熱性けいれんの対応と有病率・再発率・後遺症など【救急車は呼んでいい?|避ける薬は?】

熱性けいれんの対応と有病率・再発率・後遺症など【救急車は呼んでいい?|避ける薬は?】

「熱性けいれん」という疾患はご存知ですか?

日本での有病率は10%程度とそこまで低いわけではありませんが、知らない保護者の方もおられます。

 

また、熱性けいれんについての知識があったとしても、実際に目の当たりにすると慌ててしまうことが多いと思います。

私の子どもは熱性けいれんを起こしたことはありませんが、過去に薬局で熱性けいれんを起こしてしまったお子さんを見かけたことがあります。

 

その時は薬局スタッフはみんな動揺して何もできませんでしたが、熱性けいれん歴のあるお子さんだったので、お母さんが一番落ち着いて対応されていました。

やはり経験に勝るものはないと感じます。

 

あなたのお子さんが熱性けいれんになっても焦らず済むように、熱性けいれんの基本と、予防に使われるダイアップ坐剤について自分なりにまとめていきます。

熱性けいれんの定義【有病率はどれぐらい?】

まずは熱性けいれんの事を知っておきましょう。

熱性けいれんの定義は以下の通り。

主に生後 6~60 か月までの乳幼児期に起こる,通常は 38℃以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性,非けいれん性を含む)で,髄膜炎などの中枢神経感染症,代謝異常,その他の明らかな発作の原因がみられないもので,てんかんの既往のあるものは除外される.
引用:熱性けいれん診療ガイドライン2015

「基本的に発熱がある状況で未就学児に起こる、明らかな発作の要因がわからないけいれんなどを起こす疾患」というまとめ方で語弊はないでしょうか?

 

定義にもあるとおり、非けいれん性も含みます。
非けいれんとは何のことかと言うと、「脱力・一点凝視・眼球上転」などの事を指すようです。

日本において、熱性けいれんの有病率は10%程度と言われており、そこまで珍しくない疾患であることがわかります。

 

「明らかな発作の要因がみられない」ものが熱性けいれんと診断されるので、色々な検査をしなければ確定診断はできないとも言えます。

ただし、熱性けいれんの可能性が高そうな場合は、精密検査は行わないことも多い印象があります。

もちろん、髄膜炎・脳炎・脳症などが疑われる場合などは、速やかな対応が必要です。

熱性けいれんはどれぐらい続く?救急車を呼んで良い?

熱性けいれんは2~3分以内に治まることが多いと言われています。

「けいれんが起きてもすぐに救急車を呼ばずに、10分以上けいれんが続いたら救急車を呼びましょう」と書かれていることもあります。

しかし、いざけいれんを目の当たりにすると、1分が10分以上に感じることもあるかもしれません。

 

大切なことは、できるだけ保護者が落ち着くことだと思います。

実際にけいれん発作が起きた場合には以下の点に注意してください。

  • 冷静になり、けいれんの持続時間や様子を観察する
  • 安全な場所に寝かせ衣服を緩める
  • 顔を横に向けて吐しゃ物がのどに詰まらないようにする

口にモノを噛ませたりはしないでください。

通常5分以内に治まりますが、長引けば救急車を呼びましょう。

 

熱性けいれんの可能性が高ければ、病院でのCT・MRIなどの有用性は低いとされており、経過観察で終わることも多いです。

保護者の不安の大きさに比べ、病院などでの対応はあっさりとしていることもあります。

つまり、ほとんどの場合、熱性けいれんでは過度に心配する必要はないということです。

 

ただし、初めてのけいれんの場合は、けいれんが止まってからでも親の不安は続くと思います。

救急車を呼んだとしても否定されることではないと考えています。

熱性けいれんの再発率と後遺症【てんかんへ移行する?】

熱性けいれんは再発することもあります。

一度起きたからと言って、今後ずっと注意しないといけないと言うわけではありません。

 

なお、再発危険因子は以下の4因子とされています。

再発予測因子を持たない場合は再発率15%程度、再発予測因子を持つ場合は再発率は30%程度になります。

熱性けいれんの再発予測因子は以下の4因子である。
1) 両親のいずれかの熱性けいれん家族歴
2) 1歳未満の発症
3) 短時間の発熱・発作間隔(概ね1時間以内)
4) 発作時体温が39℃以下
引用:熱性けいれん診療ガイドライン2015

 

子どもが熱性けいれんを起こしているのを見るととても心配になると思います。

しかし、熱性けいれんは基本的に予後は良好と言われています。

ほとんど後遺症が残ることはありませんので、ひとまずは心配しすぎないようにしましょう。

 

ただし、3%程度の子どもが「てんかん」へ移行する可能性があるとも言われています。

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熱性けいれんには出来るだけ避ける薬

抗ヒスタミン薬の一部(ペリアクチン・ポララミンなど)

抗ヒスタミン薬は、市販の風邪薬などにも含まれる、痒みや鼻水などアレルギー症状などを抑える薬です。

抗ヒスタミン薬にも色々な種類があって、その中でも鎮静作用の強いものは、熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があるので推奨されていません。

推奨されていない薬を具体的に挙げると、ペリアクチン・ポララミン・ザジテン・セルテクトなどです。

 

ちなみに、熱性けいれん自体のリスクを上げるとの報告もあるので、これらの薬は子どもはできるだけ避けたほうが良いと考えています。

テオドールなどのテオフィリン製剤

テオフィリン製剤は気管を拡げる作用などがあり、小さい子どもにも使用することがあります。

しかし、テオフィリン製剤も熱性けいれんの持続時間を長くする可能性が指摘されているので、特に3歳以下では推奨されていません。

 

ぜんそくの治療でも使うことがありますが、量の調節も難しい薬なので、あまり子どもに向いている薬ではないと考えています。

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熱性けいれんを初めて見かけた時はとても慌てると思います。

適切な知識を持って、慌てず対応が出来るようにしておきましょう。

 

熱性けいれんの予防薬に、ダイアップ坐剤があります。

別の記事でまとめています。

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