子どもに飲み薬のステロイドは安心して使える?【ステロイドの強さ一覧(換算表)】

【飲み薬のステロイド】と聞くと、不安を感じられる保護者の方も少なくありません。

 

ステロイドを続けたほうが良いような病気がある場合を除けば、頻繁に飲むような薬ではないのは確かです。

ただし、子どもに対しても、ぜんそくが酷いときやクループのときなどには、今の症状を早めに抑えるために使われています。

どんな薬もそうですが、必要な時に必要な量を使うことが大切です。

飲み薬のステロイドについてまとめていきます。

飲み薬のステロイドを短期間使うとき【ぜんそく・クループ・じんましん?】

ぜんそく悪化時に飲み薬のステロイド

ぜんそく悪化時の内服ステロイドの使用は、「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」にも記載があります。

ぜんそく悪化時に経口ステロイドを使う場合は、プレドニゾロン・ベタメタゾン・デキサメタゾンのいずれかを2~3回程度の分けて飲むのが基本になります。

短期間の使用がほとんどなので、副作用を過度に心配する必要は無いでしょう。

クループになったらデカドロンやリンデロンなどの飲み薬のステロイド

クループ(喉頭気管気管支炎)とは、ウイルス感染症により発生する気管と喉頭の炎症で、せきと、高いキューキューいう呼吸音(吸気性喘鳴)が起こり、ときに息を吸う(吸気)のが難しくなります。
参考:MSDマニュアル家庭版

クループの治療の際に、デカドロンエリキシルなどの経口ステロイドを1回飲みきりで使うことがあります。

 

症状によっては、病院で「ボスミン」を使ったり、入院などの対応をしたほうが良いこともあります。

以下の報告を見ると、クループへのステロイドの使用は効果もあり、まれに2次感染の報告はあったようですが、基本的には安心して使えそうですね。

参考:Glucocorticoids for croup in children

じんましんなどのアレルギーの時 →ステロイドの効果は限定的かも

じんましんの治療にも短期間内服ステロイドを使うこともあります。

しかし、基本は抗ヒスタミン薬の使用です。

 

急性じんましんの治療に、レボセチリジン(ザイザル)単独と比較して、内服ステロイドを追加しても効果に差がないという報告もあります。
参考:Levocetirizine and Prednisone Are Not Superior to Levocetirizine Alone for the Treatment of Acute Urticaria: A Randomized Double-Blind Clinical Trial 

症状によっては使ったほうが良い場合もあると思います。

ステロイドの飲み薬は短期間なら副作用の心配はないのか?

短期間でもステロイドでしょ?
副作用は大丈夫?
しか
数回ならあまり気にしなくても良いと思います。
治療を優先していただきたいです。

たまに保護者の方とこのような話になることがあります。

 

確かに短期間だからとしても、副作用が絶対に起きないとは言えません。

以前は短期間のステロイドの使用による長期的な副作用は起こりにくいという意見が主流でした。

しかし、アメリカの成人にステロイドを使用(使用日数の中央値は6日で、約半数が7日間以上)した際に、副作用が増えたという報告もあります。
参考:Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.

 

この報告では約半数が1週間以上ステロイドを使用しており、ぜんそく悪化時(2~3回)やクループ治療(1回)などの場合とは条件が大きく異なります。

そのため、個人的には数回のステロイドによる副作用が大きな問題になることはないと考えています。

また、必要性が高いと判断されてステロイドが処方されているということを忘れてはいけません。

どうしてもステロイドに対して不安があったとしても、その数回だけは飲み切っていただきたいと思います。
自己判断での中止だけはやめるようにお願いします。

飲み薬のステロイドの比較【基本苦いです】

飲み薬のステロイドはとても苦いです。

薬をお渡ししていると、「苦い薬の代表格と言えば抗生剤」と考えている保護者の方も多いですが、抗生剤よりも苦いです。

ステロイドの選択を病院で聞かれることはあまりないかもしれませんが、知っていたら対応できることもあるでしょう。

プレドニン錠などのステロイドの錠剤は小さく飲みやすい

ステロイドの錠剤は小型なので、3歳ぐらいから飲める子もいます。

ただ、基本的には5歳ぐらいまでは無理をしないほうがいいかもしれません。

 

飲み薬のステロイドの中では、錠剤のまま飲むのが一番苦みを感じません。

プレドニゾロン散、リンデロン散などのステロイドの粉薬は苦い

粉薬のステロイドはシンプルに苦いです。

大人が飲むのもつらい苦さです。

粉薬なので低年齢から飲むことも出来ますが、味が問題になることが多いです。

 

ステロイドの粉薬は嵩(かさ)が多いのも飲みにくい点です。

嵩を減らすために錠剤を粉砕することもあります。

リンデロンシロップなどのステロイドの液剤は苦いけど甘みもあります)

ステロイドの液剤は苦味と甘味の両方があります。

飲みやすいというほどではないですが、粉ほどダイレクトには苦くはありません。

 

デカドロンエリキシルは約5%のアルコール度数があります。

治療上必要なデカドロンエリキシルの量でエタノールの許容量を超えることはなさそうですし、急性アルコール中毒の報告も特にありませんでした。

>>>クループ症候群と治療薬:デカドロンの飲ませ方【子どもの夜中の変な咳】

 

リンデロンシロップにもごくわずかにアルコールが含まれていますが、デカドロンほど気にする必要はありません。

味もリンデロンシロップのほうが甘みが強く飲みやすいと思います。

 

ステロイドのシロップ剤の場合、一度に飲む量が多くなることが飲みにくさの要因になることもあります。

ステロイド換算表:ステロイドの強さ一覧

一緒に調べる方もおられると思いましたので、ステロイド換算表も載せておきます。

ステロイドの強さを比較するものです。

先程紹介した薬では、プレドニンとプレドニゾロンが「プレドニゾロン」、デカドロンが「デキサメタゾン」、リンデロンが「ベタメタゾン」になります。

ステロイド換算表

半減期(時間)コルチコイド作用
(力価比)
概算同等用
(mg)
合成ステロイド血中生物学的糖質鉱質
1群ヒドロコルチゾン1.28~121120
コルチゾン1.28~120.80.825
2群プレドニゾロン2.512~3640.85
プレドニゾン3.312~3640.85
3群メチルプレドニゾロン2.812~365<0.014
トリアムシノロン3~512~365<0.014
4群デキサメタゾン3.536~7225<0.010.75
ベタメタゾン3.536~7225<0.010.75

参考:「今日の治療薬2018 主な合成ステロイドの特徴」 一部改変

 

飲み薬のステロイドであることを伝えると副作用の心配をされることが多いですが、短期での使用はそこまで心配する必要もありません。

そして、どうしても治療に必要だから処方されています。

しっかり説明を聞いた上で、適切に使用してもらえればと思います。

 

塗り薬のステロイドも不安に感じられる方は少なくありません。

しかし、必要性に応じ適切に使っていただきたいと考えています。

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