オルベスコは子どもから高齢の方まで使うことがある吸入ステロイドですが、使い方を間違えて覚えていたり、うまく吸えていない例を見かけることがあります。
オルベスコの使い方の注意や、便利なサポートグッズについてまとめます。
※新型コロナに関する報道への注意を一時的に追記しています。
新型コロナへのオルベスコ(シクレソニド)の使用について【注意喚起】
「新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急拡大対策会議」にて、国立感染症研究所からシクレソニド(オルベスコなど)がCOVID-19に対し強い抗ウイルス活性を有すると報告があったとされます。
in vitro(試験管でのデータ)ではシクレソニドはロピナビルと同等あるいはそれ以上のウイルス増殖防止効果を示していたようです。
※私は元データを確認出来ていません。
実際に新型コロナウイルスの感染者に使用して改善した症例報告があり、話題になっています。
参考:COVID-19 肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した 3 例
もし、これから効果が確立される事があれば、比較的簡便かつ安価で治療できる可能性はあります。
しかし、現時点では数例の報告のみだということは忘れてはいけません。
※個人的には、気になる点も多々あり、医療関係の方が飛びつくほどのデータだとは思っていません。
また、現状では「新型コロナの予防効果」は全く認められておりません。
今後も予防での使用は(少なくとも医療保険では)認められないでしょう。
なお、添付文書上では「有効な抗菌剤の存在しない感染症の患者」原則として禁忌とされています。
ぜんそくなどの治療で定期的にオルベスコを使用している人もいます。
マスクやトイレットペーパーなどのように、本当に必要な人にオルベスコが届かないような事態にならないことを祈ります。
冷静な対応をお願いします。
なお、オルベスコは現時点で出荷調整に入っており、病院・薬局での新規の購入にはかなりの制限があると思われます。
※R2.2.4時点の情報を基に書いています。
日々情報はアップデートされていますので、ご注意ください。
オルベスコの使い方【ぜんそく予防目的の薬です】
オルベスコは吸入ステロイドです。
吸入ステロイドは、ぜんそく予防のベースとして使う薬です。
発作時などのぜんそくがひどい時だけ吸入ステロイドを使われていることがありますが、基本的には予防のために毎日続けてください。
オルベスコは1日1~2回程度吸入する薬です。
1日1回吸入する場合は、夜に吸入することを推奨されています。
夜間にぜんそくが悪化しやすいため、夜に吸入したほうが良いからです。
子どもから大人まで使うことがあります。
オルベスコの未開封品を初めて使う時や、1週間以上使わなかった場合は、3回空打ち(吸わずにティッシュなどに噴射)が必要です。
オルベスコの副作用は? 吸入後はうがいを推奨
オルベスコに限らず、吸入ステロイド全般に言えることですが、吸入後はうがいをしてください。
ステロイドが口の中や喉にずっと残っていると、副作用(口の中の違和感、口腔カンジダ症)などの原因になることがあります。
うがいが出来ないような小さい子の場合、お水を飲むだけでも良いです。
マスクタイプの吸入補助具を使う場合は、顔も洗ったほうが良いとされています。
その他の副作用としては、嗄声(声がれ)や発疹などの報告も多いですが、添付文書を確認すると、いずれも1%以下と報告されています。
オルベスコがの吸入補助にはエアロチャンバーなどが便利(無料のスペーサーは無くなりました)
オルベスコなどのエアゾールタイプの吸入薬は、「押すと同時に吸う」という少し難易度の高い作業が毎回必要です。
小さいお子さんや高齢の方の場合、これがうまく出来ないことも多いです。
そのため、吸入補助具を利用することもあります。
以前は無料の簡易的な吸入補助具(スペーサー)がありましたが、無料の簡易補助具では薬が適切に吸えていない報告もあり、2016年に提供は終了しています。
有料ですが吸入補助具はあり、適切な薬が吸入に役立ちます。
日本アレルギー学会ガイドラインが推奨しているスペーサーは以下の3種類です。
- エアロチャンバープラス
- オプティチャンバーダイアモンド
- ボアテックス
Amazonなどで購入も出来ますが、病院で手配してもらえることもあるかもしれません。
その中でも、エアロチャンバープラスには弁がついているので、きちんと吸えているのかを目視で確認ができます。
お子さんに使うにはこれが一番便利だと考えています。
エアロチャンバープラスにはマスク付きのタイプと、マウスピースタイプがあります。
小さい子にはマスクタイプの方が使いやすいと思いますが、吸入後のうがいに加えて、顔も拭くようにしましょう。
マスクタイプでは通常の呼吸でよいですが、マウスピースタイプを使用する場合は吸入後に10秒程度の息止めが必要とされます。
ぜんそく発作を起こしている時などは、可能な範囲で息止めをするようにしましょう。
オルベスコをエアロチャンバープラスを使って吸入する方法は以下のリンクがわかりやすいです。
小学生ぐらいになれば補助具なしでも普通に吸入できる子も多いと思います。
オルベスコには専用の残量計や噴霧補助具もあり
オルベスコには、残りの使用回数が分かるカウンターがありません。
噴霧回数の上限を超えた場合にも普通にエアーが出てくるので、問題なく使えるように感じてしまいがちです。
しかし、噴霧回数の上限を超えたあとは、適切な量の薬が含まれていない可能性があります。
適切な治療の妨げになる可能性になるので、しっかりと管理しましょう。
もう少しわかりやすくなると良いんですけどね。。
間違え防止のためにも、最初に使った日や、いつまで使える予定なのかを、オルベスコと一緒に渡されたシールに記載してわかるようにしておきましょう。
ただ、どうしてもわからなくなることもあると思います。
そんなときには、ピヨスケが便利です。
オルベスコ専用残量目安計(ピヨスケ)
オルベスコの種類ごとに違う色のピヨスケになります。
ピヨスケは便利ではあるんですが、本当に目安程度しか分かりません。
規定回数の噴霧が終わったオルベスコでも、まだ残りがわずかにあるように見えてしまいます。
こちらのページ(外部ページです)の一番下の動画で、目安を確認しておきましょう。
やはり、添付のシールにしっかりと日付を書くことが一番良い対策だと思います。
オルベスコ専用噴霧補助具
オルベスコはしっかり押すのに少し握力が必要です。
補助具を使うと、握力がない子どもや高齢の方でもオルベスコを押しやすくなります。
吸入ステロイドは、ぜんそく治療の要となり得る薬です。
適切に使用するようにしましょう。
オルベスコに類似の薬として、フルタイドがあります。
フルタイドには3種類のデバイスがあるので、それぞれの特徴を踏まえて使用することが大切です。
また、エアロチャンバーを使ってもオルベスコをうまく吸入できない場合、パルミコートなどのネブライザーを使う吸入液を使用したほうが良いと考えます。
きちんと吸えているかどうか不安になったら相談してみましょう。
ぜんそく治療は、それぞれの治療薬の意味をしっかり理解して使い分けることが大切です。
知識の再確認にご利用ください。
お子さんのぜんそく治療薬について説明をしていると、基本となる薬が継続出来ていないケースに思った以上に遭遇します。中には基本となる薬をほとんど使っていないこともあります。 大人の生活習慣病の薬と同じで、毎日使[…]