%未満となっています。
ザイザルシロップの誤飲により入院したケースも日本小児科学会から報告されています。
かなり簡潔にまとめると以下のような内容です。
翌日、母親がザイザルシロップを適切な量飲ませた後、子どもが椅子に登れば届くテーブル(高さ約80cm)に薬の投薬瓶を短時間置いた。
子どもが突然咳き込んだので、見に行ったら25mLほどあったシロップが残り5mLになっていた。
子どもの目線が合わない、ふらつきがある、などの症状があり救急車を呼び医療機関に入院、入院4日目に退院しています。
ザイザルシロップを長期間飲み続けた時の安全性は?
アレルギーなどがある場合、ザイザルシロップを長期間飲み続けることもあります。
保護者の方の多くは、ザイザルを長期続けた場合の安全性(主に成長への影響)を気にされていることが多いです。
そこで、ザイザルの長期投与時の安全性についての報告を紹介します。
参考:Safety of levocetirizine treatment in young atopic children: An 18-month study.
入院時に12~24か月のアトピーの子どもを、255人づつザイザル服用群とプラセボ(偽薬)服用群にランダムに振り分けて、1日2回18か月間投与しています。
その結果、身長、体重、発達、血液検査、生化学検査において、有意な差はなかったと結論付けられています。
過度な心配は不要と考えます。
ザイザルの種類と小児量【適応はアレルギー性鼻炎や蕁麻疹など】
ザイザルには、「ザイザルシロップ」と「ザイザル錠5mg」の2種類があります。
※追記:現在はザイザル2.5㎎錠やOD錠なども発売されていますが、表には記載しておりません。
ザイザルの量は年齢によって変わるので、一回量の一覧表を作成しました。
一回量 | ||||
年齢 | 用法 | 成分量 として | ザイザル シロップ | ザイザル 錠5mg |
6か月 ~1歳未満 | 1日1回 | 1.25mg | 2.5mL | 適応なし |
1歳以上 7歳未満 | 1日2回 朝食後と就寝前 | 1.25mg | 2.5mL | 適応なし |
7歳以上 15歳未満 | 1日2回 朝食後と就寝前 | 2.5mg | 5mL | 0.5錠 |
成人 (15歳以上) | 1日1回 就寝前 | 5mg | 10mL | 1錠 |
年齢以外にも、腎機能に応じた用量調節が必要な薬です。
高齢の方などは、1回1錠では多いこともあります。
※目安としては、クレアチニンクリアランス80未満で1回0.5錠です。
また、適応は以下の通りで、基本的には風邪には使えません。
〔成人〕アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症〔小児〕アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒引用:ザイザル添付文書
関連情報
ザイザルのジェネリックは2020年6月に発売されました。
ドライシロップ(粉薬)と、2.5mg錠は需要が多いのではないかと考えます。
個人的に長い間待ちわびていたザイザルのジェネリック:レボセチリジンの情報が入ってきています。※2020年6月発売予定です。 個人的に気になるポイントは以下の通り。 ドライシロップ(粉薬)の発売[…]
現在はありませんが、第2世代抗ヒスタミン薬で子どもに使える製剤が、市販薬にあることも大切なのではないかと思います。
いずれ市販薬としても発売されるのではないかと予想しています。
アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、かゆみなどの症状を抑える時に使われる抗ヒスタミン薬は、副作用の眠気が問題になることが多いです。しかし、眠気だけでなく、自覚しにくいインペアード・パフォーマンスにも注意をしておいたほうが良いと考えます。[…]