ホクナリン(ツロブテロール)テープをお子さんに処方されたことがある方は少なくないでしょう。
しかし、いくつかの理由で継続することが難しいことがあります。
子どもにホクナリンテープを継続できなかった方から理由としてよく聞くのが、以下の理由です。
- かぶれる(赤くなる)
- かゆがる
ホクナリンテープによるかぶれやかゆみを減らして快適に使うためのポイントをまとめています。
まずはホクナリンテープの基本的な内容から確認していきます。
ホクナリンテープを貼る場所
ホクナリンテープを貼るのに適している場所は、以下の3か所です。
- 胸
- 背中:小さい子にはおすすめ
- 上腕(二の腕)
皮膚から薬を吸収することで効果を発揮します。
他の場所に貼ると薬の吸収速度が変わって十分な効果が出なくなってしまう可能性があります。
赤ちゃんでも嫌がって自力で剥がしてしまうことがあります。
小さいお子さんの場合、自分の手の届かない背中に貼ることをおすすめします。
ホクナリンテープはお風呂上りに貼りましょう。剥がれたら貼り直す?
ホクナリンは基本的に1日中貼りっぱなしにする薬です。
お風呂に入ると剥がれやすくなるので、貼るタイミングは「お風呂あがり」をおすすめすることが多いです。
そして、次の日のお風呂前に剥がしましょう。
日中にホクナリンテープが剥がれることもあります。
貼ってから数時間でホクナリンテープが剥がれたのであれば、貼り直した方が良いでしょう。
12時間近く経過していたら、ある程度薬が吸収されているので、貼り直す必要はないでしょう。
数時間で剥がれた場合、しっかり症状を抑えたいのであれば、貼り直したほうが良いと思います。
ホクナリンテープの副作用【かぶれ、手の震え、動悸】
使用成績調査における成人の安全性評価対象例1,354例中,副作用は50例(3.69%)に61件の副作用が認められ,
主な副作用は心悸亢進9件(0.66%),振戦7件(0.52%),接触性皮膚炎8件(0.59%),そう痒症・適用部位そう痒感8件(0.59%),紅斑・適用部位紅斑6件(0.44%)等であった.
一方,小児では安全性評価対象例1,704例中29例(1.70%)に37件の副作用が認められ,主な副作用は紅斑・適用部位紅斑9件(0.53%),接触性皮膚炎8件(0.47%),そう痒症・適用部位そう痒感6件(0.35%)等であった.
引用:ホクナリンテープ添付文書
成人の副作用報告は、心悸亢進(動悸と考えてください)や振戦(震え)が多いですが、子どもは頻度が低いです。
実際にはお子さんにも動悸や手の震えが起きている可能性があります。
ただし、子どもが動悸や手の震えを保護者に伝えられないことで、頻度が低い要因の一つだと考えています。
そして、子どもの副作用には、かぶれや赤み、痒みのような保護者が発見しやすいものが多く、その対策が問題となります。
ホクナリンテープ(ツロブテロール)のかぶれ対策のポイント
貼る場所は毎日変えるようにすること
ホクナリンテープは胸・背中・上腕の範囲に貼れば良いので、貼る場所をずらしていくことが可能です。
痛み止めの湿布などは痛い場所にしか貼れないので、痛みを優先するかかぶれないことを優先するかの2択ですが、ホクナリンテープならもうちょっと自由度が高いです。
そのメリットを上手く活かしましょう。
子どもの背中という狭い範囲でも、2週間ぐらいなら貼る場所のローテーションは十分可能です。
皮膚の保湿(ケア)をすること
アトピーや乾燥などで皮膚の状態が悪いと、かぶれや痒みが出やすいと言われます。
子どもの皮膚のケアはできるだけ気にしてあげましょう。
普段は大丈夫でも、日焼け跡に貼るとかぶれることもあるのでご注意ください。
子どもの皮膚は乾燥しやすく荒れやすいです。
市販の保湿剤でも良いので、保湿の習慣をつけましょう。
剥がすときはゆっくり
ホクナリンテープを勢いよく剥がすと皮膚の荒れの原因になります。
なかなか剥がれないぐらいしっかり貼れている場合、お風呂の中で剥がしても良いでしょう。
剥がれやすくなって、剥がす時の痛みも減ると思います。
12時間で剥がしてもそれなりに効果あり
ここまでの内容を実行してもかぶれが改善できないようなら、貼ってから12時間以上経っていれば剥がすという選択肢もあります。
ホクナリンテープは貼って12時間経つと成分の74%が皮膚に移行します。
24時間貼っても90%程度しか移行しないようなので、効果の8割は期待できると考えても良いでしょう。
ただし、12時間で剥がしていいかは事前に処方医や薬剤師に確認してからにしてください。
一部の保育園や幼稚園では、ホクナリンテープを剥がしてから来園する様に言われるところもあるようです。
「剥がれたホクナリンテープを他の子が口に入れると困るから」という理由のようですが、そういう事情がある場合も12時間程度で剥がして問題ないと考えます。
それでもダメなら粉薬に変えてもらうという選択肢もあります
どう頑張ってもホクナリンテープでかぶれてしまう子もいます。
同成分の粉薬もあるので、そちらを選択されることもあります。
最初から粉薬で良いと思われるかもしれませんが、テープと飲み薬では薬の効き方が少々異なります。
ホクナリンテープと飲み薬の比較
ホクナリンテープの効果が出始めるのは、貼ってから3時間ぐらいかかります。
そのため、お風呂上がりに貼れば深夜にはしっかり効果が出ているはずです。
ホクナリンテープは吸収の始まりも経過もゆっくりです。
薬の血中濃度が急激に上がらないので、薬の成分による副作用(動悸や震え)は出にくいとされています。
ホクナリンテープと比較すると、ホクナリンの粉薬や錠剤は素早く吸収され、効果が切れるのも早いです。
そのため、ホクナリンの飲み薬のテープと比較した時のメリットデメリットは以下のようになります。
飲み薬のメリット
・早く効くこと
・かぶれたり、痒みの原因にはならない
飲み薬のデメリット
・血中濃度が高くなるので副作用リスク(動悸や震えなど)が高くなる可能性がある
・効果時間が短いので、寝る前に飲んでも朝まで効果は続かない
・1日3回程度飲む必要がある。
副作用頻度 | 心悸亢進 | 振戦 |
ホクナリンテープ | 0.66% | 0.52% |
ホクナリン錠 ホクナリンドライシロップ | 0.89% | 1.21% |
ホクナリンを使うのはぜんそく性の咳が出ている時が基本になります。
朝まで効果が続かないと深夜に咳が酷くなって目が醒めたりする可能性もあります。
結果として親もしっかり眠れなくなるかもしれません。
かぶれや痒みが酷くないなら、テープのほうが安心して使えると考えています。
ホクナリン(ツロブテロール)テープを切る場合もあります
ホクナリン(ツロブテロール)テープは本来切らずに使う薬です。
しかし、医師から切るように指示された場合は問題ないでしょう。
※医師の指示がない限り切らないようにしてください。
ホクナリン(ツロブテロール)テープを切る場合は、清潔なハサミなどを使うようにしてください。
多少は吸収に影響があると思いますが、飲み薬ほど血中濃度が上がることはないでしょう。
この記事でホクナリンテープによるかぶれが少しでも減れば幸いです。
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