便秘症に使われることのある新レシカルボン坐剤は、高齢者を中心とした成人だけでなく、子どもに使われるケースもあります。
副作用や相互作用への心配が少なく済みますし、子どもへの坐薬の使用は比較的抵抗感も少ないです。
とはいえ、明確に子ども量が決まっているわけではないので、なんとなく使いにくいという面もあります。
新レシカルボン坐剤の使い方や、よく聞かれる質問などをまとめます。
新レシカルボン坐剤の使い方
新レシカルボン坐剤は便秘症に使う坐薬です。
通常は1~2個を使用、重症の場合には1日2~3個を数日間続けて使用することもあります。
可能な範囲で少し深めに挿入したほうがより効果的でしょう。
小児量は特に設定されていませんが、使用されることはあります。
子どもに処方される場合、1回量は最大でも1個までしか見かけたことはありません。
便が肛門付近で詰まっていることもあり、そういう場合には坐薬自体使えないこともあります。
作用機序:炭酸ガスで排便を促す
新レシカルボン坐剤の主成分は炭酸水素ナトリウムです。
腸内で約110mLの炭酸ガスを発生させることで蠕動運動を高め、自然な排便作用を促すことが特徴です。
具体的には以下のような効果が期待できます。
直腸内で融解して CO2 を徐々に発生し、この CO2 により直腸粘膜を刺激、また直腸を拡張し、拡張反射により排便刺激を与える。また、直腸粘膜に対する拡張刺激が S 状結腸に伝わり、大腸の蠕動運動を誘発する。
引用:新レシカルボン坐剤インタビューフォーム
どれぐらいで効果が出るのか:18分が1つの目安
新レシカルボン坐剤を使用した方からは、30分以内に便意が出てくると言われることが多いです。
一方で、お腹が張った感じがあって、放屁はするけど便は出ないこともあります。
なお、メーカー資料によると、ビーグル犬に投与した場合は、平均18分後に排便が認められています。
腸の形状などの違いは当然ありますが、「使用後18分で効果が出る」のが1つの参考になると思います。
副作用:腸の不快感や下痢など
新レシカルボン坐剤により発生する炭酸ガスとは二酸化炭素(CO2)のことで、そもそも腸内にも常在しています。
腸内にはそもそもガスが滞留しており、その多くは空気由来です。
腸内の二酸化炭素は、空気由来のものと腸内細菌により産生されるものがあります。
そこに新レシカルボン坐剤による二酸化炭素が追加されるので人体への悪影響はほとんどありません。
副作用として報告されているもののほとんどはガスが増えたことによるもので、軽度の刺激感・痛み・不快感などが報告されています。
また、下痢の報告もあります。
重大な副作用として、ショック(顔面蒼白、呼吸困難、血圧低下等)の報告もありますが、問題になることは滅多に無い印象です。
冷所保存:短期間30℃以下での持ち歩きは可能
新レシカルボン坐剤の保管方法は「冷所保存」とされています。
医薬品の保管における冷所保存は、「1~15℃」と決められています。
なお、新レシカルボン坐剤は、15℃で39か月の安定性が認められています(※もちろん期限が切れたものは使えません)。
また、30℃でも7日間は安定性が確認されていますが、33~36℃で溶け始めます。
例えば旅行などで持ち運ぶ場合、30℃以下をキープできるのであれば持ち運びは可能です。
しかし、わずかな時間でも30℃を超える可能性があれば、保冷剤などを用いたほうが良いでしょう。
※外気温が30℃に届かなくても、直射日光が当たるなどの要因で表面温度は30℃を超えることがあります。
市販薬の新レシカルボン坐剤Sは12歳以上に使える
医療用は新レシカルボン坐剤ですが、市販薬には新レシカルボン坐剤Sがあります。
主成分はどちらも同量で、添加物も同じものです(添加物の量まで全く同じかは不明)。
新レシカルボン坐剤Sは、12歳以上にしか使用できません。
12歳以上は1回1個で、効果がない場合にはもう1個追加が可能です。
内袋としてのアルミ袋の開封前は30℃以下の保管でも良いとされていますが、家庭では15℃以下で保管しておけば間違いありません。
10個入で1000円未満で買えますので、医療用の新レシカルボンをいつも使用している12歳未満の人が、薬を切らしてしまった場合などには良いかもしれません。
同じ成分の薬でも市販薬には市販薬としてのルールがあるため、使用する製品のルールを守るようにしてください。
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